お風呂には浴槽と洗い場の2箇所に排水口があります。浴槽の排水口と洗い場の排水口はつながっており、浴槽側から洗い場側へ水が流れてきて、一緒に排水管に排出される仕組みです。
洗い場の排水口の下には排水トラップがあり、流れてきた水が一定の量だけ溜まるようになっています。排水トラップは排水管の臭いにおいが室内に上がってくるのを防止するためのものです。排水トラップの役割はにおいだけでなく、排水管を伝って害虫が入ってくるのも防ぐことができます。
排水トラップの形状は、ワントラップやドラムトラップなどの種類があります。ワントラップはお椀のような形の被せものを排水管に乗せ、その周囲に水を溜める構造です。一方、ドラムトラップには被せものがなく、排水管の手前に水を溜める構造になっています。
お風呂で臭いにおいがする場合、原因は排水口にあるケースが多いですが、排水口以外の場所でにおいが発生していることもあります。浴室の臭いにおいを消すためには、闇雲に掃除をする前ににおいがどこで発生しているのかきちんと特定するところから始める必要があります。
お風呂で臭いにおいがする場合、主な原因は排水口を含めて4つが考えられます。臭いにおいをしっかり消すには、ここで解説するようなお風呂のにおいの原因をあらかじめ把握しておくことが大切です。
お風呂からドブのような下水のような臭いにおいがするときは、排水口に原因がある可能性が高いです。お風呂を使用するたびに排水口には石鹸カスや髪の毛などの汚れが溜まります。汚れに雑菌が繁殖するとヌメリが生じ、下水のような臭いにおいを発するようになります。
排水口では排水トラップだけでなく、その上についているヘアキャッチャーにも汚れが溜まりやすいです。ヘアキャッチャーや排水口から汚れやヌメリが排水管に流れてしまい、排水管につまる場合もあります。
ヘアキャッチャー、排水トラップ、排水管の汚れやつまりについて、さらにくわしく説明しましょう。
ヘアキャッチャーは、髪の毛やゴミなどが排水管に流れていかないようにするためのパーツです。洗い場で使用した水は必ずヘアキャッチャーを通過して排水口に流れていくため、ヘアキャッチャーには髪の毛や体毛、皮脂などが溜まっていきます。特に、長髪であったり家族が多かったりすると、ヘアキャッチャーにはすぐに多くの髪の毛が溜まってしまうでしょう。
ヘアキャッチャーをこまめに掃除する習慣がないと、溜まっている髪の毛や体毛に石鹸カスや体の油分が付着してどんどん蓄積されます。ヘアキャッチャーのゴミを取らずに汚れが溜まった状態で放置していると、雑菌の繁殖によりヌメリが生じて、このヌメリが臭いにおいを発生させる原因になります。
石鹸カスや体の油分などは髪の毛とは異なりそのまま流れていくため、お風呂を使用するたびに少しずつ排水トラップにも付着していきます。排水トラップに溜まっている水はお風呂で使用済みの水なので、常に汚れが浮いている状態です。
また、ヘアキャッチャーの編み目より小さなゴミはヘアキャッチャーを通過し、排水トラップまで流れてしまう可能性があります。排水トラップにゴミが溜まっていれば、石鹸カスや体の油分はさらに付着しやすくなるでしょう。
排水トラップを掃除しないと、付着した石鹸カスや体の油分からヌメリが生じて臭いにおいの原因になります。長く掃除せず放置している排水トラップには、汚れがゲル状に固まっている場合もあります。排水トラップの汚れも、ひどくなればつまりの原因にもつながるため注意しましょう。
ヘアキャッチャーや排水トラップを掃除しても下水のようなにおいが消えないなら、排水管に汚れが溜まっている可能性があります。長い期間お風呂を使用していれば、排水管にも少しずつ汚れが蓄積されてしまうためです。
排水管の汚れがひどい場合、排水管の中でつまりが発生しているおそれもあります。お風呂の排水管は外にある排水桝(ます)につながっており、排水桝で発生した悪臭がお風呂まで伝わっているケースもあります。
排水管の汚れが軽微であれば、自分でも掃除が可能です。しかし、排水管の奥のつまりや排水桝の汚れは、業者に依頼しないと完全には取り除けません。自分で対応できる部分を掃除しても臭いにおいが消えないときは、業者に相談して原因を探ってもらい、専門的な対処をしてもらいましょう。
