食洗機用の分岐水栓とは、キッチンの水栓に取り付けて水の出口を増やし、食洗機に水やお湯を取り込むための部品です。
分岐水栓の取り付け工事は通常、工事業者が行います。しかし、作業の難易度がそれほど高くないので、自分で取り付けることも可能です。
自分で分岐水栓を取り付ける場合は、規格に合った分岐水栓や適切な工具、作業前の準備、正しい手順で作業することが重要です。蛇口の分解を行うため、ネジの穴を潰すなど部品を壊したり、水漏れしたりなどのトラブルが起こる心配もあります。
自分で取り付けを行うと費用は抑えられますが、リスクがあることも覚えておきましょう。
取付け用の分岐水栓は、蛇口の品番に対応するものを選んでください。蛇口の品番は、蛇口の裏側などに付いているシールで判別できます。分岐水栓に表示されている蛇口の対応品番をよく確認し、適合するものを選びましょう。
汎用性の高い蛇口の場合は、比較的簡単に対応する分岐水栓が見つかります。しかし、メーカーオリジナルの水栓などは専用の分岐水栓が必要です。分岐水栓の費用はメーカーや型式によって異なりますが、参考として、パナソニックだと(税込)6,600円(CB-ET7の希望小売価格)、TOTOだと(税込)9,900円(THF22Rの希望小売価格)などがあります。
蛇口の裏などにシールがなく品番がわからないときは、インターネット上で調べる方法がおすすめです。パナソニック製の分岐水栓を購入する場合は、パナソニックの「分岐水栓サポートデスク」を利用できます。蛇口のハンドル部、吐水口(水の出る部分)、蛇口全体の画像をサポートデスクにメールで送ると、対応する分岐水栓の品番を回答してくれるので、どの分岐水栓を購入すればいいかわかります。
まずは、取り付けに必要な工具を揃えましょう。
必要な工具は、ウォータープライヤーやモンキーレンチ、ドライバー、六角レンチです。
ウォータープライヤーやモンキーレンチは蛇口や分岐水栓のナットの付け外しに使用し、ドライバーや六角レンチは止水栓の開閉や蛇口内部のネジの付け外しに使用します。
次に、作業中の水の噴出などを防ぐため、止水栓を閉めましょう。
止水栓はハンドル式や溝の付いたネジ式のもので、通常シンク下収納の中にある給水管に付いています。
ハンドル式のものは手で、ネジ式のものはマイナスドライバーで時計回りに回して閉めましょう。止水栓が見つからない場合は、住宅の水の元栓を閉めてください。止水栓や元栓がきちんと閉まったか確認するため、蛇口を開けて水が出ないことを確かめましょう。
キッチンによくある蛇口のタイプは、レバータイプのハンドルに吐水口1つが付いた「台付きシングルレバー混合水栓」と、ハンドルは2つで吐水口が1つの「ハンドル混合水栓」です。
ここでは、これら2つのタイプの蛇口へ分岐水栓を取り付ける方法を解説します。
シングルレバー混合水栓に分岐水栓を取り付ける手順は次のとおりです。
蛇口からカバーナットなどの部品を外すときは、蛇口の根元が一緒に回らないよう固定しましょう。分岐水栓を取り付けるとき、また、分岐水栓にカートリッジを取り付けるときは、それぞれの部品に付いているピンやピン穴を合わせるのがポイントです。
分岐水栓の固定方法は型番によって違うため、説明書を確認しましょう。
ハンドル混合水栓用の分岐水栓にはハンドルが付いています。水栓に分岐水栓を取り付ける手順は次のとおりです。
カバーナットを外すときに水が漏れるかもしれませんが、止水栓が閉まっていれば、配管内に残っていた水が少量漏れるだけなので心配ありません。気になる場合はタオルなどを蛇口付近に敷いておきましょう。
ハンドル混合水栓用の場合は分岐水栓にハンドルが付いているので、外したハンドルなどは不要になりますが、もとに戻す予定がある場合は捨てないよう注意してください。
分岐水栓を蛇口に取り付けるときは、お湯接続か水接続かを選ぶ必要があります。お湯接続の場合は給湯器で温められたお湯を食洗機に流して使い、水接続の場合は水を食洗機側で必要に応じて温めて使います。
お湯接続のメリットは、給湯器側でお湯を作るほうが効率がいいので、運転時間を短縮できることです。ただし、洗浄効果は水接続の場合と変わりません。
お湯接続と水接続のどちらに光熱費が多くかかるかは、もとの水の温度によって変わります。水の温度が低ければお湯接続のほうが安く済みますが、水が20度以上の場合は水接続のほうが安く済む場合があります。
食洗機によっては安全に使えるお湯の温度が決まっているので、お湯接続にする場合は給湯器の温度設定にも注意が必要です。判断に迷ったら、食洗機メーカーの推奨環境を確認してみるか、食洗機接続に詳しい業者に効率的な接続方法を相談するといいでしょう。
