お風呂の壁や天井にいるコバエ。高い位置に止まってじっとしているときは、ほとんどの人が気づかないかもしれません。しかし、飛んできたときに視界に入り、コバエの存在に気づくことがよくあります。
お風呂以外にも、トイレや洗面所で見かけることもあります。これらの場所に現れるコバエは、キッチンで見る小さなショウジョウバエよりも体長は大きく、一般的なぶんぶん飛び回るハエよりは小さめです。
お風呂場で見かけて、シャワーをかけてみたり、つぶしたり、殺虫剤を噴射したりして退治しようとした人は多いでしょう。しかし、いずれまた1匹、2匹と見かけるようになります。それだけならまだしも、ある日、急に7~8匹ほどに増えていることがあります。
こうなると、どこからか侵入したのではなく「もしやお風呂場の中で繁殖している?」とゾッとするのではないでしょうか。精神衛生上良くないだけでなく衛生面でも問題があるため、見かけたら早めに駆除しなければなりません。
お風呂や洗面所、トイレなどで見かけるコバエは、チョウバエの仲間です。チョウバエは日本で約60種類が確認されていますが、一般家庭で見かけるのはそのうちのオオチョウバエとホシチョウバエの2種類です。体長は成虫で4~5mm、全身が細かい毛で覆われています。
体から大きめの羽が左右に開き、体は三角形ともハートを逆にした形とも表現されています。ハエとつきますが、昆虫の分類ではハエ目(双翅目)カ亜目チョウバエ科であり、学術的には蚊に近い種族と考えられています。
ただし、人を刺して血を吸うようなことはありません。チョウバエの発生時期は4~12月頃といわれていますが、蒸し暑い季節に特に発生しやすく、生育にふさわしい適温であれば年間を通じて発生します。
チョウバエは非常に繁殖力が強い昆虫です。卵、孵化、幼虫、蛹、成虫となって死ぬまでのサイクルが20~30日間ほどですが、その間にメスは1匹あたり200~300個の卵を産むといわれています。卵を産む前に退治できなければ、あっという間に繁殖してしまうでしょう。そのため、お風呂場でチョウバエが大発生する事態が起きてしまうのです。
お風呂場はキッチンのようにエサとなる食材が置いてあるわけでもないのに、なぜコバエが発生するのでしょうか。
人間の皮脂(垢)、毛髪、汚れが固まったヘドロなどの有機物を含んだ汚れは、コバエにとって生きる上で欠かせない栄養源です。お風呂場は一年中温暖で湿潤な環境にあり、エサとなる汚れも豊富にあるため、まさにチョウバエにとって都合の良い生育環境です。また、野外と違って外敵もいないため、安心して産卵できる場所でもあるのです。
お風呂場の排水口の奥にある排水トラップは、排水管の汚水の悪臭を防ぐための封水が常に溜まる仕組みになっています。そのため、完全にお風呂場から水分を除去することはできません。排水口の流れが悪いときは髪の毛や皮脂などが詰まってヘドロ(汚泥)になっていると考えられます。
また、バスタブを覆っているカバーをエプロンといいます。このエプロンが外せるタイプと外せないタイプがあります。エプロンが外せるタイプのものは、定期的に外して洗わないとヌメリの原因となって、汚れが蓄積してしまいます。
また、バスタブの裏側は掃除しにくいため、ヘドロ(汚泥)が溜まりやすい場所です。それらの汚れた場所にコバエが卵を産み付けるケースもあります。成虫になって表に出てこないと気づきませんが、びっしりと幼虫が隠れていることもあるのです。
お風呂でコバエを発見したら、大発生する前にできるだけ早く退治することが大切です。どのような駆除方法が効果的なのか、いくつかのケースを解説します。
一番手軽なのが熱いお湯で退治する方法です。お風呂場なら、コバエめがけて高温のお湯を浴びせかけましょう。家庭の給湯器や温水器から出る最高温度は60度ですが、その程度で十分です。
バスタブと壁とのすき間、バスタブの下やエプロンの裏側、排水口などにもしばらく高温のシャワーを掛け続けます。サッとかけた程度では全滅には至らないため、まんべんなく熱いシャワーが行き渡るように流しましょう。
ただし、熱湯は危険なのでやめましょう。高温すぎるお湯を流してしまうと、お風呂場の床材や排水管を傷めてしまうこともあります。そもそも排水ユニットなどに使われる塩ビ管の耐熱温度は60度程度です。
