本項では浴槽塗装を行うメリットについて解説します。浴槽塗装を行う前にどんなメリットがあるのかをおさえておきましょう。
浴槽塗装は浴槽交換と比較して大きく費用を抑えることができます。浴槽塗装を専門業者に依頼した場合の費用は約7万円~20万円です。これに対して一般的な埋め込みタイプの浴槽を交換する場合は、約15万円~50万円かかります。また、ユニットバス交換の場合では費用は高額となり約50万円~150万円です。ただし、ユニットバスの交換はグレードを上げると250万円以上かかる場合もあります。
交換の場合は古い浴槽の処分費用などが別途必要になります。浴槽塗装では交換部品も処分費用も不要であるため浴槽塗装は浴槽交換よりも安価に施工できます。
浴槽塗装は他の方法よりも短期間で施工できます。浴槽塗装の場合は2日~3日で施工可能なのに対して埋め込みタイプの浴槽交換は3日~7日かかります。ユニットバス交換でも3日~5日ほどです。浴槽塗装であれば他の施工方法よりも短期間で施工できます。
浴槽塗装では浴槽のサイズや規格にかかわらず施工可能です。しかし、規格サイズではない浴槽を交換するためには、新しい浴槽に合うように周囲を整える必要があるため追加工事が必要になります。浴槽塗装であれば施工しやすく余計な費用がかからないことがメリットです。
浴槽塗装は浴槽の表面を塗装するため、細かい傷や汚れなどが目立たなくなります。外見を少ない手間と費用で新品に近い状態に戻すことが可能で、自分の好みの色も変えられることもメリットでしょう。
浴槽塗装にはメリットだけでなくデメリットもあるので注意が必要です。メリットだけでなくデメリットも確認し、どのように工事を進めるか検討しましょう。
浴槽塗装は浴槽の表面を研磨機で磨き、塗料をスプレーガンで塗布して行います。見た目は新品同様になりますが、浴槽を交換していないため経年使用による浴槽の強度や耐久性の劣化は防げません。また、保温性などの元の機能を改善することもできないので注意しましょう。
塗装は、物質の上に塗料を塗るため、どうしても剥離が生じます。これは防ぐことはできません。また、浴槽の材質と塗料には相性があるため、条件によっては、施工の難易度が著しく高くなることがあります。特に、材質がステンレス、ホーローである場合は、塗料の付着が弱いため施工には細心の注意が必要です。高度な塗装技術が求められます。
ホーロー製の浴槽には塗料を塗りにくく耐久性も短めです。そのため、ホーロー製の浴槽を塗装した場合、塗装の種類にもよりますが追い焚きが使えなくなる可能性があります。浴槽の材質がホーロー製の場合は専門の業者に相談することをおすすめします。
浴槽塗装には非常に高い知識と技術が求められるため、浴槽塗装を受託できる業者は少ないのが現実です。また、クレームを受けないように最初から対応しない業者や受託しても保証などのアフターフォローがない業者もいます。
浴槽塗装は前処理から完了まで非常に精密な作業が必要です。さらに質の高い塗装を行うためには浴槽の材質と塗料の相性についての豊富な知識と経験が必要になります。浴槽塗装では業者選びがとても大切になるので、ホームページや口コミサイトで実績や評価が高い業者を選びましょう。
これまで説明したように、浴槽塗装は難しいため塗装職人の中でも特に職人が少ないです。そのため、塗装を頼める人が見つからない場合があります。また、費用をできるだけ安価に仕上げたいという場合もあるでしょう。
浴槽塗装は浴槽の材質に合った塗料、道具、施工知識があれば施工はできます。しかし、準備や工数の多さ、乾燥時間が必要であることなどから、自分で施工するのは難しいでしょう。お風呂は毎日使用するため、劣化しやすく、塗装技術の差が耐久性に大きくかかわるからです。
実際DIYしたけれど数か月で塗装が剥離したというケースもかなり発生しているようです。そのため、素人がDIYで施工することは避けた方が賢明でしょう。結局、業者に依頼することになると自分の作業時間や塗装費用が無駄になるだけでなく、剥がれかけた塗膜をきれいに除去するという前処理が増えるためかかるコストと時間が増えてしまいます。
