お風呂に生える黒いカビと赤いカビの原因や発生条件をくわしく解説します。
黒くポツポツと生える黒カビの正式名称は「クラドスポリウム」と言います。水気の多い場所に多く発生するため、お風呂以外には食品や衣類に生えることもあるカビです。しっかりと根を張る性質があり、一度発生すると掃除に苦労します。黒カビが発生する条件は以下の通りです。
黒カビは皮脂や石鹸カス、髪の毛などを栄養源として繁殖します。湿度が高く栄養源があるお風呂場は、黒カビが繁殖しやすい条件が揃っている場所です。
黒カビ自体には毒性はありませんが、黒カビの胞子を人間が吸い込むと、ぜんそくやアレルギー反応の原因となることもあります。見つけたら早めに除去するのがおすすめです。
お風呂の床や、シャンプーボトルの裏側で発生しやすいピンク色のぬめりは、正式名称「ロドトルラ」と言います。その色から通称「赤カビ」と呼ばれているためカビだと勘違いしている人が多いですが、実際はカビではなく酵母菌の一種です。
赤カビの原因菌であるロドトルラは空気中の常在菌で、以下の通り黒カビと似たような条件で繁殖します。
栄養源は石鹸カスや皮脂ですが、水分だけでも繁殖できるのが特徴です。加えて繁殖スピードが早いため、条件が揃うとあっという間に増えてしまいます。
赤カビは見た目が不快なだけで人体に悪影響はありませんが、黒カビの栄養源です。放置すると黒カビが増える原因になります。赤カビは酵母菌なので根を張ることはなく、スポンジでこすれば簡単に落ちます。赤カビを放置していてもデメリットしかないので、見つけたら早めに掃除しましょう。
カビは条件が揃うとどこでも発生します。カビが発生する条件は以下の通りです。
お風呂場は温度が10~30℃に保たれていることが多く、水やお湯を使う場所なので湿度が70%以上になりやすい環境です。さらには皮脂や石鹸カス、髪の毛などカビの栄養源となるものが豊富で、酸素も存在しています。
カビが発生する条件が揃ったお風呂場は、カビにとって繁殖する絶好の場所だと分かります。
お風呂のカビ取りにおすすめの洗剤を3種類紹介します。それぞれの特徴も合わせて紹介するので、カビ取りの際にぜひ有効活用してください。
塩素系のカビ取り剤は、強力なカビを落とせます。塩素系薬剤がカビの細胞やカビが作り出す色素を分解する作用があるからです。塩素系カビ取り剤はアルカリ性で「亜塩素酸ナトリウム」を主成分としており、プールと同じ塩素独特の刺激臭がします。
塩素系のカビ取り剤にはスプレーとジェルの2タイプが主流です。スプレータイプの代表的な商品には、SCジョンソン「カビキラー」や、花王「カビハイター」があります。ジェルタイプの代表的な商品はSCジョンソン「カビキラーPRO最強ジェル」やレックの「激落ち黒カビくんジェル」です。スプレータイプは幅広い範囲に、ジェルタイプはゴムパッキンなどピンポイントでカビ取りを効かせたいところにおすすめです。
なお、塩素系カビ取り剤と塩素系漂白剤は成分が似ていますが、違うものです。塩素系カビ取り剤は漂白剤よりも濃度が低く、スプレーやジェルタイプの商品が展開されています。対して塩素系漂白剤は、液体タイプやスプレータイプが多いです。
漂白剤よりも濃度が低いカビ取り剤ですが、カビに特化しているものもあり、ゴムパッキンに浸透しやすくなっていたりカビに効きやすい配合にしてあったりと工夫されています。安全面から見ても、カビを除去する際には漂白剤ではなくカビ取り剤を使いましょう。
また、塩素系のカビ取り剤は酸素系漂白剤や重曹に比べると強力なのでカビ掃除に使うことも多いですが、威力が強いため、その分取り扱いには十分注意する必要があります。
酸素系漂白剤は過炭酸ナトリウムを主成分とした洗剤で、塩素系に比べるとやや力が弱いですが、除菌・漂白効果があるためカビにも効果があります。肌への刺激が少なく、臭いがない点がメリットです。効果が穏やかで色抜けも少ないので、酸素系漂白剤は衣類に生えたカビや汚れの除去によく使われます。