それ以上の高温のお湯が出ないように給湯器側で設定されているのはそのためでもあり、火傷を防ぐためでもあります。高温のお湯を使うときはくれぐれも火傷には注意してください。
熱いお湯を長時間かけ続けるのは難しいときは、氷水で棲息場所を冷やすのが効果的です。大きな氷の塊を排水口の近くに置き、水を少しずつ流して冷たい水が長時間流れ続けるようにします。
つまり、真冬のような冷たく寒い状態にして幼虫が住めない環境を作ることにより、幼虫を根絶しようというわけです。大きな氷を準備するため事前に若干の手間がかかりますが、その後は、ほとんど手間がかかりません。
塩素系漂白剤の使用可能なお風呂場なら、殺菌殺虫力の強いハイターなどの塩素系漂白剤を利用するのも効果的です。コバエの温床となるカビや汚れを落として、除菌までしてくれます。
カビキラーなどのお風呂用の塩素系のカビ取り製品でも構いません。定期的に使えば、コバエやカビ、雑菌などの繁殖を防いで清潔な環境を維持できますね。
ただし、お風呂場の素材によっては漂白剤で変色することがあるため、塩素系漂白剤の使用の可否を確かめておきましょう。また、塩素系漂白剤を使うときは、必ず換気をして、他の洗剤や薬剤と同時に使用しないよう注意しましょう。
家庭にあるものや手軽にできる方法を紹介しましたが、しばらくするとまたコバエの姿を見かけるようになるなどの場合は、専用の殺虫剤をおすすめします。虫の種類によって効き目の効果が異なるため、お風呂場のコバエ退治には「チョウバエ」に対して有効な殺虫剤を使用してください。
殺虫剤コーナーでは、虫を寄せ付けないタイプのもの、殺虫成分を使わず効き目が穏やかなもの、捕獲目的のものなどさまざまです。
スプレータイプのものは、飛んでいる成虫に直接スプレーし、潜んでいる幼虫には排水口周りなど棲息場所にスプレーします。風呂場全体に殺虫成分を行き渡らせたいなら、バルサンなどの燻煙タイプがおすすめです。液体はリキッドタイプと呼ばれるもので、殺虫ではなく虫除けに効果があります。
殺虫力の強いものは、やはりそれだけ効果が高いといえます。使用するときは、必ず使用上の注意を守って、目や喉を保護して正しく使いましょう。
コバエを見つけた場所は、コバエにとって住みやすい環境であるといえます。コバエを駆除できても、油断するとまた発生源になりかねません。コバエ退治後は、二度とコバエを発生させないよう徹底した対策が重要です。
一度駆除しても産卵できる成虫が外から入ってくれば、また大発生してしまうおそれがあります。発生と駆除のルーティンを繰り返さないためには、産卵できる成虫の侵入を防ぐことが大切です。お風呂場の主な侵入経路は、窓、吸排気口、換気扇などです。
また、玄関や窓を開けたときに侵入したり、網戸のすき間から入ってきたりすることがあります。外と通じている給排気口にフィルターを設置する、網戸のほつれを修理する、網戸を目の細かなタイプに張り替える、玄関や窓の周辺に忌避剤を使うなどして、極力室内への侵入を防ぐことが有効です。
お風呂のコバエは、水気があり暖かく汚れた場所を好みます。コバエを寄せ付けないためには、これらの環境を作り出さず常に清潔にしておくことが大切です。排水口やエプロンの内側は、汚れを溜めないように掃除しておきましょう。排水口は髪の毛やゴミを取り除き、排水口カバーやヘアキャッチャーは取り外して洗剤で洗い、ヌメリが溜まらないようにします。
排水管は、排水管クリーナーなどの洗浄剤でつまりを解消しましょう。エプロンが外せるものは、外してエプロンの内側とバスタブの周囲をよく洗って、熱いシャワーで流したあと乾燥させてから元通りにセットします。入浴後は換気扇を回し、可能であれば、天井や壁、床などを水切りワイパーやタオルなどでさっと水気を取れば素早く乾燥でき、カビ予防にもなります。
お風呂にコバエを大量発生させないためには、侵入阻止とお風呂場の清掃が大切です。
いつの間にかお風呂にいるコバエはチョウバエです。放っておくと気がついたときには大発生して、手がつけられない状態になってしまう可能性があります。そうならないためにも、コバエの侵入阻止とお風呂場の清掃をしましょう。退治しても常に何匹か見かける、殺虫剤が効いている気がしないなどのときは、業者に駆除してもらうことも検討しましょう。
Copyright©株式会社イースマイル【町の水道屋さん】.All Rights Reserved.