排水口の臭いにおいが発生する場所としては、キッチンや浴室、洗面所や洗濯機周りなどがあります。排水口や排水管は、もともと、下水のにおいや虫が屋内に侵入することを防止する構造になっており、それをトラップ(排水トラップ)といいます。
トラップとは、排水口や排水管の途中に水を貯める構造の設備のことです。トラップに貯まった水を封水といい、封水が下水からのにおいや虫が排水口に上がってくることを防いでいます。
トラップと排水管の形には数種類あります。「S型トラップ」「P字トラップ」「U字トラップ」「ドラム型トラップ」は排水管の形による名称で、排水管の途中に封水が貯まる場所があります。
キッチンや浴室の排水口に多いタイプが「ワントラップ(椀型トラップ)」です。ゴミ受けの下にお椀のような形の部品があり、排水管を覆っています。ワントラップの場合、封水は椀型部品の外側に貯まる仕組みです。
排水口周りがにおいの原因の場合は、排水口に付いた食品かすや汚れによるものと、排水口や排水管のトラブルによるものの2通りがあります。場所ごとの臭いにおいの原因について、以下でそれぞれ説明します。
キッチンのゴミ受けは、調理や使い終わった食器を洗うときなどに食品かすや油などの汚れがたまる場所です。ゴミ受けは水気を切るためにフィルター状になっているので、細かい目の間にゴミや汚れが付着しやすく、さっと水洗いしただけでは落とせない場合があります。
キッチンのシンクをいくらきれいに掃除していたとしても、ゴミ受けを汚れたまま使っていれば、汚れをエサにして雑菌やカビが繁殖します。それが下水や生ごみのような「雑菌臭」の原因です。ヌメリが目に見えるほど発生している場合は、雑菌もかなり増えている状態といえるでしょう。
できれば2~3日に1回、少なくとも週1回、キッチンのゴミ受けをしっかりと掃除しておけば、そこからの悪臭を防止できます。
お風呂や洗面所の排水口にはヘアキャッチャーが付いており、髪の毛や石鹸かす、垢などがたまります。ヘアキャッチャーは細い髪の毛が排水口に流れるのを防止するためにフィルター状になっているので、フィルター部分に汚れが絡みつきがちです。
シャワーで軽く流す程度ではフィルターの汚れを完全に落とせない場合が多いでしょう。ヘアキャッチャーの汚れを放置していると、下水のような「どぶ臭さ」が発生する原因となります。
ヘアキャッチャーにたまったゴミは入浴の度に捨てるようにし、週に1度くらいを目安にフィルター部分をしっかり洗うようにすれば、そこからの悪臭を予防できるでしょう。
こちらの記事では使い捨てのシールタイプやカバータイプなどそれぞれのヘアキャッチャーのおすすめを紹介していますので参考にしてみてください。
キッチンやお風呂、洗面所や洗濯機周りなど排水口がある場所ならどこでも、排水管に付着している汚れが原因となって悪臭が発生する可能性があります。
ゴミ受けやヘアキャッチャーをきちんと掃除しても雑菌臭が消えない場合、排水管に食品かすや油汚れ、髪の毛や石鹸かす、垢などがこびりついているのかもしれません。排水管にこびり付いた汚れが腐敗したり、ヌメリやカビが発生したりすると、排水管がつまりやすくなり、水の流れが悪くなる場合もあります。
排水管の汚れを定期的に掃除しておけば、そこから悪臭が発生することを予防でき、排水もスムーズに流すことが可能です。
ゴミ受けや排水管を徹底的に掃除しても、カビ臭さや雑菌臭が消えないケースもあります。その場合は、キッチンのシンクや洗面台の下を開けてみて、下水のような悪臭がしないかチェックしてみてください。また、洗濯機の排水ホースに破損がないか、排水管との接続部分に隙間がないかも確認しましょう。
排水口と排水管、接続部に問題がない場合は、強い悪臭が漂うことはありません。しかし、排水口と排水管の接続部分に隙間ができていたり、排水管や排水ホースと塩ビ管に破損が生じていたりすると、そこから直接、下水やカビのような悪臭が漏れてきます。キッチンのシンクや洗面台、洗濯機の下は湿気がこもりやすくカビの生えやすい場所のため、早期発見と対処が大切です。
排水口の臭いにおいを解消するための掃除方法は、場所によって異なります。そこで、キッチン、お風呂、洗面所、洗濯機の排水口や、排水管などの配管を掃除する方法について、ここでしっかりおさえておきましょう。
まず、ゴミ受けにたまったゴミを取り除き、使い古しの歯ブラシに食器用洗剤やクリームクレンザーなどキッチンやシンク周り用の洗剤をつけて、目地に詰まった汚れまで、しっかりと取り除きましょう。
次に、ゴミ受けの下にある椀型トラップを外し、スポンジなどに洗剤をつけて、ヌメリなどの汚れを落とします。封水がたまる封水筒や排水桝を掃除するときは、柄付きブラシなどを使うと便利です。しつこい汚れにはカビ取り剤をかけて、しばらく放置する方法も効果的です。
