まずはトイレの床リフォームにどんな素材が使えるか確認していきましょう。トイレの床に使用される主な床材は以下の通りです。
それぞれ掃除のしやすさや水への強さなどが異なるので、張り替えにあたっては床材の性質を踏まえた検討が必要です。ここからは、それぞれの床材の特徴や、メリット・デメリットを解説します。
クッションフロアはトイレや洗面所など水まわりによく用いられるクッション性のある柔らかい感触の床材です。塩化ビニール系の素材の表面にさまざまな色や柄がプリントされています。
防水性が高く水が浸み込まないうえ費用も安いので、水が跳ねやすい環境でも使いやすく施工しやすい素材です。また、カラーリングや模様などのバリエーションも豊富なので、選べるデザインの幅も広いでしょう。抗菌・消臭機能が備わったトイレにぴったりの製品が多いのもメリットの一つです。
しかし、柔らかいので傷や凹みがつきやすく耐用年数がおよそ10年と比較的短いというデメリットもあります。そのため、クッションフロアを使うなら、短いスパンでの張り替えが必要となります。
とはいえ、短いスパンで張り替えることによって、清潔さを保ちやすくなる面もあるので、張り替えをあまり負担に感じない方であればあまりデメリットにはなりません。また、温水便座の耐用年数も10年ほどなのでトイレ一式をリフォームするなら耐用年数の短さもあまり気にならないでしょう。
クッションフロアは水に強いので掃除しやすいですが、効き目の強い洗剤を使ったりメラミンスポンジなど研磨力のあるもので擦ると表面のコーティングが取れてしまいます。基本的には中性洗剤を使った掃除がおすすめの床材です。
なお、クッションフロアの仲間として塩化ビニール系の素材で作られたフロアタイルもあります。クッションフロアが1枚の大きなシートとなっているのに対して、フロアタイルは細かなタイルに分かれています。
タイルとタイルの間につなぎ目があるのでクッションフロアに比べると防水性が低いですが、表面が硬いので耐久性と防汚性に優れるのが魅力です。フロアタイルもお手入れが簡単で模様などを楽しみやすいですが、つなぎ目に汚れが溜まりやすいので注意が必要です。
フローリングは木材や合成樹脂を使った暖かみのある見た目の美しい床材です。家の他のインテリアと調和を持たせるために、トイレにもフローリングを採用する方もいます。しかし、特別な加工のされていないフローリングは水や洗剤に弱く、黒ずみや腐食が起きやすいデメリットがあります。
また、表面のコーティングが剥がれるおそれがあるため、効き目の強い洗剤やメラミンスポンジなどは掃除に使えません。中性洗剤などで掃除をする際にも、なるべく水によるダメージを与えないよう手早く拭き掃除をするなど特別な配慮が必要な床材です。フローリングの耐用年数もおよそ10年ほどと考えておきましょう。
近年はトイレ用に水やアンモニアに強くなったり汚れが浸み込みにくくなったりする特殊コーティングが施されたフローリングも開発されています。お手入れの手間を省きながらフローリングを導入したい方は特殊コーティングがされたもので張り替えをするのがおすすめです。
タイルは陶器や石材などによって作られた耐久性と耐水性に優れた床材です。張り替え費用は高くなりやすい一方で、耐用年数はおよそ15年と長めです。防水性が高くトイレを含む水まわりの床材に向いています。洗剤やメラミンスポンジにも強く、多少擦ったり、効き目の強い洗剤を使ったりしても傷まない強さがあるのもメリットです。
また、見た目も重厚感や高級感があるため、シックな雰囲気のトイレにしたい方にはおすすめです。タイル部分は汚れが染み込みにくく防汚性にも優れています。
しかし、タイルとタイルの継ぎ目にあたる目地の部分に汚れが溜まりやすく、塩素系漂白剤を使った掃除が必要になることもあります。また、冷えやすい素材なので、冬場に足裏が冷たくなるのも気になるかもしれません。タイルに張り替えるなら、スリッパやマットを使うなど冬場の対策も検討しておきましょう。