酸素系漂白剤を浴室のカビ取りに使う場合は、粉末タイプを使います。片栗粉と水とペースト状にしてカビが生えたところに塗って付け置きするか、ぬるま湯に酸素系漂白剤を溶かしてスプレーにして使いましょう。
粉末タイプ酸素系漂白剤の代表的な商品にはグラフィコの「オキシクリーン」やシャボン玉石けんの「酸素系漂白剤」があります。塩素系カビ取り剤ほど強力な除菌力はないので、カビ取りに時間がかかる点は注意してください。
重曹は黒カビを落とすほどの除菌力はありませんが、赤カビを落とすのには向いています。赤カビは酸性なので、アルカリ性の重曹を使うと落ちやすいです。重曹は100円ショップやスーパーでも掃除用のものが売られているので、簡単に手に入ります。
重曹にはクレンザーのように研磨効果があるため、粉の状態のままこすると赤カビがキレイに消えます。発砲してこびりついた汚れを浮かせる効果もあり、赤カビを落とす以外にもさまざまな掃除に活用できて便利です。
塩素系カビ取り剤・酸素系漂白剤に比べて効果は穏やかですが、人体への刺激がなく安全性が高いです。また、環境に優しいメリットもあります。
お風呂の場所に応じた、塩素系カビ取り剤での掃除方法を紹介します。
カビ掃除の際は、基本的には以下の道具を用意してください。
お風呂のカビ取りを行う場合は、必ずゴム手袋とマスク、ゴーグルをしましょう。また、塩素系のカビ取り剤は洋服につくと色が抜けてしまうため、色抜けしても問題ない服で掃除するのがおすすめです。
天井のカビ取り方法を紹介します。天井に直接カビ取り剤をスプレーしてはいけません。カビ取り剤が液だれして顔にかかったり目に入ったりする可能性があるためです。フローリングワイパーを活用すれば、安全に掃除できます。
まずは乾いたシートをフローリングワイパーに取り付け、天井全体の水気を吸い取ります。その後、カビ取り剤をシートに染み込ませて天井を拭いていきましょう。30分ほど放置した後、シャワーで洗い流してください。
天井を洗い流す際はしたたり落ちる水滴が自分に当たらないよう、真下からではなく少し離れた位置からななめ上に向かってシャワーをかけると安全です。十分に流し終わった後、新しいドライシートで水気を拭き取ります。もしカビやが汚れが残っていた場合は、ドライシートで何度かこすって落としてください。
天井のカビ予防をするには、月に1回ほどの頻度でシートにアルコール消毒液を染み込ませてフローリングワイパーで天井を拭きましょう。黒カビはアルコールに弱いため、アルコール除菌でカビの発生を防げます。
壁や床のカビ取り方法を紹介します。頑固なカビには、食品用のラップとキッチンペーパーを使った付け置きが効果的です。ラップとキッチンペーパーを使えば液だれやカビ取り剤の蒸発を防ぎつつ、黒カビが気になる部分に集中的にアプローチできます。
まず壁や床の水気を拭き取った後、黒カビにカビ取り剤を吹きつけます。その後、液だれする前にキッチンペーパーを貼り、さらにその上からラップでパックしてください。30分程度放置したら、キッチンペーパーとラップを外してシャワーで洗い流します。洗い流した後は、雑巾でしっかりと水気を拭き取って完了です。
風呂蓋のカビ取り方法を紹介します。湯船の湯気に当たることの多い風呂蓋は、カビが繁殖しやすい場所です。
風呂蓋のカビ取りをする際は事前に蓋をよく乾かしておき、カビが気になる部分にカビ取り剤をかけていきます。壁・床のカビ取りでも紹介したように、キッチンペーパーや食品用ラップを使って付け置きすると、狙った黒カビを効率的に除去できます。
30分ほど放置した後にシャワーで流し、カビが取れているか確認しましょう。もしカビが取れていない場合、もう一度カビ取り剤をつけて放置してください。ただし、強力なカビ取り剤を使ったり、長く放置しすぎたりすると、風呂蓋のゴムの部分が劣化するおそれもあるので注意しましょう。
カビが落ちた後はお風呂用の中性洗剤とスポンジを使って全体を洗います。何回掃除してもカビや汚れが落ちない場合は、風呂蓋の買い替えを検討してもいいかもしれません。
