屋外に水栓を設置する場合、業者に依頼せずに自分で設置すれば安価に施工できると考える方も多いです。本項では屋外水栓の工事において業者に依頼すべき工事とDIYできる工事の種類について詳しく解説します。
庭に新しく水栓を設置する際にはお住まいの地域の水道局指定業者に依頼する必要があります。水道局指定業者とは水道法で定められている基準に沿って適切な工事が行えることを認められた業者で、水道事業者の管理する給水管の分岐や延長、修繕工事を行うことができます。水道局指定業者になるためには国家資格である給水装置工事主任技術者の在籍と3年以上の実務経験が必要なため、簡単ではありません。
水栓を新設する場合、地面に埋設されている給水管を分岐、延長して水栓を設置する位置まで引き回します。工事に水があれば地中の気付かない場所で水が漏れ続け、水道代が余計にかかるだけでなく地盤が緩み非常に危険です。そのためDIYで施工することはリスクが高く、周辺地域に迷惑がかかる可能性があることもあるため禁止されています。
立水栓や散水栓を新設する場合は水道局指定業者に依頼する必要があると上で説明しましたが、すべての工事が業者に依頼しなければいけないというわけではありません。既存の立水栓の蛇口交換や、水漏れの処置としてのパッキン交換であれば資格は不要で、正しく工事が行えればDIYでも問題ありません。
蛇口交換の場合、業者に依頼すれば30分ほどで作業が完了し、施工費用は材料費を含めても2万円ほどです。一方でDIYの場合、材料費のみの出費で済む代わりに1時間以上の時間がかかることが多いです。パッキン交換も同様でDIYで行えば安く済む代わりに時間がかかります。作業中は家全体で水を止める必要があるため、失敗すればしばらく水が使えない状態となるので正しく工事を行える場合のみDIYするようにしてください。
屋外に設置できる水栓は用途によって立水栓と散水栓の2種類があります。この項では立水栓と散水栓それぞれのメリットとデメリットを解説します。自分が求める水栓はどちらが近いかを決めてから設置をしましょう。
立水栓は地面から立ち上がった柱に蛇口が取り付けられたタイプの水栓です。まずは立水栓のメリットから紹介します。立水栓の主なメリットは下記の3つです。
立水栓は後述する散水栓に対して地上に蛇口が出ている点が大きな違いで、水を使用する際には立ったままもしくは少しかがんだ姿勢で使用できるので腰を痛めている方や高齢の方でも作業が楽に行えます。体への負担が少ないので毎日使用するような庭仕事や、長時間使用する場合にはおすすめです。
立水栓の高さには用途に応じて90cmのものと120cmのものがあります。前者はバケツやじょうろへ水をためたり、ホースを接続して散水、洗車に使ったりする際に使われます。後者は大人が立って作業をする場合に負担が少なく手洗いや洗い物をする際に適した高さです。
立水栓はホース用と蛇口で分けて使用できるような2口タイプのものもあり、その用途に応じて種類を選べるのも大きな利点です。
立水栓は散水栓とは異なり水だけでなくお湯が出せるタイプもあります。スポーツで汚れた体やペットのシャンプーを行うことを考えれば屋外水栓からお湯が出るのは非常に便利です。手を洗う際にも特に冬場はお湯が出るだけでありがたいものです。
お湯が出るタイプの立水栓を設置するには給水管だけでなく給湯管を接続する必要があり、その分施工費や商品代は高くなります。ただ快適に使用できるので屋外でもお湯が使えるようにしたいというのであれば対応した立水栓を選びましょう。
立水栓のメリットとして家の外観に合ったデザイン性のある商品を選べる点も挙げられます。立水栓は外に露出した作りとなっており、一本の柱に蛇口がついたシンプルなもの以外に陶器の柱や竹を使った和風のものなど幅広いデザインのものが販売されています。
家の外観や好みに合わせて好きなデザインのものを設置することでエクステリアとしての側面を併せ持ちます。また、柱部分はレンガを組み立てるなど手作り風のデザインにすることもできるのでホームセンターやネットで調べて決めるのもおすすめです。