お風呂で生臭いにおいがするときは、風呂釜に原因があるかもしれません。風呂釜が汚れていると、お風呂にコバエが発生しやすくなります。さらに、お湯を溜めるときや追い焚きの際に生臭いにおいがするなら、風呂釜に溜まった汚れが悪臭を発生させていることも考えられます。
お風呂を長く使っていると、風呂釜にも汚れが溜まっていきます。なぜなら、風呂釜は新しいきれいな水を温めるだけでなく、浴槽で使用された水を吸い込んで温める追い焚き機能もあるからです。人が湯船に浸かると垢や髪の毛などがお湯に流れてしまい、追い焚きするとそれが風呂釜にも吸い込まれていきます。
また、水道水にはミネラル分が含まれており、風呂釜の配管に水垢として溜まっていきます。ミネラル分が乾燥すると固まって取れにくくなるため、気をつけなければなりません。風呂釜の汚れは目に見えないため見落としがちですが、定期的に掃除して清潔に保つことが大切です。
排水口や浴槽をこまめに掃除していても、お風呂の床や壁まではあまり掃除していないという人もいるでしょう。
お風呂の床には水が溜まりやすく、シャワーを浴びる際には壁にもお湯がたくさん飛び散ります。お風呂で流す水には皮脂や垢も含まれているので、床や壁に付着したまま放置していると、もわっとした汗のようなにおいになります。
壁と床の間や排水口の周囲には水が溜まったままになりやすく、ピンク色のヌメリの汚れも発生しやすいです。これはロドトルラとよばれる酵母菌の一種で、放っておくと黒カビを発生させます。
床や壁からもわっとした臭いがするのは、知らぬ間に汚れが溜まっているサインです。汚れがひどくなると、床や壁が茶色や黄色に変色するおそれもあります。お風呂を掃除するときは、排水口や浴槽だけでなく、床や壁も忘れずに掃除をしてきれいにしましょう。
お風呂全体にカビ臭いにおいが漂っている場合、換気扇にカビが発生している可能性があります。
換気扇は、空気とともに少しずつほこりを吸い込んでいます。浴室は湿度が高いため、お風呂の換気扇には湿気を多く含むほこりが溜まりやすいです。ほこりはカビの栄養源になるので、換気扇についたほこりを放置していると、カビを発生させる原因になります。カビた状態で換気扇を回した結果、そのにおいがお風呂全体に充満します。
カビがついた換気扇は、嫌なにおいに加えてカビの胞子もお風呂全体に撒き散らすので注意が必要です。胞子が飛び散ると病気の原因になるのはもちろんですが、換気扇だけでなくお風呂全体にカビが生えやすくなります。
さらに換気扇にたくさんのほこりやカビがついていると、正常に作動しなくなるおそれもあります。お風呂の換気扇についても定期的な掃除を心がけ、ほこりやカビを取り除くように心がけましょう。
お風呂の掃除をしているつもりでも、原因になっている部分をきちんと掃除していなければにおいの原因を根本的に解決したことにはなりません。お風呂の臭いにおいを消すには、次のように臭いにおいごとの原因にあわせた方法で掃除をする必要がありますので、ここで掃除方法をしっかり確認しておきましょう。
ヘアキャッチャーを掃除するときは、ゴム手袋、「バスマジックリン」(花王株式会社)のような浴室用洗剤、使わなくなった歯ブラシなどを用意しておきましょう。
なお、ヌメリがついているときは、「強力カビハイター」(花王株式会社)などの漂白剤をヘアキャッチャーにかけて30分程度放置するときれいになります。ただし、漂白剤では髪の毛を溶かせないので、作業の前にしっかりゴミを取り除いたうえで行ってください。
ヘアキャッチャーの形状はお風呂によって異なります。基本的には上に持ち上げると外れるタイプが多いですが、なかには外し方が異なるタイプもあります。取り外しの際に無理な力をかけて壊さないように注意しましょう。
排水トラップの掃除では、粉末状の重曹とクエン酸を使うと効果的です。パーツについている細かい汚れを落とすために、使わなくなった歯ブラシやスポンジも用意しておきましょう。
排水トラップの掃除は以下の手順で進めます。
重曹とクエン酸をかけたところにぬるま湯を流すと、化学反応によって発泡します。この泡が排水トラップに溜まっている汚れをしっかり落としてくれます。においがなかなか取れないときは、パーツをこすり洗いするだけでなく、漂白剤やカビ取り剤などで浸け置きするとより効果的なので試してみてください。
