バリウムは硫酸バリウムを砕いた粉が原料です。硫酸バリウムは金属で水に溶けず、便器にこびりつきやすいという特徴を持っています。
通常、バリウムを含んだ便はトイレに流すことができます。しかし、まれにバリウム検査の後の大便が流れなくなってしまったり、便器内に張り付いてしまったりします。本項ではバリウムがなぜ流れなくなってしまうのかを解説します。
バリウムは粉状にしたものに添加物を配合して水に溶かし、飲みやすいよう甘みを加えた状態で服用します。私たちが検査のときに見るバリウムは液体の状態ですが、元々は水に溶けないバリウムを無理やり溶かして服用しています。
バリウム検査でバリウムを服用したあと、バリウムは体内で水分を奪われてどんどん固くなってしまいます。バリウムは便として排出される頃には便よりも固く、粘り気がある状態です。さらに、バリウムが長く体内に残るほどバリウムは水分を奪われて固くなり、トイレに流しにくくなったり、便秘になったりする原因になります。
バリウム検査をしたら、検査後に下剤を服用するよう指示されることも多いです。下剤は、バリウムを体内に長くとどまらせないために処方されます。ただ、下剤を飲んだからといって、バリウム検査のあとすぐに便意を覚える人は少ないでしょう。多かれ少なかれ、バリウムは検査した人の体内に残り、少しずつ固くなっていきます。大便にまじってバリウムが排出されるときには、大便よりもバリウムの方が固くなっていて、通常の便よりも流れにくくなっています。
バリウムは、粘性が高いので便器に張りつきやすいという特徴を持っています。バリウムの粘性が高いのは、胃の表面にバリウムを張り付かせるために粘着剤が含まれているためです。バリウム検査の前に飲食が禁止されているのも、胃を空の状態にして胃の全体にバリウムを張り付かせるためです。
バリウムを飲んだ経験がある人は、バリウムの粘性が高く飲みづらい思いをした人も多いのではないでしょうか。バリウム検査では、バリウムを胃の粘膜に張り付かせて検査を行います。サラサラした液体ではうまく内臓に張り付かずに検査ができないため、胃の粘膜に張り付かせやすいように粘性を高めています。
服用する状態で粘性が高いバリウムは、体内で水分を奪われていくことでさらに粘性が高くなります。粘性が高くなった状態でバリウムが排出されることで、便器に張り付きやすく、トイレに流れにくくなってしまいます。
さらに、粘性が高いバリウムは、今どきの節水型トイレと相性が悪いです。節水型トイレは、トイレを流すときの水を必要最低限にすることで水の使用量を抑えています。節水トイレにバリウムを含んだ便を流そうとすると、水の勢いが足りず、粘度が高いバリウムが流れにくくなってしまいます。
バリウムは、水よりも重いのでトイレの中で沈殿します。バリウムの重さは、水の3.5倍から4倍ほど。便と水、バリウムで比べるとバリウムが一番重いです。粘度が高く、固まりやすいバリウムが便器の底に沈むことで、弱い水流では押し流すことができなくなってしまいます。
さらに、沈殿したバリウム便が便器の内側にこびりついてしまうケースもあります。こびりついたバリウムを放置し、固く変質させてしまうことで、トイレの詰まりなどを引き起こすことがある点には注意が必要です。
ちなみに、水よりも重いバリウムは重さがあるため腸内での動きも遅いです。早い人であれば、数時間ほどでバリウムが排出されます。しかし、中にはバリウムの排出に10時間以上かかる人もいます。バリウムが体内に残る時間が長いほど、体内のバリウムは固まりやすくなります。バリウムが体内に残り、排出されるころには重い塊になることが、バリウムを含んだ便がトイレに流れにくくなる原因のひとつです。
金属であるバリウムは、水に溶けにくい性質を持っています。バリウムが便器にこびりついてしまった場合は、徐々に溶けていくことはありません。便器内にこびりついたバリウムを取り除くには、押し流すか、こすり落とすしかありません。
胃の検査のために服用するバリウムは、胃の内部に張り付くことで検査が可能になります。バリウムが水に溶ける性質を持っていたら、胃の中でサラサラに溶けてしまって検査することができません。よって添加物を加えて、水に溶けて均一な濃度になるように作られています。
とくに、近年人気の節水トイレでは、水に溶けないバリウムを流す力が弱い製品が多いです。水に溶けずに沈殿し、粘性のあるバリウムは、少しずつ溶けてキレイになくなることはありません。バリウムを排出するときは、多量の水で勢いよく流さなければ、便器にこびりついてしまいます。