タイルは以前のトイレでは主流の床材でしたが、次第に柔らかく扱いやすいクッションフロアに人気が移りました。しかし、近年は汚れや臭いが染みつきにくくする高機能タイルも販売されているため、製品によっては昔に比べてお手入れがしやすくなっています。今再び注目が集まっている素材です。
大理石は高級感のある美しい素材です。トイレの床を大理石にすると、まるでホテルのようなラグジュアリーな雰囲気にできます。しかし、大理石はお手入れが難しい素材でもあります。酸性やアルカリ性の洗剤を使うと変色や腐食の原因になるため、掃除をする時でも多くの洗剤が使えません。
また、中性洗剤でも大理石に使えるものと使えないものがあります。掃除の際には大理石専用洗剤を使うのが無難です。大理石は細かな穴が空いている素材であるため防水性も低く、水や尿によってもシミができます。普段使用する際にも水に濡れたらすぐに拭き取るなど特別な配慮が必要となります。
柔らかい素材でもあるため、メラミンスポンジなどによる研磨も厳禁です。上を歩いているだけでも細かな傷がつき、輝きが次第に失われていくためメンテナンスに手間がかかります。見た目は非常に美しいものの、トイレに使用するには手間や配慮が必要となる素材と言えます。
トイレの床の張り替えリフォームを検討するにあたって、気になることの一つは費用でしょう。ここからは、一般的な一畳サイズ(0.4~0.5坪)のトイレを想定して、床材ごとにリフォームにかかる費用相場を紹介します。
クッションフロアへの張り替えにかかる費用相場は2万円~4万円です。工事には古い床材の撤去・処分と張り替え作業が必要です。古い床材が傷んだり腐食したりしていなければ、古い床材の上からクッションフロアを重ね張りすることもできます。
重ね張りの場合は、古い床材を撤去・処分する必要がないので費用や工事時間を節約できます。ただし、床の下地の状態を確認できないまま作業するので、本当に重ね張りをしてよいかはリフォーム業者と確認する必要があります。また、既存の床材の上にそのままクッションフロアを張るので、小さな段差ができやすくなるのも要注意です。
フローリングへの張り替えにかかる費用相場は3万円~6万円です。工事では古い床材を撤去・処分し、張り替え作業を行います。フローリングも、古い床材が傷んでいなければ古い床材の上から重ね張りすることができる場合もあります。
フローリングの重ね張りの場合も段差ができやすくなるため、トイレに出入りする時につまずきやすくならないかや、扉をスムーズに開閉できるかなどを確認してから工事を行いましょう。
タイルへの張り替えにかかる費用相場は5万円~12万円です。古い床材を撤去・処分し、張り替え作業を行います。タイルは1枚1枚張っていく必要があるため、施工に手間と時間がかかり、他の床材よりも費用が高くなる傾向にあります。
また高機能タイルは原材料費が高くなりやすく、10万円以上の費用がかかるケースが少なくありません。高機能であることによる快適さと費用を天秤にかけて納得のできる値段のタイルを使いましょう。
大理石への張り替えにかかる費用相場は5万円~25万円です。大理石は価格の幅が広い素材であるため、グレードによって費用は大きく変動します。大理石の場合も、古い床材を撤去・処分し、大理石のプレートを張っていきます。
大理石を含め石材で床を張り替える場合は、一度便器を取り外し、床を張り替えてから便器を据え付け直すのが一般的です。しかし、大理石を便器の形状に合わせて前もって加工しておけば、便器を取り外さなくても施工できる場合があります。
床材を選ぶ際には以下のポイントを意識しながら選ぶのが大切です。
全てのポイントを満たす完璧な素材はあまりないため、上記のポイントのうち自分や自宅にとって大切なのは何かを考えて優先順位をつけていく必要があります。ここからは、それぞれのポイントについて詳しく解説します。
トイレの床材を選ぶ際には掃除のしやすさも考慮しましょう。トイレを清潔に使っていくためには、日常的な床掃除が必要で、掃除しにくい素材を選んでしまうと日頃の負担が増えてしまうからです。