その場合は、排水口のパーツをすべて取り外したうえで、壊れている部分がないか確認する必要があります。破損が見つかったり、水が溜まらない原因がわからなかったりするときは、業者に連絡して点検や修理を依頼しましょう。賃貸物件であれば、不動産管理会社に連絡すると点検や修理の手配をしてもらえるケースが多いです。
排水管の掃除をするときは、「パイプユニッシュ」(ジョンソン株式会社)のような液体パイプクリーナーを用意しましょう。
掃除の手順は以下のとおりです。
液体パイプクリーナーの使用量や放置時間は、製品の表示に従ってください。また、液体パイプクリーナーの中には他の洗剤と一緒に使用すると人体に有毒なガスが発生するものがあるので、併用しないよう注意が必要です。
排水管から臭いにおいがするだけでなく、つまりが発生しているなら、ラバーカップ(スッポン)を使うと詰まっている汚れを取り出せるかもしれません。排水管のつまりを解消する方法は他にもあるので、こちらの記事も参考にしてください。
また、自分で掃除をしても排水管のにおいが消えないときは、高圧洗浄を行うと悪臭の原因となっている汚れをきれいに落とせる可能性があります。ただし、高圧洗浄には専用の機械を使う必要があり、専門技術も必須なので、信頼できる業者に相談してください。
風呂釜の掃除には、「スクラビングバブル ジャバ」(ジョンソン株式会社)のような市販の専用洗剤を使用しましょう。
一つ穴タイプの場合は以下の手順で掃除を進めてください。
二つ穴タイプの場合は上記と手順が少し異なります。実際に掃除するときは、購入した専用洗剤のパッケージに記載されている手順に従って作業してください。濁ったお湯が出てくるときは、風呂釜にたくさんの汚れが溜まっていると考えられます。この場合、市販の専用洗剤だけでは完全にきれいにできない可能性が高いです。
風呂釜の汚れを放置していると、アレルギーや皮膚炎になるリスクもあるため、早めに業者に依頼して徹底的な掃除をしてもらうことをおすすめします。市販の専用洗剤を使用した際にお湯が汚れていなくても、臭いにおいが取れないときは頑固な汚れや別の原因の可能性があるため業者への掃除の依頼をおすすめします。
床や壁には水垢をはじめとするアルカリ性の汚れと、皮脂などの酸性の汚れの両方が付着しています。そのためアルカリ性と酸性の両方の汚れに対応できるように、重曹とクエン酸を併用して掃除すると、効率的に汚れを落とせます。
スプレーボトルを用意し、300〜400mlのぬるま湯、重曹、クエン酸を混ぜた液体を入れましょう。重曹とクエン酸の割合は2対1です。
注意点としては、重曹とクエン酸をスプレーボトルの中で混ぜると炭酸ガスが発生して溢れるおそれがあります。そのため、まずは他の容器で少しずつ混ぜ合わせたうえで、スプレーボトルに移し替えてください。
重曹とクエン酸による掃除の手順は以下のとおり、手軽に行えます。
汚れがひどい場合は、数時間放置すると汚れが取れやすくなります。においが取れないときは、業者に依頼してしっかり掃除してもらったほうがいいでしょう。
お風呂の換気扇の掃除には、掃除機、中性洗剤、スポンジ、使わなくなった歯ブラシなどが必要です。変色や変形を防止するため、中性洗剤は台所用のものを使ってください。
換気扇の掃除の手順は以下のとおりです。
換気扇のパーツは水洗いできますが、本体には水をかけないよう注意してください。換気扇の内部に水がかかると、機械が故障する可能性があります。洗剤を直接つけるのもよくありません。
お風呂の臭いにおいは、効果的な対策を実践すると予防できます。ここから説明する方法を使うと、ちょっとした一手間でにおいを防げるので、日々の習慣としてぜひ取り入れてみましょう。
簡単にお風呂のにおいを防ぐには、アルミホイルを丸めてヘアキャッチャーに入れると効果的です。お風呂で水を流すと、ヘアキャッチャーを通過する際にアルミホイルと反応して金属イオンが発生します。金属イオンにはヌメリを生み出す菌の繁殖を抑制する働きがあるため、においの原因を抑制することに期待ができます
アルミホイルを3cm程度切り取ったら、そのまま丸めてヘアキャッチャーに入れておきましょう。アルミホイルを入れれば、においだけでなくヌメリも発生しにくくなるので、掃除が簡単になります。ただし、髪の毛などのゴミは溜まるため、定期的に交換してください。
アルミホイルがなくても、10円玉を入れておくと同じ原理でにおいを抑える効果が期待できます。
