液体パイプクリーナーは排水口の油汚れに効果が高く、ドラッグストアなどで販売されているので、手軽に利用できるアイテムです。排水管に注ぎ込むだけで油つまりを溶かせるので、難しい技術もいりません。
業務用パイプクリーナーも強力ですが、使い方を間違うと危険な洗剤もあり、一般の人では扱いが難しい場合があります。このあと紹介するポイントをおさえて使えば、市販の液体パイプクリーナーでも十分な効果を期待できますよ。
パイプクリーナーには粉末タイプも販売されていますが、なかには刺激の強いものもあるので慎重に使わなくてはなりません。より安全に油汚れを溶かすなら、飛び散ったり吸い込んだりするリスクの少ない液体パイプクリーナーがおすすめです。
それでは、油汚れを溶かしたいときの液体パイプクリーナーはどう選ぶといいのでしょうか。選び方を間違えるとトラブルを解消できないこともあるので、次に説明するポイントをおさえて選びましょう。
液体パイプクリーナーが油汚れ・油つまりに効果を発揮する理由は、洗剤に水酸化ナトリウムという成分が含まれているからです。強いアルカリ性である水酸化ナトリウムは、油汚れを分解する性質を持っています。水酸化ナトリウムの含有量が多いほど、油汚れを落とし、油つまりを溶かす効果が高いといえるのです。
油汚れ・油つまりを溶かすのに必要な水酸化ナトリウムの濃度は、1%以上です。液体パイプクリーナーを購入するときは、成分表示をチェックして濃度1%以上のものを選びましょう。
なかには、濃度1%未満のものもあります。このタイプは油汚れ・油つまりには効果を期待できませんが、ぬめりや悪臭の解消・予防には効果があります。
液体の粘度も、液体パイプクリーナーを選ぶときのポイントになります。おすすめは「高粘度タイプ」「濃密タイプ」「ジェルタイプ」の表示がある液体パイプクリーナーです。
粘度の低いサラッとした液体では、油汚れに十分反応する前に流れてしまう恐れがあります。しかし、粘度の高いものは油汚れ・油つまりのある範囲に長くとどまり、じっくりと分解するので、汚れがしっかり落ちるのです。
また、最初から水酸化ナトリウム濃度の高い液体パイプクリーナーを使わない方が安全です。水酸化ナトリウムは、濃度5%以上になると劇物に指定されるほど強い刺激を持っています。まずは1%台の濃度の製品から試し、油汚れ・油つまりが解消できないときは徐々に濃度を上げていきましょう。
市販の代表的な液体パイプクリーナーをピックアップしました。
・パイプハイター 高濃度ジェル (花王)
水酸化ナトリウム濃度1%の液体パイプクリーナーで、高い除菌力が特徴です。
・パイプユニッシュ (ジョンソン)
水酸化ナトリウム濃度1.8%の液体パイプクリーナーです。液体の粘度が高く、粘り気があるので汚れにじっくりとどまります。
・パイプユニッシュ プロ (ジョンソン)
水酸化ナトリウム2%と高濃度で「パイプユニッシュ」よりさらに粘度が高いのが特徴です。油汚れを強力に、かつじっくりと溶かします。
・ドメスト パイププロ (ユニリーバ・ジャパン)
2%と高い水酸化ナトリウム濃度で、掃除のプロにも評価される強力な洗浄力を実現しています。除菌力が高く、悪臭の原因となる菌対策もできます。
・ピーピースカット (和協産業株式会社)
ホームセンターなどでも購入できる業務用液体パイプクリーナーです。水酸化ナトリウム濃度が3.3%と非常に高く、頑固な油汚れ・油つまりを強力に解消します。
先ほど「液体パイプクリーナーを選ぶコツ」で説明したように、高濃度の水酸化ナトリウムは扱いに注意しましょう。
家庭用の洗剤は濃度が調整されていますが、目や口に入ったり、皮膚に触れたりしないよう、ゴーグルやマスク、ゴム手袋を着用するなどの対策が必要です。もし作業中に体に付いたら、流水で十分洗い流してください。
液体パイプクリーナーは、他の洗剤や酢などと混ぜると有毒ガス発生の危険があります。作業前は排水口の周りを片付けて、洗剤や酢を含めた他の容器を遠ざけ、換気も行いましょう。
また、破裂などの危険があるので、他の容器に移し替えないでください。使う液体パイプクリーナーの注意書きもよく読みましょう。
こういった注意事項をおさえ、準備を整えておけば安全に作業できます。