バリウムを含んだ便やバリウムがトイレに流れなくなってしまったら、下記で紹介する方法を試してみてください。目で見て、便器内のバリウムを確認できるケースであれば、業者に頼まずに自分で対処できます。
ただし、バリウムが見えない場合や下記の方法を試しても症状が改善しない場合は、トイレを傷つけないためにも専門の業者に依頼するようにしましょう。無理にバリウムを取り除こうとすると、トイレを壊してしまう可能性があります。
バリウムやバリウムを含んだ便の塊が便器にこびりついている場合、使い捨てできる割り箸を使って取り除く方法を試してみましょう。方法は、割り箸でつまみ上げるようにバリウムやバリウムを含んだ便を取り除くだけです。具体的な手順は以下の通りです。
落としたバリウムはそのままトイレに流しても良いですが、排水管にこびりつくことを考えてビニール袋に入れて廃棄するのがおすすめです。もしトイレに流すのであればトイレットペーパーに包んで多めの水で流すようにしてください。
割り箸を使う際には、便器を傷つけないようにバリウムを優しく取り除きましょう。割り箸で便器内を強く擦ると、傷をつけてしまうおそれがあります。細かいバリウム汚れは割り箸でこすり落とすことはせず、スポンジやブラシを使うようにしましょう。
少量のバリウムが残ってしまったときは、ブラシを使って落とす方法がおすすめです。トイレブラシや歯ブラシなどを使って、便器内の便をやさしくこすり落としましょう。細かい場所にバリウム便がこびりついている場合、歯ブラシなどの小さいブラシを使うと落としやすいです。手順は以下の通りです。
ただし、バリウムが落ちないからといって、金属たわしなどの固いブラシを使うのは避けましょう。便器の傷つきの原因となってしまいます。便器内が傷つくと、汚れや雑菌がたまりやすくなります。バリウムをブラシで取り除くときは、便器を傷つけないくらいの柔らかいブラシを使い、軽い力で擦ってください。
また、ビニール手袋をした手で大きな汚れを落とす方法もおすすめです。割り箸でもとれず、ブラシでも落としにくいバリウム便は手で直接落とすことで簡単に剥がれるケースがあります。ビニール手袋を使う際は、手が汚れてしまわないよう、2枚重ねにしたり、長めの手袋を使用するのがおすすめです。
バリウムは、お湯を使うことで溶けたり、柔らかくなったりします。割り箸やブラシで落とせなかった頑固なバリウム汚れは、お湯を使う方法を試してみましょう。具体的な手順は以下の通りです。
お湯を使うときは、熱湯を使わないようにしてください。熱湯をトイレ内に流し込んでしまうと、便器や配管が破損する可能性があります。バリウムは、40℃~50℃のお湯で十分柔らかくすることができるので、蛇口から出るお湯を利用するのがおすすめです。お湯が50℃以上になってしまったら、水を加えるなどして冷ましてから使うようにしましょう。
バリウムを含んだ便は、トイレに流すことができます。しかし、いつもと同じように排便すると、便器内にバリウムがこびりついたり、バリウムが流れなくなってしまうこともあります。バリウムを含んだ便は排出する前に工夫することで、便器へのこびりつきやトイレの詰まりを予防できます。とくに、健康診断などでバリウム検査を行う機会が多い人は、以下の予防方法を覚えておくと便利です。
バリウムを含んだ便を排出するときは、使い捨てトイレを使用することで、トイレのバリウム汚れを予防できます。使い捨てトイレの使用方法は製品によって異なるので、必ず説明欄を確認してから排便を行いましょう。使い捨てトイレは、ドラックストアやホームセンター、百均などで購入できます。
使い捨てトイレは、バリウムを排出するときだけではなく、防災対策としても役立ちます。手軽に購入できるので、家にいくつか常備しておくと安心です。使用方法も併せて確認しておくと、万が一のときに困らずに済みます。バリウム検査をいい機会に、使い捨てトイレの使い方を確認しておくのもおすすめです。
自宅のトイレを汚しなくないからといって、公共のトイレなどでバリウムを排出することは避けましょう。公共のトイレは、水を節約するために節水トイレを採用している場所も多いです。節水トイレでバリウムを排出すると、汚れやトイレつまりの原因となり、トイレの管理をしている人やトイレを使用する人に迷惑がかかる可能性があります。外出先で便意を覚えた場合は仕方ありませんが、バリウムを排出するために公共のトイレを利用するのはやめましょう。
バリウムは、体内に長く残ることでどんどん固くなっていきます。なるべく早くバリウムを排出することで、できるだけ柔らかい状態でバリウムを排出することができ、トイレが流れなくなってしまうのを防ぐことができます。