ここまで立水栓を設置するメリットを紹介しましたが、立水栓には多くのメリットがある一方でデメリットもあります。設備工事を行う際にはメリットだけを見て判断するのではなく、デメリットも理解したうえで施工することが重要です。立水栓のデメリットは以下の2つが挙げられます。
立水栓を設置する場合は設置するためのスペースを確保する必要があります。庭に設置する場合には人が通るところには設置できず、駐車場に設置する場合には車の邪魔にならないところに置く必要があります。高さがある水栓のため、水受けとなるガーデンパンの設置も考えておきましょう。
地面に露出している水栓のため、破損についても考えておくことが重要です。万が一荷物をぶつけてしまった衝撃などで水栓柱を折ってしまった場合には水が止められないため元栓を閉めるまで水が出続けます。よくあるケースでは駐車の際に車でぶつけてしまったケースや子どもが遊んでいて上に乗ったりボールが当たったことで折れてしまうケースです。
立水栓は簡単に折れるものではありませんが、便利である反面で衝撃などの外的要因に弱いことは頭に入れておきましょう。
立水栓を設置する際には排水設備についても確認が必要です。立水栓はキッチンや洗面台と同じようにその場で水を使って作業をすることまで想定しているため、排水を正しく行えるように環境を整える必要があります。たとえば水栓の下が土であれば土が流れ出てしまうこともあるので、ガーデンパンのような水受けと用水路までの排水ルートの確保が必要です。一部の地域では立水栓を設置する際には排水設備を整えることが必須条件となっていることもあります。
立水栓を設置する場合には事前に自治体に問い合わせをし、施工業者とも話をして進めることが重要です。
散水栓は名前からわかるように散水するための水栓で、地中に設置されます。主にホースを接続するための水栓なのでその場で水を使うようには設計されていないため排水設備なども不要で、見えない場所に設置をするためシンプルな作りになっています。続いて散水栓のメリットとデメリットをそれぞれ紹介します。
散水栓のメリットとして挙げられるのはスペースです。散水栓は立水栓と異なり地中に設置されるため蛇口が露出することがないため邪魔に感じることはほぼありません。人や物がぶつかることもないので安全で、外的要因による破損の可能性も低いことは大きなメリットです。
散水栓は専用のBOXに格納されるため、使用しないときは蓋を閉めておくことで見た目が気になることもなく、外観を損ねることもありません。蓋を閉めておくことで雨による劣化も防ぐことができ、スペースが限られた場所への設置も可能です。
散水栓のデメリットは使用する際の姿勢や準備と片付けの手間が挙げれます。地面に埋め込まれているため、使用する際には毎回しゃがんで作業をしなければいけません。けがをしていたり高齢の方にとっては苦痛に感じることも少なくありません。
また、地面に設置するBOXのふたを閉めておく関係上、散水ホースをつけっぱなしにしておくことはできません。毎回ホースを脱着するのが面倒と感じる方にはデメリットに感じることが多いでしょう。
庭に水栓を設置する場合、立水栓でも散水栓でも水道業者に依頼をして設置することになりますが、その場合は予算も重要な要素です。本項では業者に依頼をする際にかかる費用を工事ごとに紹介します。
立水栓を新設もしくは増設する場合にかかる費用はだいたい5万円~10万円ほどを見ておく必要があります。この費用はあくまで目安で、選ぶ商品や給水管の延長距離によって追加で料金がかかります。
立水栓の新設や増設にかかる費用の内訳は大きく商品代と施工費に分けられます。商品代は設置する立水栓の機能やデザインによって異なりますが、安価なものであれば1万円もかかりません。立水栓はインターネットやホームセンターで購入することが可能で、業者に商品を仕入れてもらうことでより安価に購入できることもあるので相談してみましょう。
施工費にはだいたい4万円ほどを見ておくとよいでしょう。立水栓を設置する際には設置予定の場所から給水管を分岐させる地点までの地面を掘ります。このとき給水管が凍らないようその地域の凍結深度よりも深く掘りますが、この凍結深度は地域によって異なります。掘る深さや距離が長いほど金額は高くなるため、依頼前には必ず見積もりをしてもらいましょう。