効率よく油を溶かすために、まずは排水口のメカニズムを理解しておきましょう。
排水口の蓋を外すと、ゴミ受けカゴが付いていて、その下に排水管があります。通常はゴミ受けカゴを外しても排水管は見えず、ワントラップという部品が見えます。
ワントラップは、お椀を逆さにしたように排水管にかぶせてある部品です。ワントラップ周辺の排水経路には封水と呼ばれる水が溜まっていて、この水がシンクと排水管の間を隔てています。ワントラップと封水があるので、通常は、排水管からの悪臭は台所に届きません。水道の水を排水口に流すと、溜まっていた水はワントラップの内側へと溢れて排水管に入ります。
ここでは、液体パイプクリーナーを使った排水口の掃除の手順や注意点をわかりやすく解説します。より効果的に油汚れ・油つまりを落とすコツや、どんな道具が役立つかについてもおさえておきましょう。
掃除の手順や綺麗にするコツは以下のようになります。
排水口の蓋、ゴミ受けカゴ、ワントラップなどの部品を外す
液体パイプクリーナーの説明書に従って、規定の量を排水管に注ぐ
液体パイプクリーナーは、排水管の内側に沿うように入れるのがコツです。排水管にこびりついた油汚れに密着できます。
規定の時間放置し、油汚れ・油つまりが溶けるのを待つ
粘度が高い液体パイプクリーナーは、時間をかけて排水管を伝い汚れを分解します。そのため、規定の時間より早く流すと十分な効果を得られません。
水を流して液体パイプクリーナーと汚れを洗い流す
水は、汚れを押し流すように勢いよく流すのがコツです。50度程度のお湯を流すと、さらに汚れが落ちやすくなります。
このとき、熱いお湯を流さないよう気を付けましょう。排水管の耐熱温度は60〜70度とされているので、温度の高いお湯を流すと破損する恐れがあります。
ワントラップやゴミ受けカゴ、排水口の蓋などの部品を元どおりにセットする
排水口の部品を元に戻したら掃除は完了です。
油カスのこびりつきが目立つなど、汚れが重度のときは先にある程度そぎ取っておくのがおすすめです。液体パイプクリーナーは油汚れの外側に密着し、水酸化ナトリウムの作用で、蓄積した汚れの内側へと分解していきます。しかし、汚れが多すぎると規定の量や時間でスムーズには分解できません。
先に目立つ汚れを除去しておくと液体パイプクリーナーの効果が得やすくなるので、効率よく綺麗に掃除できます。作業のときは排水口のワントラップを外し、排水管にロングブラシなどを差し込んで汚れをそぎ取りましょう。
しつこい油汚れが奥にあるときはワイヤーブラシ、排水管がつまっているときはラバーカップ(スッポン)などの道具も役立ちます。これらの道具を使う方法については、このあとに詳しく説明します。
排水口の油汚れ・油つまりの解消法は、液体パイプクリーナーだけではありません。タオルやペットボトルなど、次に紹介するような身近な道具でも解消できるケースがあります。まずは自分で手軽にできる対処法として試してみましょう。方法によっては洗剤などを使うので、ゴム手袋を着用してください。
準備する道具は、タオルと50度程度のお湯です。
シンクに50度程度のお湯をためることで、大量のお湯を一気に排水口に流すことができます。これによって油汚れや油つまりに強い水圧がかかるので、押し流しやすくなるのです。
排水管につめたタオルの端は、タオルを取り出しやすくするためシンクに出して掴めるようにしておきましょう。大量のお湯を流すので、熱湯で排水管を破損しないよう、必ず50度前後のお湯を使ってください。
準備する道具は、重曹とクエン酸、50度程度のお湯です。クエン酸がない場合はお酢も使えます。
この方法で解消できるのは、軽い油汚れ・油つまりです。アルカリ性の重曹と酸性のクエン酸を反応させて泡を発生させ、泡の力で油汚れを剥がします。
重曹やクエン酸の量は排水口の大きさによって調整します。台所の排水口の場合の比率は重曹1に対しクエン酸2にするのがポイントです。重曹とクエン酸は反応させても有毒ガスは発生しませんが、二酸化炭素が発生するので必ず換気を行いましょう。
近年では、業務用の粉末パイプクリーナーもホームセンターなどで購入できるようになっており、なかには水酸化ナトリウム濃度が高いものがあります。皮膚などへのトラブルを防ぐため、ゴム手袋やマスク、ゴーグルを着用し、換気を行いましょう。