浴槽の下のカビ取り方法を紹介します。浴槽の側面に「エプロン」と呼ばれるカバーがついている場合は、その中も黒カビや赤カビが繁殖しやすいです。
ほとんどの浴槽はエプロンの下に手をかけて引っ張れば外れますが、中にはドライバーが必要なエプロンもあります。外し方は浴槽の端にステッカーで貼ってあるので、確認しましょう。
エプロンを外したらまずシャワーを当てて汚れを落とし、シャワーで落ちなかった汚れをスポンジやブラシを使って汚れを落としていきます。この際、柄のついた長いスポンジやブラシがあると便利です。その後、塩素系カビ取り剤を吹きつけて約10〜30分放置してから再度シャワーで流します。
エプロンの中は普段目には見えない部分だけに、カビが繁殖していても気づきにくいです。しかし、排水口付近には石鹸カスも溜まりやすく、黒カビの温床になっています。放っておくと排水口が詰まる原因にもなるので、年末の大掃除や大型連休など、年に数回はエプロンを取り外してのカビ掃除がおすすめです。
ゴムパッキンのカビ取り方法を紹介します。ゴムパッキンに生えたカビは深く根を張っており、しつこくて頑固なので、通常の方法だとなかなか取れません。片栗粉を使ったカビ取り剤ペーストを作って掃除しましょう。
カビ取り剤ペーストは、ボウルにカビ取り剤と片栗粉を同じ分量入れ、ペースト状になるまでかき混ぜるだけで簡単に作れます。かき混ぜには使い終わった歯ブラシを使うと、ゴムパッキンに塗る時も使えて便利です。
まずカビ取り剤ペーストをゴムパッキンに塗り、5分以上放置します。ペーストの上にラップを被せると、カビ取り剤の成分が蒸発しないのでより効果が出やすいです。その後、歯ブラシでゴムパッキンを軽くこすってから、水で洗い流します。うまく流れない場合はキッチンペーパーで拭き取ってから流しましょう。
歯ブラシを使っての掃除ですが、もしカビ取り剤ペーストが手につくと手荒れの原因となります。必ずゴム手袋をつけて掃除してください。
お風呂のカビ取りをする際の注意点を4つ紹介します。
カビ取りは普段の掃除よりも威力の強い薬剤を使って行うため、注意事項を守らないと健康被害や命の危険もあります。ただのお風呂掃除だと侮らず、しっかり注意事項を守って掃除しましょう。
お風呂掃除は必ず換気しながらしましょう。特に塩素系カビ取り剤を使用する場合は塩素の刺激臭があるためです。
お風呂掃除をするときは換気扇を回しドアや窓を開けて、空気がこもらないようにします。数時間かけて掃除をする場合は、こまめにお風呂場の外に出て新鮮な空気を吸うのも大切です。
また、いくら換気しているとはいえ大量にカビ取り剤を使うと目や鼻が痛くなったり、臭いで気分が悪くなったりします。十分な換気と、適切な使用量はしっかり守りましょう。
お風呂のカビ取りをする際は、必ずゴム手袋やゴーグル、マスクを着用しましょう。特に塩素系の洗剤は強力なので、人体に有害な成分が含まれています。
また、塩素系の洗剤は目に入ると失明のおそれがあるため、掃除の際はゴーグルやメガネの着用が必須です。またにおいは刺激が強く、吸い込みすぎると気分が悪くなることがあるので、マスクを着用してなるべく吸い込まないようにします。ひどい手荒れを起こす可能性もあるので、ゴム手袋もしっかりつけましょう。
もし掃除をしている最中に体調に異変を感じたらすぐに中断して、新鮮な空気を吸ってください。しばらく休んでも体調が回復しない場合は、病院の受診をおすすめします。
洗剤の取り扱いには注意が必要です。特に「まぜるな危険」と表示されている塩素系洗剤と酸性洗剤を混ぜると、有毒な「塩素ガス」が発生します。塩素ガスには腐食性があり、目やのどに刺激を与えます。塩素ガスを吸い込むと、場合によっては命に関わることもあるので、非常に危険です。
例えば混ぜたつもりはなくても、塩素系カビ取り剤をきちんと流さないまま酸性洗剤を使うと塩素ガスが発生します。特に壁や床など広い範囲に塩素系カビ取り剤を使う場合は流し忘れが起きがちなので、何度もシャワーで洗い流しましょう。また、壁に塩素系洗剤、床に酸性洗剤など、別々に使っているつもりでも液だれなどで誤って混ざってしまうことがあるため、同じタイミングで使うのは厳禁です。