バリウム検査のあと、バリウム排出まで時間がかかってしまっているときは、検査をした病院へ連絡して下剤を処方してもらうか、市販の下剤を使用しましょう。バリウム検査のときに下剤を処方してもらうことも可能なので、バリウムが体内に残るのが心配な場合は、事前に下剤をもらっておくと安心です。
ちなみに、バリウムの副作用として下痢や便秘が挙げられます。バリウム検査後に便が出ないなどの異常を感じたら、必ず検査を行った医療機関へ連絡して指示を仰ぎましょう。バリウムが長く体内に残ると、便秘になってしまう可能性があるので注意が必要です。
バリウムを排出するときは、汚れや詰まりを予防するためにトイレットペーパーを便器内に敷いておくのがおすすめです。トイレットペーパーの上にバリウム便を排出することで、便が流れるときにトイレットペーパーがバリウムを含んだ便を包んでくれるので、便器内にバリウムがこびりつきにくくなります。
また、トイレットペーパーがバリウム便を包んでくれることで、トイレつまりを予防することが可能です。バリウム検査のあとに便意をもよおしたときは、念の為トイレットペーパーを敷いた上で用を足すようにしましょう。
ただし、バリウムの汚れを防ぎたいからといって大量にトイレットペーパーを使用するのは避けてください。トイレットペーパーを大量に使用することも、トイレの詰まりの原因になります。バリウムを受け止めるための場合、トイレットペーパーを2枚〜3枚ほど重ねる程度で十分です。トイレットペーパーの使い過ぎには注意してください。
最後に、バリウムを便器から取り除くときの注意点を解説します。トイレに流れなかったバリウムを取り除くときは、便器を傷つけないように気をつけなければいけません。便器内に傷がついたり、便器に負担がかかる方法でバリウムを取り除くことで、便器の汚れがたまりやすくなってしまうので注意が必要です。
バリウムが便器内に残った場合、放置することでどんどん固くなっていきます。トイレを使っているうちに流れるから大丈夫と放置してしまう人もいますが、放置は間違いです。トイレへのこびりつきやトイレつまりを予防するためにも、便器内にバリウムがついてしまったときは、なるべく早くバリウムを落とすようにしましょう。
とくに、トイレの奥の方でバリウムが流れなくなったときは注意が必要です。バリウムにトイレットペーパーなどがくっつき、トイレの詰まりの原因になります。便器の奥の方でバリウムが流れなくなったときは、なるべく早く取り除くようにしましょう。
ブラシや割り箸を使ってバリウム便を取り除くときは、強く擦りすぎないように気をつける必要があります。強く便器を擦ることで、便器が傷ついてしまう可能性があるので注意しましょう。
ブラシを使うときは、トイレ用の掃除ブラシや歯ブラシを使うと安心です。たわしなど固いブラシを使うと、便器に細かい傷がつく可能性があります。便器内に傷がつくと、便や雑菌がたまりやすくなり、トイレが汚れやすくなってしまいます。大きな傷がついてしまうと、亀裂が入ったり、便器が割れたりする可能性もあります。バリウムを取り除くときは強く擦らないように十分注意しましょう。
バリウムを取り除きたいからと言って、熱湯を使用してはいけません。熱湯を便器に流し入れることで、便器が割れたり、配管の破損を招いたりするので注意が必要です。とくに、便器が割れてしまったらトイレごと交換する必要が出てきてしまい、高い費用がかかります。
また、トイレを含む排水管は熱湯で破損することがあります。熱湯を使えば、汚れがキレイに落ちると感じる人も多いでしょうが、絶対に熱湯は使用しないようにしましょう。トイレだけではなく、キッチンやお風呂、洗面所などにも熱湯は流してはいけません。
掃除でお湯を使用するときは、40℃~50℃のお湯を使用するようにしてください。熱湯でなくてもバリウムは十分落とすことができます。お湯を作って掃除をするときは、沸騰したお湯に水を足して冷やすなどの対策が必要です。
トイレに流れなかったバリウムを流すときは、こすり落としたりお湯を使ったりして優しく落としましょう。バリウムを落とすときは、割り箸やブラシを使うと便利です。
便器にこびりついてしまったバリウムは、放置することで固まって落としにくくなります。バリウムは、トイレの詰まりの原因になってしまうことがあります。正しい方法で便器内のバリウムを流せる方法を知っておくことで、安心してトイレを使うことができるでしょう。
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