たとえば、水や洗剤に弱い素材を選ぶと、掃除の際に素材専用の洗剤を使ったり、水拭きを素早く済ませたりするなどの配慮が必要となり、人によっては面倒に感じます。特に見た目などにこだわりがないのであれば、ある程度の防水性と洗剤への強さを持った素材を選ぶのが無難です。掃除しやすい床材には、クッションフロア、タイルがあります。
特にクッションフロアは汚れが溜まりやすい目地もなく表面がなめらかなので掃除しやすいでしょう。タイルは目地がある分掃除が面倒ですが、耐久性が高いので擦り洗いもできるのが魅力です。また、一つひとつのタイルが大きなものを選べば目地が少なくなるため、目地を掃除する手間もある程度省けます。
防水性の高さも重要な点です。トイレは拭き掃除する時に水を使うほか、普段の使用で洗浄水や尿がはねるなど床が水で濡れやすい環境です。防水性の低い床材を選ぶと、水によって床材にシミができたり、カビや剥がれが発生したりします。
防水性の低い床材をきれいに使い続けていくなら、水に濡れたらすぐに拭き取るなどの毎日の配慮が不可欠です。普段の使用や掃除での利便性を重視するなら、防水性の高い床材を選びましょう。防水性の高い床材には、クッションフロア、タイルがあります。
また、フローリングは基本的には水に弱いものが多いですが、特殊コーティングによって水に強いものも出てきました。好みによっては特殊コーティングがされたフローリングもおすすめです。
床材選びでは耐久性の高さもチェックしましょう。洗剤に対して強く、丈夫な素材を選ぶと、床が傷みにくく、掃除もしやすくなります。また、尿にはアンモニアが含まれているので、アンモニアへの耐性もあると傷みにくいでしょう。
耐久性の高い素材にはタイルがあります。タイルはメラミンスポンジで多少擦っても傷つかず、目地の掃除に塩素系漂白剤も使えます。メラミンスポンジや効き目の強い洗剤は使えませんが、クッションフロアも掃除の際には扱いやすい素材です。
耐用年数の長さという点では、タイルが最も長く15年ほど使えます。しかし、クッションフロアやフローリングも10年ほどの耐用年数を持っているため、それなりに長く使えます。
デザインや色合いにも注目しながら床材を選ぶと、トイレを気に入った雰囲気にできます。デザインの自由度や色合いのレパートリーが多いのはクッションフロアです。さまざまな柄やカラーリングの製品が販売されており、豊富な選択肢からお気に入りのデザインを選べます。
クッションフロアのデザインはプリントではありますが、近年のプリント技術の発展は目覚ましいものがあります。クッションフロアだと安っぽいのではないかと心配している方も一度サンプルなどを見てみましょう。
より高級感のある雰囲気を求めるなら、フローリングや大理石も検討してみましょう。クッションフロアのプリントでは実現できない本物の質感を楽しめます。掃除のしやすさや防水性とはトレードオフの関係なので、トイレの床で何を大切にしたいか考えて選ぶのがおすすめです。
デザインや色合いを決める際には、壁紙とのバランスを見るのも大切です。壁紙と合わせて見た時の印象がちぐはぐだと落ち着きません。トイレ全体のバランスを考慮に入れた上で、床材を決めましょう。
床材選びでは費用も重要な点です。見積もりを取って費用が無理のない範囲に収まる床材を選びましょう。コストパフォーマンスの面ではクッションフロアがお手入れしやすく費用も安いのでおすすめです。
しかし、トイレは毎日使う場所なので、使っていて心地よいかも生活の満足度に大きく影響します。多少の費用には目をつぶって、お気に入りの素材で張り替えるのも一つの選択肢です。
なお、フローリングやタイルに張り替える場合は、やや高価格ではあるものの高機能のモデルも販売されています。お手入れのしやすさや快適さとのバランスを見て、自分にとって納得できる価格の床材を選びましょう。
トイレの床の張り替えリフォームをするにあたって、リフォームを成功させるためにいくつか意識しておきたいポイントがあります。リフォームしてから後悔や不便さを抱えないために、事前に注意するべきポイントを確認しておきましょう。ここからは、それぞれのポイントを詳しく解説します。