用意する道具は粉末パイプクリーナー、説明書に規定の温度のお湯(または水)です。
粉末をふりかける場所や使う水の温度など、具体的な使い方は粉末パイプクリーナーによって異なります。取り扱いを間違えると発熱する危険もあるので、注意書きをよく確認しましょう。
準備する道具は、ラバーカップ(スッポン)です。この方法は、軽度の油つまりの症状に効果的です。
この方法の仕組みは、ラバーカップを動かすと排水口の水圧が変化し、その力で油つまりが剥がれるというものです。シンクにためた水をその後に流すと、油つまりが押し流されます。排水口をしっかり塞げるよう、ラバーカップは適切なサイズのものを使いましょう。
家庭にあるペットボトルを使って油つまりを解消することもできます。用意するのは500mlや2Lなどの空ペットボトルです。
この方法の仕組みは、排水管を塞いで空気を遮断しながら、ペットボトルを凹ませて排水管内の空気を動かし、油つまりを剥がすというものです。
小さいペットボトルでは動かせる空気の量が少ないので、ある程度大きく、凹ませやすい柔らかい素材のものがおすすめです。ペットボトルと排水管の間に空気が入ってしまうときは、ふきんなどを挟んで塞ぐといいでしょう。
ラバーカップでつまりを解消できないときは、より強力な真空式パイプクリーナーを試すのがおすすめです。
真空式パイプクリーナーは、レバーを上げ下げすることで排水口内の水圧を変化させ、その力で油つまりを剥がすものです。ラバーカップより少ない力で作業でき、より強力に吸引できます。
頑固な油つまりや、手では届かない排水管の奥の油つまりには、ワイヤーの先端にブラシが付いたワイヤーブラシが役立ちます。排水管の奥まで届く長さの製品を選ぶのがポイントです。
ワイヤーブラシは油つまりを直接削るため、これまで紹介した方法では効果がない、頑固な油つまりに効果を発揮します。油つまりを除くブラシの動かし方は製品によって違うので、説明書を確認しましょう。
ワイヤーブラシがない場合は、針がねハンガーである程度代用することもできます。クリーニング店でもらえるような針がねハンガーとペンチがあれば作業ができます。
先端をフックのように丸くすると、針がねハンガーが排水管を傷付けないよう予防できます。この方法は液体パイプクリーナーを使う前の、ある程度の油汚れを除去する掃除としてもおすすめです。
排水口からの作業では効果が出にくいときは、排水管そのものを外す方法もあります。排水口からは見えない、または触れない部分もダイレクトに掃除できるので、油つまりを効率的に解消したいときにおすすめです。
排水管を取り外すとき、水がこぼれるのでシンク下にタオルなどを敷き、バケツを用意しておきましょう。収納物などは、汚れないようシンク下から出しておきます。
次に、プラスチック製の排水トラップと排水管の間にあるナットを外し、床部分の排水管を引っ張り上げて排水管全体を外します。中の汚れをバケツにあけ、ワイヤーブラシなどで内部の油汚れを落としましょう。
この方法は、ほかの方法より労力が必要で、上手に作業できないとシンク下が汚れてかえって掃除の手間が増えてしまう可能性もあります。油汚れ・油つまりが重度のときは、業者へ相談するのも一つの選択肢です。
液体パイプクリーナーやその他の方法で油汚れ・油つまりの掃除をするとき、気を付ける点をおさらいしておきましょう。
最近では、水酸化ナトリウム濃度の高い業務用洗剤もホームセンターなどで購入できるようになりました。こういった洗剤の中には非常に刺激が強いものもあるので、注意書きをよく読んで取り扱いに気を付けましょう。
作業が難しいとき、どの方法を使えばいいか判断が難しいときは、無理して自分で掃除せず業者に相談する方が安心です。
油汚れや油つまりは排水口の汚れが蓄積したものです。日頃から排水口を汚さずに使えれば、掃除の手間をかけずに済みますよね。ここでは、排水口の油汚れ・油つまりを防止する日常的なケアや注意点について紹介します。
シンクに油や食材のカスを流すと、油が排水管にこびりついて固まり、そこに食材のカスがさらに付着して油つまりが発生します。そのため、油や食材のカスを流さないことが重要です。