ここでは、分岐水栓取り付けで起こりがちなトラブルや、その防止・改善方法について解説します。水漏れや部品の不足などのトラブル、時間や費用の無駄を避けるため、あらかじめ注意点を把握しておきましょう。
「分岐水栓を取り付ける前の準備」でも説明したように、取り付け前には止水栓や住宅の水の元栓を閉める必要があります。
通常は、止水栓や元栓が開いていても蛇口で水の出し・止めをコントロールしているので、勝手に水が出ることはありません。しかし、分岐水栓の取り付けではハンドルを取り外すので水をコントロールする方法がなく、止水栓が閉まっていないと水漏れや噴出を引き起こしてしまうのです。
床や家具が水浸しになるなどのトラブルが起きないよう、止水栓や元栓は必ず作業前に閉めておきましょう。
分岐水栓の種類によっては、食洗機の配管を接続する方向が決まっているものがあります。例えば分岐水栓の接続方向が右のみだった場合、食洗機を左に置くと配管をUターンさせなければなりません。
分岐水栓を購入するときは先に食洗機の配置を決め、対応した形状の分岐水栓を購入するのがポイントです。蛇口の型番と合うなら、取り付け位置を左右切り替えできる分岐水栓を選ぶといいでしょう。
また、ハンドル混合水栓の場合、お湯接続と水接続では分岐水栓の取り付け位置が変わるため、食洗機までの距離も変わってきます。延長給水ホースが必要になったり、逆にホースが長すぎたりすることもあるので、食洗機や分岐水栓の購入前に位置関係を確認するのが重要です。
使っている蛇口のタイプによっては、先ほど「分岐水栓を取り付ける方法」で解説した方法では取り付けられないケースがあります。
蛇口の型番などをよく調べずに適合しない分岐水栓を購入すると、使えないので余計な出費になってしまうでしょう。分岐水栓によっては取り寄せに何日もかかるものもあるので、使えないものを買った後に取り寄せるとなれば時間も無駄にかかります。
費用や時間をかけないためにも、自分で取り付けが可能な蛇口かをあらかじめ調べておきましょう。
ここでは、自分で分岐水栓の取り付けを行うのはやめた方がいいケースとその理由、起こりうるトラブルについて解説します。自分で行えるかどうかを判断するときのポイントも解説しているので参考にしてください。
蛇口に分岐水栓を取り付けできない場合、シンク下の止水栓に取り付ける方法もあります。この方法では、給水コンセントというホースと止水栓に付けた分岐水栓をつないで食洗機に給水を行います。そのためには、シンクに給水コンセントの通る穴をあける必要があるのです。
シンクに穴をあけるのは難易度が高く専用の工具も必要で、慣れない人が行うとシンクが破損するリスクもあります。止水栓に分岐水栓を取り付ける作業が想定されるときは、自分で行うのは難しいので専門の業者に相談するといいでしょう。
蛇口を分解するには、固定ナットやネジを外す必要があります。しかし、蛇口の取り付けから長い期間が経つと、経年劣化によりナットやネジが固着してしまい、手の力では外せなくなることがあるのです。
固着したナットを無理に回すと、蛇口や配管が破損してしまうケースも考えられます。また、ネジを無理に回してネジの頭の溝がつぶれると、ドライバーを入れてもネジが回らなくなり外せなくなってしまいます。
ナットやネジが固くて外せないと思ったら、無理に作業を続行しないほうが無難です。
食洗機用の分岐水栓を間違いなく取り付けるには
など、一つひとつの作業をしっかり行うことがポイントです。
逆に、蛇口に合った分岐水栓や蛇口の分解方法、取り付け方がよくわからないときは、自分で作業しないほうが無難といえます。よくわからないまま取り付け作業を行うと、分岐水栓の適合不全や蛇口の部品がきちんと設置されずに水漏れを引き起こすこともあるので注意しましょう。
分岐水栓の取り付け作業の難易度は、それほど高くありません。蛇口の型番を把握して適切な分岐水栓を選び、蛇口を順番に分解して作業を進めれば取り付けられます。
しかし、分岐水栓を取り付けられない蛇口だったり、経年劣化で固着していたりと、思わぬトラブルがあると難易度は高くなります。
そんなときは、無理をせず業者に依頼する方が安心です。豊富な経験や知識を持つ業者であれば、珍しいケースや思わぬトラブルにもスムーズに対処できるでしょう。無料で見積もりができる業者もあるので、判断に迷ったときは気軽に相談してみましょう。
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