浴槽塗装によく使われる塗料は、パイロキープとバスピュアコートです。これらの塗料は開発元が浴槽用塗料としてしっかり検討して開発しているため、業者ご用達の塗料として使われています。DIYでも人気があり通販でも購入可能です。この塗料は株式会社ビルドランドから発売されています。
間違っても近くのホームセンターで販売している浴室用のスプレータイプの商品は使わないようにしてください。浴槽用ではなく浴室用であり、浴室の壁や天井に使うことを目的とした塗料です。気をつけましょう。
以下にパイロキープとバスピュアコートについて、それぞれの塗料の特徴と違いを説明します。
パイロキープは、さまざまな材質の浴槽に対して接着性、耐水性、耐熱性に優れている多機能塗料です。チタン酸カリウムウイスカーという物質とアクリル変性シリコンを組み合わせたパイロキープTS2000が業者でもよく使われています。2液性の塗料で決められた比率で2液を混合して使います。施工は吹き付けで行うため塗装中級者以上向けの塗料です。
シリル化フッ素樹脂塗料であるパイロキープTS-FXクリアーをその上からトップコートとして併用すればより高い性能を発揮することが可能です。DIYで浴槽塗装するのであれば耐久性向上のために併用するのがよいでしょう。
バスピュアコートは、ハケでも塗布できる塗料で、DIYで採用するのであればこちらがおすすめです。パイロキープよりも耐久性は少し劣りますが、トップコートを併用することで耐久性を向上できます。バスピュアコートは上塗り用塗料であるため、ホーローやステンレスの浴槽では塗料の付着性を持たせるための下塗りが必要となります。こちらも2液性の塗料です。
DIYにはバスピュアコート、塗装経験が豊富な人にはパイロキープがおすすめです。それぞれ特徴が異なるため、自分に合う方を購入してください。塗装が付着しにくいホーローやステンレスの浴槽には前処理やプライマー(下塗り)などが必要になります。
浴槽塗装の手順について解説します。浴槽塗装では、塗料がしっかり付着するように塗布箇所の清掃や下地の処理が必要不可欠です。浴槽の表面にゴミや大きな傷がある場合、塗装の仕上がりにも大きく影響するためまずゴミや汚れをよく落とします。そして、塗料の付着を助けるためにサンドペーパーや研磨機で塗装面をすべて目粗しし、表面に細かな傷や凹凸をつけます。目粗しは下地調整として浴槽塗装の仕上がりに大きな影響を与えるため見えないところではありますが丁寧に行いましょう。
次に、塗料のはじき防止にシンナーやウレタンシンナーで油分を完全に除去します。有害な有機溶剤を使用するため、換気しながら防護マスクを使用して作業してください。その次は養生テープでマスキングを行い、スプレーガンまたはハケで塗料を塗布します。パイロキープの場合は重ね塗りもしくは乾燥をさせてからの二度塗りを行ってください。
塗料が硬化したら表面仕上げとして、ポリッシャーやパフなどでざらつきがなくなるまで研磨します。さらに耐久性の向上のためにトップコートを塗布すれば、剥がれが生じるおそれが少なくなるでしょう。
このように塗料の剥離を防ぎ、耐久性を向上させるためにはさまざまな前処理が必要です。塗装には水分が厳禁であり、シンナーなどを使って脱脂も必要です。養生や仕上げまで行うとなるととても手間がかかる作業になります。コスト削減のために自分でDIYすることも可能ですがやはり塗装未経験者にはハードルが高いでしょう。
浴槽塗装をDIYで行う場合に気をつけなければいけないことを説明します。強固に付着する塗料は2液性であるものが多く、今回紹介したパイロキープやバスピュアコートも2液性です。2液性の塗料は正確な比率でしっかり混合しなければ性能を十分に発揮できません。混合が不十分だと塗料として使えないだけでなく、耐久性も担保できないため注意が必要です。
また、気温が低い場合には塗料の硬化が遅くなるため硬化剤の使用が必要ですが、気温が高い場合は硬化剤を入れると硬化が促進されすぎて塗布性が悪くなります。このあたりのさじ加減が高い経験と知識、技術がないと判断に困るところです。