排水口の中にゴミが溜まると石鹸カスや皮脂なども蓄積されやすくなり、においの原因になるヌメリが発生します。ゴミを排水口の中に溜めないようにすることが大切なので、ゴミ取りシートを活用するのもおすすめです。
ゴミ取りシートをカバーの上に直接貼り付ければ、排水口の中にゴミが溜まるのを防止できます。ゴミ取りシートにゴミが溜まったら、そのまま剥がして捨てるだけで掃除できます。網目に髪の毛が絡まるのも防げるので、掃除が楽にできるようになるでしょう。
ただし、長期間ゴミ取りシートを交換しないと、かえってつまりを誘発することになりかねないので、こまめに取り替えましょう。
石鹸カスや皮脂などの汚れを排水口に溜めないようにするには、髪の毛などのゴミをすぐに片付ける必要があります。そのためにはゴミ取りシート以外にもヘアキャッチャーを使用すると効果的です。
あらかじめヘアキャッチャーにネットを付けておけば、髪の毛が溜まってもネットを外すだけで簡単に取り除けます。ヘアキャッチャーのゴミ捨てをうっかり忘れていると髪の毛が絡まって掃除が大変になりますが、ネットがあればそのような心配がありません。ふだんからネットをつけておくと、日頃の掃除でもそれほど大きな手間にはならないでしょう。
ヘアキャッチャーに使用するネットには複数のサイズがあるので、きちんと確認したうえで自宅のお風呂に合ったものを選ぶようにしてください。
お風呂の臭いにおいを防止するコツはいろいろとありますが、こまめな掃除も忘れてはいけません。ヘアキャッチャーにネットを付けたり、アルミホイルを入れたりする場合でも、定期的な掃除をしなければにおいの原因になる汚れは少しずつ蓄積されます。
排水口の掃除はパーツを外して行いましょう。ヘアキャッチャーの掃除には塩素系漂白剤が適しています。たとえば、「カビキラー」(ジョンソン株式会社)のような泡タイプの漂白剤を使用するなら、外したパーツに直接吹きかけましょう。「キッチンハイター」(花王株式会社)のような液体タイプの漂白剤を使うなら、40度程度のお湯に注いでパーツを浸けて汚れを取ります。
排水トラップや排水管を掃除するときは、「パイプユニッシュ」のようなパイプ専用の洗剤を使用してください。パイプ専用の洗剤がない場合は、重曹とクエン酸を組み合わせて使用するのもいいでしょう。他のものと混ぜると危険な洗剤や薬品もあるので、一度に複数の商品を使わないように注意してください。
お風呂から上がった後や掃除した後は、その都度浴室をしっかり乾燥させることが大切です。お風呂には湿気が溜まりやすく、その湿気がカビやヌメリを発生させてしまいます。カビもヌメリもお風呂の臭いにおいの原因になるので、なるべく発生させないようにしなければなりません。
しっかり乾燥させるには、浴室の換気を徹底しましょう。必ず換気扇を回し、浴室内の湿気を外に排出してください。
浴室暖房乾燥機がついているなら、換気モードではなく乾燥モードを選択することをおすすめします。空気を入れ替えつつ温風を使って水分を飛ばすので、さらに湿気を取り除きやすくなります。よりスピーディに湿気を取り除けるので、カビやヌメリを抑えやすくなるでしょう。
浴室の乾燥を徹底すれば、設備の腐食防止にもなるので、旅行や帰省など長期間家を空けるとき以外は24時間換気のような機能で換気をしておくことをおすすめします。
お風呂で発生する臭いにおいは、どこかに汚れが溜まっているという証拠です。においが気になってきたら、原因を把握したうえで、原因にあわせた対策を実践しましょう。きれいに掃除して、においの発生源となっている汚れをしっかり除去してください。
自分で掃除しても臭いにおいが消えない場合は、業者に依頼して本格的に掃除してもらったほうがいいでしょう。業者に依頼すれば、排水管の奥にこびりついている汚れも高圧洗浄機などの専門技術できれいに落とせます。自分では掃除が難しい排水桝も掃除してもらえるので、臭いにおいをしっかり取り去ることが可能です。
お風呂の臭いにおいを防ぐには定期的なメンテナンスが必要ですが、普段の掃除では取り切れない汚れもあります。いつも掃除しているのににおいが気になる、作業に自信がないといった場合は、業者に相談して根本からにおいの原因を解消しましょう。
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