それから、50~60度のお湯を流し、雑菌の繁殖を抑えましょう。ただし、60度を超える熱湯を流すと排水管を傷めてしまうおそれがあるため、注意が必要です。
ヘアキャッチャーや排水口にこびり付いた髪の毛や石鹸かす、垢などのゴミを取り除きます。使い古しの歯ブラシを使うと、細かい部分まできれいにしやすいでしょう。それから、浴室用洗剤を古歯ブラシに付けて、ヘアキャッチャーや排水口にこびり付いたヌメリなどの汚れをこすり落とします。カビ取り剤をかけて、10分くらい放置してから洗い流すと、さらに効果的です。
洗剤をあまり使いたくないときは、酢や、重曹(粉末)とクエン酸(粉末)を使った掃除も可能です。酢を使う場合は、排水口に酢をかけて約10分放置した後、古歯ブラシでこすります。
あるいは、排水口やヘアキャッチャーなどの部品に重曹(約100グラム)とクエン酸(約50グラム)をかけ、5分ほど放置して発泡したら、ぬるま湯をコップ1杯程度かけ、スポンジなどでこする方法もいいでしょう。
お風呂のにおいについてはこちらの記事で解説していますのでこちらも是非参考にしてみてください。
洗面ボウルにある栓にはゴム栓式とポップアップ式があり、いずれの場合も、栓の奥にヘアキャッチャーが付いています。洗面所の排水口を掃除するときは、まず栓を取り外して、ヘアキャッチャーにたまっている髪の毛や石鹸かすなどのゴミを取り除きましょう。
その後、洗剤と古歯ブラシなどを使って、排水口の内部に付着した汚れを掃除します。洗面所の掃除に使う洗剤は、お風呂を掃除するときと同様、浴室用洗剤や酢、重曹とクエン酸などです。
こびり付いてしまって落としにくい汚れの場合は、重曹とクエン酸を振りかけてから古歯ブラシでこすり落とす方法が効果的です。
洗濯機は電気製品のため、掃除を始める前に必ず、プラグをコンセントから抜いておきましょう。また、給水ホースが外れると周りが濡れてしまうため、水道の蛇口を閉めてから掃除を開始してください。
洗濯機周りが臭う場合の原因は、洗濯槽の汚れか排水口の汚れです。洗濯槽が臭い場合はゴミ受けや洗剤投入口・柔軟剤投入口などの部品を取り外して洗い、洗濯槽も専用クリーナーや酸素系漂白剤などを使って洗いましょう。
洗濯機の排水口が臭い場合は、排水口や排水管に付着した皮脂汚れや洗剤かす、髪の毛などを掃除すると解決する可能性があります。排水口や排水トラップを分解してゴミを取り除き、古歯ブラシなどを使ってこびり付いた汚れを落としましょう。汚れがひどい場合は、浴室用洗剤やカビ取り剤などで掃除するのがおすすめです。
排水管など配管の内部に食品かすや油、髪の毛や垢、石鹸や洗剤のかすがたまって流れが悪くなることで、悪臭が発生する場合もあります。
排水管や配管を掃除するには、パイプクリーナーなど専用洗剤を使うか、ワイヤーブラシや真空式パイプクリーナーなど道具を使います。ただし、道具を使う方法を素人が行うと配管を傷めるおそれもあるため、専門業者にまかせるほうがよいでしょう。
排水管や塩ビ管などに破損や隙間があってにおいが漏れている場合は、配管用パテやテープを使って一時的ににおいの出所をふさぐことができますが、あくまで応急処置です。悪臭の原因を解決するためには、専門業者による修理が必要です。
排水口からの悪臭を発生させないために、次のような工夫をふだんからやっておくとよいでしょう。
・50~60度のお湯を流す
50度を超えると雑菌の繁殖を抑えられます。排水管の耐熱温度は約60度のため、60度までのお湯にしておきましょう。
・油をそのまま流さない
フライパンや食器に残った油をそのまま排水口に流すと部品に付着して腐敗する原因になります。油は紙やクロスなどで拭き取るようにし、できるだけ排水口に流さないようにしましょう。
・使用後にアルコール除菌スプレーやクエン酸スプレーをかけておく
雑菌の繁殖を抑えることができます。
・ゴミ受けに丸めたアルミホイルを入れておく
アルミホイルに水をかけると抗菌作用のあるアルミニウムイオンが発生し、雑菌の発生や繁殖を抑えられます。直径2センチ程度に丸めたアルミホイル玉を1~2個、ゴミ受けに入れておきましょう。ただし、アルミホイル玉の直径が排水口より小さいと中に落ちてつまりの原因になるため、注意してください。
排水口や排水管の掃除をこまめにしても、どうしても臭いにおいが消えないケースもあります。そのような場合は専門業者に相談するといいでしょう。
専門業者なら、素人には掃除がしにくい排水管内部でも、高圧洗浄などで専門的な作業ができます。触りたくないヌメリやカビなどの汚れをスピーディーかつ徹底的に掃除してくれて、排水口や排水管をきれいな状態に保ちやすくなることも、専門業者に依頼するメリットです。
水周りのにおいが気になっている人は、一度、相談してみてはいかがでしょうか。
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