一番気をつけるべき点は湿度で、高湿度であるほど塗料が付着しにくく剥離の原因となります。そのため、浴槽だけでなく浴室全体をしっかり乾燥させることが必須です。塗料の種類によって乾燥時間が大きく異なるため、十分に乾燥するまで水を流したり、触ったりしないようにしましょう。
自分で浴槽塗装のDIYを施工することに不安がある人は、実績のある専門の業者に依頼することをおすすめします。ここからは業者に依頼する場合の費用相場や施工方法を紹介するので参考にしてください。
浴槽塗装を業者に依頼する場合の費用相場は10万円~20万円ほどです。据え置きタイプの浴槽であれば10万円以下で塗装することも可能です。埋め込みタイプやユニットバスの場合は、養生や特殊な前処理などが必要になるため少し割高になる場合があり、20万円程度になるでしょう。ただし、ユニットバスの場合は基本的に塗装に向いていない設計のため、交換した方がよい場合もあります。専門業者に相談して塗装にするか交換にするのかを判断しましょう。
浴槽塗装による浴槽のリフォームは浴槽を廃棄しないため、ゴミがあまり出ず、SDGsに貢献できます。しかも、費用が浴槽交換よりもかなり抑えられるので、浴槽の傷みがそれほど酷くない場合にはおすすめです。色を変える調色も可能なため専門業者に相談するとよいでしょう。見た目ががらりと変わるので低予算で素敵なバスタイムを満喫できます。
ただし、浴槽の材質などで塗装の耐久性は変わるため、数年で塗り直しが必要になる場合もあることには注意が必要です。
浴槽の傷みが激しく大きなヒビや割れが生じている場合は、塗装では直せません。見た目を新品同様にするだけなので近いうちに壊れてしまうおそれがあります。このような場合には浴槽の交換がおすすめです。浴槽には埋め込みタイプとユニットタイプがありますが、まずは埋め込みタイプの浴槽交換について紹介します。
埋め込みタイプの浴槽交換の費用相場は15万円~50万円程度です。全く同じサイズの浴槽でメーカーに在庫が豊富にある場合や業者の在庫一掃セールなどを利用すれば、もっと安く交換できることもあります。業者によって、古い浴槽の撤去費用や処分費用の額が異なるため、総額が異なるのが一般的です。最低でも3社で相見積もりを取ることをおすすめします。
また、浴槽のサイズ変更をする場合は浴槽のサイズに合わせるための追加工事が必要となるため、費用が高額になります。在来工法で作られたタイル張りの浴室の場合は、施工期間もかかるうえ費用も高額になるため、浴槽だけでなく浴室全体のリフォームを考えた方がよい場合もあります。予算を考慮しながら将来も考えて業者にじっくり相談してください。
ユニットバスの交換にかかる費用相場は約50万円~150万円です。しかしユニットバスの場合は、グレードや機能性によって大きく価格が異なります。同じサイズのユニットバスの在庫があり最低限の交換で済む場合は50万円で済む場合もありますが、総額ではもっと高額になることが多いでしょう。
ユニットバスは浴室全体を1つのユニットとして構成するため、ユニットを丸ごと交換しなければいけません。その場合最低でも80万円程度は必要となり、グレードアップすると250万円を超えることもあります。
しかし、浴室全体がきれいに生まれ変わるため満足度は非常に高いでしょう。予算と生活サイクルなどを鑑みて自分や家族に最適なグレードを選択してください。また、在来工法で作られた古いタイル張りの浴室の浴槽交換をするよりも、ユニットバス化するほうが工期も短く、美しい仕上がりになります。
浴槽塗装は業者に頼んでも安くて済むうえ、見た目は新品同様になるため、浴槽の最低限のリフォームとしてはおすすめです。しかし、浴槽や浴室の性能は向上しないうえ、劣化の問題は解決できません。
また、古い浴槽や浴室はお湯の保温性が低く、浴槽への出入りがしにくい場合があります。高齢化社会ではバリアフリーやヒートショック予防のための機能性を付与した浴室全体のリフォームを考えてみるのもよいでしょう。
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