さらに立水栓の場合は排水設備も必要なるため下水までの地中に排水管も埋設します。設置場所を決める際には使い勝手はもちろんですが、給水管と下水の位置も合わせて考えることが重要です。
散水栓の新設もしくは増設にかかる費用はおよそ4万円~6万円と立水栓と比べて安価です。理由としては立水栓と比べて散水栓の商品代が安価な点、ガーデンパンや排水管の必要がない点が挙げられます。
散水栓の設置工事は立水栓の設置工事と大きな差はなく、給水管の引き回しのための掘削が必要です。しかし排水設備を整える必要がないためその分の工事は不要で、立水栓と同じもしくは若干安めの金額で施工できます。
散水栓の設置工事でも同様に埋設する距離に応じて費用が変わるため、相見積もりをしてどの業者に依頼をするか決めるようにしましょう。
最後に紹介するのは既存の散水栓を立水栓へ交換する工事で、費用相場は3万円~10万円ほどです。散水栓から立水栓に交換する場合、同じ場所で水栓を交換するのか、移動して別の場所に設置するのかで費用は大きく変わります。
同じ場所に設置をする場合には既存の散水栓とBOXを撤去し、立水栓に交換します。排水を接続する必要はありますが給水管の引き回しがないことで安価に工事が行えます。長く使用している散水栓の場合は配管が古くなっていることもあるので、劣化状態を見て必要であれば交換してしまうのもおすすめです。
最後に庭に立水栓や散水栓を設置する工事の際に気をつけるべきことを解説します。
上で紹介した施工方法や費用はあくまで地面が掘りやすい砂や土である場合です。このような素材ではスコップなどを使って掘ることができるので上記の施工費で依頼ができます。しかし、駐車場の素材や外壁が近いことでコンクリートが使用されている場合、配管埋設のためには斫り工事が必要となります。
斫り工事では電動ドリルやサンダーを使ってコンクリートを削るため施工費用が高くなることが多いです。依頼の際には地面の素材にも注意して見積もりを作成してもらうと同時に、どこに設置するかを考える際にも意識してみるとよいでしょう。
屋外水栓はトイレやキッチンのような設備とは異なり止水栓がありません。止水栓がないことで工事の期間は家の元を閉めることで水を止めて作業をします。元栓が閉まっているため家では水を使うことができず、工事が長引くほど不便です。
水栓交換であってもDIYをおすすめしない理由の一つがこれで、DIYであれば作業時間は長くなり、その間水が使用できません。トラブルがあり作業を中断すれば解決するまで水が使えない状態が続くので注意しましょう。
冬場の寒い時期に水道管が凍結してしまう地域に住んでいる方の場合は水抜きができる寒冷地仕様の商品を選ぶようにしましょう。屋外の水栓は外気にさらされるため室内の水栓よりも凍結しやすく、凍結による給水管の破裂にも注意が必要です。
寒冷地仕様の屋外水栓では水抜栓を回すことで水抜きが可能です。少ない手間でできる凍結対策なので心配な方はこちらを購入して対策をしましょう。水抜栓の仕組みはハンドルを回すことで水栓内の水を凍結深度より深い位置に排水するようになっています。
本記事では庭に立水栓もしくは散水栓の設置を考えている方へそれぞれの水栓の違いや施工費用の相場、メリットとデメリットを解説しました。同じ水栓でも用途によって使いやすいものも異なります。自分に合ったものを選択すればより快適な暮らしが実現できます。
水栓工事は水道局から認可を受けた水道局指定工事店に依頼する必要があります。安全に工事を行うためにもお住まいの地域で認可を受けている業者に連絡をして工事を進めてください。
イースマイルは全国多数の地域で水道局の認可を受けている水道業者です。屋外水栓を含めて多数の実績があるため安心して工事を依頼できます。見積もりや出張費はかからないのでまずはお気軽にご相談ください。
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