床の張り替えリフォームをする際にはトイレのリフォームとの同時施工がおすすめです。床とトイレを別のタイミングで施工すると、トイレがあった部分の床にシミが残っていたり、穴が開いていたりして見た目がきれいにならないからです。
せっかく床をリフォームするなら、後でトイレの設置痕が残ってしまわないようにした方がよいでしょう。また、きれいに床の張り替えをするためにも、トイレの便器本体は一度取り外してから張り替えをするのがベストです。
床材の種類にもよりますが、トイレの床材と温水洗浄便座は耐用年数が共におおむね10年と同じくらいです。今回同時施工しておけば、次回も同時に施工しやすくなります。トイレのリフォームも検討しているなら、床の張り替えリフォームと時期を合わせられないか考えてみましょう。
床材を張り替える時には、段差ができたり、建具に干渉したりしないか確認が必要です。床材によっては、古い床材と厚みが異なるからです。また、古い床材の上からクッションフロアなどを重ね張りした場合には厚みの分段差ができます。
段差ができてしまうと、つまずきの原因にもなります。トイレは日常的に使う設備であるだけに、小さな段差があるのは危険です。また、段差の程度によってはトイレのドアの開け閉めに支障が生じるケースもあります。床材の厚みなどが問題ないか業者と相談しましょう。
上述した段差に関連して、トイレの床リフォームではバリアフリーにも意識した施工が必要です。比較的寿命の短いクッションフロアでも耐用年数がおよそ10年であるため、リフォームした床とは長い付き合いになります。トイレの床をリフォームするなら、10年以上先を見越して、自分や家族が年齢を重ねても安全に使えるよう工事をしましょう。
また、各種条件を満たしていれば施工内容によっては介護保険を利用してリフォーム費用の自己負担金額を抑えることも可能です。具体的には自治体から要支援または要介護の認定を受けている方が実際に暮らす住宅で、段差の解消や手すりの取り付けなどのリフォームをする場合には補助金が出ることもあります。
補助金の上限金額は原則として18万円です。自宅に条件を満たす方が暮らしている場合には、補助が出ないか調べてみましょう。
介護保険の補助金を利用するためには、リフォーム工事の前と後に書類を提出する必要があります。介護保険を利用しながらバリアフリー工事をしたい場合には、工事前にまずはケアマネジャーなどの福祉専門職員に相談しましょう。書類のうちの「住宅改修が必要な理由書」を福祉専門職員に作成してもらわなければなりません。
また、リフォーム工事の後にリフォームの領収書や工事費の内訳書、リフォーム完了後の状態が分かる写真などが必要なため、業者から受け取った領収書などは大切に保管しておきましょう。
業者を選ぶ際には複数の業者から見積もりを取って比較する相見積もりを行いましょう。実際に見積もりを取って比較することによって、お得に施工できる業者を見つけやすくなります。
比較する際には、費用がわかりやすく記載されているか、不明な項目がないかも確認しましょう。曖昧な見積もりや不明な項目を放置したまま工事をすると思わぬ追加費用が必要になることもあります。質問をした時に丁寧に分かりやすく答えてくれる業者を選びましょう。
また、他の業者と比較して極端に安すぎる業者は避けてください。リフォーム費用には素材費と人件費が含まれており、安定した品質の素材を使って必要な作業をすると必ずある程度の費用はかかり、極端に安くなることはないからです。
今回はトイレの床材の選び方について解説してきました。トイレの床材選びでは日頃の使用や掃除を想定して、掃除がしやすい素材や防水性の高い素材を選ぶのが無難です。
とはいえ、床材選びにはさまざまな軸があります。掃除がしにくくても、見た目のきれいな床材を選びたいという方もいるでしょう。大切なのは自分や自宅に合った床材を選ぶことです。それぞれの床材の特徴やメリット・デメリットを踏まえて、適切な床材を選び、後悔のないリフォームをしてください。
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