万が一誤って混ぜてしまったり、目や鼻などに違和感を感じたらすぐにその場から離れ、ガスがなくなるまで換気を続けてください。
天井や高い位置の壁を掃除する際は、顔や目に洗剤の飛沫がかからないようゴーグルとマスクで目と顔を保護します。塩素系のカビ取り剤は目に入ると失明する恐れもあります。
万が一洗剤の飛沫が目に入ってしまった場合は、すばやい応急処置が重要です。目をこすらずに、水かぬるま湯で液剤が入った目を15分以上洗い流し続けます。シャワーを直接目に当てて洗う場合は、水流を弱くして目に刺激を与えないように注意してください。
応急処置のすばやさと正しさでその後の症状が変わるためしっかり水洗いします。応急処置が終わった後、目に違和感や異常を感じなくても、すぐに眼科を受診しましょう。
お風呂にカビが生えないように予防する方法を3つ紹介します。
日頃の対策でお風呂のカビの生えやすさが変わります。ぜひ毎日のお風呂に取り入れてください。
お風呂を使った後は、しっかりと浴室を乾燥させることでカビ予防できます。使用後には必ず換気扇をかけ、湿気を外に逃がしましょう。もし浴室乾燥機がある場合は活用すればよりカビ予防に効果があります。
また、お風呂を使い終わった後に雑巾や水切りワイパーを使って壁や床に水気を残さないようにするのも重要です。5分もあれば浴室全体を水切りできるので、お風呂の使用後はしっかり壁や床の水を切ってカビが育ちにくい環境を作りましょう。
お風呂を使用し終わってから、壁や床に50℃ほどのお湯をかけるとカビ予防になります。カビの菌糸は50℃以上の熱で死滅すると言われているため、壁から床まで5秒ほどお湯をかけ続けましょう。あまりに熱すぎるお湯だと、タイルや排水管が傷む原因になるため、50℃を目安にしてください。
ただし、熱に弱いのはカビの菌糸であり、カビの胞子には耐熱性があります。そのため、お湯をかけるだけでは完全にカビを防ぐことはできず、またカビが生えてしまいます。水切りや浴室内の乾燥と合わせて行い、カビを発生しにくい環境を作りましょう。
掃除の手が行き届きにくいシャンプーボトルの底には赤カビが発生しやすく、その赤カビを栄養源とする黒カビも発生しやすいです。久々にシャンプーボトルを持ち上げて見てみたら、底がカビで真っ黒になっていた経験がある人も多いと思います。
シャンプーボトルは床に置かず浮かせて収納するとボトルの底に水分が溜まりにくくなるため、カビ予防になります。浴槽に備え付けのタオルラックにひっかけたり置いたりすればそのままプッシュできて便利です。また、浴室の壁にはマグネットがくっつくことが多いので、100円ショップやホームセンターで売っている強力なマグネットフックを利用すれば浮かせて収納できます。
普段はお風呂の外でシャンプーやボディーソープなどを保管し、お風呂の時に持ち込む方法もあります。カゴにまとめて入れてお風呂のすぐ近くに保管しておけば、持ち込むのを忘れた時でもすぐに取れるので問題ありません。外に置いておくとお風呂場がスッキリし、掃除がしやすくなるメリットもあります。使い終わったらシャンプーボトルの水気をタオルで拭き、乾いた状態でまた外に保管すればカビの発生を防げます。
浮かせて収納したり浴室の外で保管したりして、シャンプーボトルをなるべく床に置かないようにすれば、黒カビや赤カビの繁殖を防げます。
お風呂のカビの種類や発生条件、場所別にカビ取り方法を紹介しました。お風呂のカビ取りはこまめに掃除を行い、場所によって合った掃除方法でカビを取るのが重要です。
お風呂の使用後に50℃ほどのお湯をかけたり、水切りをしたりして、日頃からカビ対策を行っておくとお風呂掃除が楽になります。
ぜひ紹介したカビ取り方法や掃除方法を実践して、黒カビや赤カビのない快適なお風呂で気持ちの良いバスタイムを楽しんでください。
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