水道管工事には、自治体などの水道局が管轄するものと、民間の水道工事店が管轄するものの2種類があります。両者を分ける基準は水道管のどの部分を工事するかで、境界線は水道メーターです。
水道メーターより上流(道路に近い側)の水道管は水道局が管理する部分のため、公共工事の扱いになります。そのため、破損による不具合が発生した場合は無料で修理してもらえます。ただし、新築などで給水管の引込工事を行う場合は有料です。
一方、水道メーターより下流(家に近い側)の水道管を工事する場合は、民間の水道工事店が有料で行います。
本記事では主に、水道工事店が取り扱う水道管工事に関して説明します。
水道管工事には主に「給水管の引込工事」「室内配管工事」「修繕工事」「下水道排水工事」「浄化槽設置工事」の5種類があります。それぞれの工事を行う場所や目的について、以下で説明します。
道路の下などに配置された水道管から水道メーターまで給水管を配管する工事で、「水道管取り出し工事」とも呼ばれます。家を新築するときや、リフォームなどで給水管を交換する場合に必要となる工事です。
給水管の引込工事の管轄は自治体のため、あらかじめ自治体の許可を得る必要があります。また、施工できるのは自治体の認定を受けた水道工事店(指定給水装置工事事業者)のみです。
給水管の引込工事の場所は水道メーターより上流ですが、個人の必要に応じて行う工事のため、工事費用は依頼者の負担となる点に注意しましょう。
水道メーターから敷地内にある各水周り設備の蛇口までの水道管工事で、「屋内配管工事」とも呼ばれます。家を新築するときや、リフォームで水周りの位置を変えたり水周りの設備を追加・撤去したりするときに必要な工事です。室内配管工事も給水管の引込工事と同様に、指定給水装置工事事業者に依頼する必要があります。
また、トイレや排水管のつまりなど敷地内の水周りトラブルに対処するための工事も、室内配管工事に含まれます。ただし、カートリッジやパッキン、蛇口の交換など簡単なメンテナンス程度なら、素人が自分で行うことも可能です。
給水管や止水栓、水栓といった給水装置に発生した破損を部分的に修繕する工事で、原則としては給水装置の原形を変えないこととされています。トイレやキッチンなどの水が止まらない・水漏れするといったトラブルが発生しており、原因が水道管の破損であるケースでは、水道管の修繕工事が必要です。
水道管修繕工事も上記の水道管工事と同様に、指定給水装置工事事業者しか施工できないと、水道法で規定されています。素人のDIYによる修繕は禁止されている点に注意しましょう。
敷地内にある各水周り設備の排水口から公共の汚水桝(ます)までは排水管が通っています。下水道排水工事は排水管の設置などを行う工事です。上水道と下水道は密接な関係にあるため、水周り設備の新設や移動、追加や撤去を行った場合は、下水管の工事も必要になります。
公共の汚水桝にくわえて、次で説明するような浄化槽設置が義務づけられているときや、においの逆流防止のために敷地内にも汚水桝を設けるときに行う工事も、下水道排水工事に含まれます。
浄化槽の役割は、汚れた生活排水を浄化してから川や海に排出することです。下水道の整備が遅れた地域では、住宅に浄化槽が設置されている場合があります。そのうち約65%がトイレの汚水のみを処理する単独浄化槽です。
単独浄化槽は主に1960~1970年代にかけて設置されたもので、耐用年数の20~30年を過ぎたものが増えています。単独浄化槽の劣化や環境への影響を考慮し、2000年以降は生活排水全般を処理できる合併処理浄化槽や下水道への切り替えが進められています。
単独浄化槽から合併処理浄化槽へ交換する場合は、自治体への届け出と、自治体知事の認可を受けた業者による施工が必要です。
水道管工事にはさまざまな種類があるため、費用や工事期間もケースバイケースです。以下で、それぞれの目安について説明します。
工事の種類や水道管の状況、必要な部品や手数料などにより、水道管工事の費用にはかなり開きがあります。
【戸建て住宅の水道管工事費用の場合】
給水管の引込工事にかかる費用は水道本管から敷地内への距離によって変動しますが、目安として約30万円~です。
くわえて、自治体に納付する給水申込納付金が給水管の口径により約12万円~、分岐管理手数料や設計手数料などが1件につき約15,000円~別途かかります。
そのほかは、
が目安です。
【集合住宅の水道管工事費用の場合】
集合住宅であっても管理規約でリフォームが認められていれば、専有部分に限り水道管工事が可能です。
リフォームなどの場合は約40万円~が相場とされています。
水道管工事の工期もケースバイケースですが、目安としては以下の通りです。
給水管の引込工事は自治体への手続きが必要になるため、水道管から敷地まで近い場合でも、申し込みから約2週間はかかります。
水道管の交換や室内配管工事には約1日~、修繕工事には約1時間~、下水道の清掃には約1.5時間~必要です。
水道管工事の工期は工事の種類や水道管の状況などにより変わるため、一概に「どのくらい」とはいえません。スケジュールに余裕をみて計画することが大切です。
家を新築してからの経過年数や水周りの状態によって、水道管の工事や修繕をすべきタイミングが決まります。以下で、それぞれについて説明します。
水道管には鉄製の鋼管と樹脂管(塩ビ管や架橋ポリエステル管)があります。
鋼管の耐用年数は約15~20年、樹脂管の耐用年数は約20~30年とされています。長く使用していると鋼管には錆びやつまり、樹脂管には繋ぎ目からの水漏れやつまりが発生しやすくなります。
目安として、新築してから約20年以上たっているいる場合は、水道管のリフォームや修繕を検討しましょう。
4-2.水周りの不具合・トラブル
水道管が劣化すると、水周りにさまざまな不具合やトラブルが出てきます。以下のような症状が気になったときは、水道管のリフォームや修繕を検討するべきタイミングと考えてよいでしょう。
気になる症状と考えられる原因
先ほど「水道管工事の内容」の説明でも触れましたが、水道管工事には自治体の認定を受けた水道工事店が行うべき工事と、個人や無資格の業者が行ってもよい工事があります。以下で、それぞれの工事について確認しておきましょう。
水道法や自治体の条例により、以下の水道工事については指定給水装置工事事業者が施工しなければならないと規定されています。
これらの水道工事を素人や無資格の業者が行った場合、水道が止められたり、過料が課せられたりする可能性があります。
配管と関係がなく「給水装置」に該当しない以下のような水道工事については、素人や無資格の業者が施工しても問題ありません。
上記以外に、給水装置の工事についてもDIYを勧めているwebサイトなどがありますが、無資格で給水装置の工事を行えば水道法違反になるためご注意ください。
給水装置の工事については自治体の指定給水装置工事事業者に依頼しますが、一般的には複数の業者が存在します。その中から安心できる工事会社を選ぶためには、以下のポイントをチェックするとよいでしょう。
複数の業者から見積もりを取って比較することも大切です。水道工事は良心的で信頼できる工事会社を選んで依頼するようにしましょう。
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