ゴミ受けカゴがあっても油を含んだゴミが入ったままだと、溶け出した油が排水管に流れていきます。ゴミ受けカゴの目より細かい食材のカスなどは排水管に入ってしまいます。
調理器具や食器に油や食材のカスが残った場合は、キッチンペーパーなどで拭き取ってから洗いましょう。ゴミ受けカゴに流れた食材を放置せず、取り除くこともポイントです。
洗い物が終わった後などに、最高50度程度までのお湯を流すことも効果的です。
油汚れや油つまりは急に起こるのではなく、付着した油が徐々に固まり、蓄積することで起こります。50度程度のお湯をこまめに流すと、油が固まらないうちに排水管から出すことができるので、汚れの蓄積防止に効果的です。油汚れに付着してつまりの一因になる洗剤の溶け残りや洗剤カスなども流せます。
ただし、排水管の耐熱温度は60〜70度とされています。熱すぎるお湯を流すと破損する恐れがあるため、お湯の温度は最高でも50度程度にするように注意しましょう。
ゴミ受けカゴに、丸めたアルミホイルを1、2個入れておくのもおすすめです。アルミホイルに含まれる金属イオンの作用で雑菌などが繁殖しにくくなります。油汚れや油つまりそのものを改善するわけではありませんが、つまりを誘発するぬめりや悪臭の防止に効果がある方法です。
ただし、ゴミ受けカゴに食材カスがたまっている環境では、十分な効果を発揮できません。アルミホイルは、ゴミ受けカゴを清潔に保ったうえで、補助的に使える方法です。また、アルミホイルをうっかり排水管に流してつまらせないように気を付けましょう。
ゴミ受けカゴにネットを張ると、ゴミ受けカゴの目より小さい食材カスを流すことがなくなり、油汚れや油つまりの防止効果がアップします。
ゴミ受けカゴに食材カスが入ると、手やキッチンペーパーで取り除く手間がかかりますよね。食材カスに触るのは抵抗を感じる人もいるかもしれません。その点、ネットを使えば食材カスに触らずサッとゴミ箱に捨てられるので、こまめにゴミ受けカゴを綺麗にする習慣も付きやすくなるでしょう。
ネットを購入するときはゴミ受けカゴにあったサイズを使い、食材カスを取りこぼさないようにしっかりフィットさせましょう。
油汚れがこびりつく前の段階であれば、水酸化ナトリウム濃度1%未満の低濃度の液体パイプクリーナーが役立ちます。週1回など定期的な掃除をしておくと、排水管のぬめりや悪臭を予防して油汚れを付着させない対策になります。
低濃度の液体パイプクリーナーの使い方や注意点は、濃度1%以上のものとほぼ同じです。製品の説明書きを読み、規定の方法と時間で行いましょう。
掃除をせずに放置した油汚れがこびりつくと、パイプ用掃除器具を使う、排水管を外すなどの手間や時間がかかってしまうので、日頃からこまめな掃除を心がけてください。
放置された油汚れ・油つまりは、市販の液体パイプクリーナーなどでは改善できないほど固まることもあります。ここまで紹介した方法を試しても解決できないときは、業者へ依頼した方が賢明です。無理に自分で解決しようとすると、排水管を破損したり、つまりが深刻になったりする恐れもあります。
業者の作業ではプロ仕様の強力な薬剤を使うため、家庭では解決できない油つまりも溶かすことが可能です。重度のつまりは、高圧洗浄機でパワフルに洗浄すると、15分ほどでスピーディーに解決するケースもあります。
かかる料金は、つまりの度合いや排水管の位置によっても違うため、まずは、実績が豊富で無料見積もりを出してくれる業者に相談してみてはいかがでしょうか。
排水口の油汚れやつまり解消を業者に依頼するメリットは、専門の機械や薬剤を使うため、トラブルを根本から解決できることです。排水口や排水管がピカピカになるので、日頃の掃除がとても楽になります。
液体パイプクリーナーなど身近なアイテムで定期的にメンテナンスをしておけば、深刻な油汚れ・油つまりの発生を防げるかもしれません。
油汚れ・油つまりの解消法を試しても解決できなかったときは、業者に相談して根本的に解決するのがいいでしょう。日常でできるケアとプロの掃除を上手に使い分けて、排水口のメンテナンスをしていきましょう。
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