オストメイトという言葉を聞いたことがあっても、実際にどういう方をオストメイトと呼ぶのかや、オストメイトの方がどんな生活をしているのかを知らない方も多いのではないでしょうか。この見出しでは、オストメイトについて詳しく説明します。
オストメイトとは、病気や怪我などの理由で人工肛門・人工ぼうこうを持つ方のことを指す言葉です。人工肛門や人工ぼうこうを総称して、ストーマと呼ぶこともあります。
オストメイトになる理由の一つとして、直腸がんやぼうこうがんなど排泄器官のがんやクローン病といった疾患があります。また、生まれたときから肛門やぼうこうがうまく機能しない障害を持っており、ストーマの手術を余儀なくされる場合もあります。ストーマを持つと排泄という日常的な行動に大きな影響を与えるものの、社会生活するうえでは見た目から判断できません。
ストーマには大きく分けて「消化器ストーマ」と「尿路ストーマ」の二種類があり、その中でもさらに小腸ストーマや回腸導管など細かく分かれています。手術を行う部位によってお腹のどこにストーマを付けるかはそれぞれ異なります。
また、オストメイトの中にはヘルプマークを持ち歩いている人も多くいます。ヘルプマークは、外見から分かりにくい障害や疾患があることを示すマークです。オストメイトは見た目ではわからない障害なので、お腹に貼り付けたストーマ装具を交換をするために多機能トイレを長時間利用すると、周囲の人から冷ややかな目線で見られることも。ヘルプマークを持っておくと多機能トイレを利用する際に周囲に内部的な障害があることを知らせられるので、気持ちの面で楽になるでしょう。
オストメイトの方は手術で作成した人工肛門や人工ぼうこうに、ストーマ装具と呼ばれるパウチを貼り付けて生活しています。人工肛門や人口ぼうこうには筋肉が備わっていないため、自分の意思で排泄を調節できません。そのためオストメイトはストーマ装具を使って人工肛門や人口ぼうこうから流れ出る排泄物をパウチの中に貯めておき、トイレでパウチ内に貯まった排泄物を1日に7~8回ほど処理する必要があります。
ストーマ装具の交換頻度はタイプによって異なり、短期間用のストーマ装具であれば1~2日、長期間用であれば5日~7日ほど使えるものも存在します。長期間使えるタイプの方が交換の手間がなく楽なのではと感じるかもしれませんが、どれが合うかは人によって異なります。例えば発汗量や便の状態によっても使いやすい装具が異なったり、長時間同じストーマ装具をつけ続けていると排泄物で皮膚が荒れてしまう方もいます。一人ひとりの状況や状態に合わせて、快適に使えるタイプのストーマ装具を選びましょう。
ストーマ装具を交換する際には、まずパウチ内に貯まった排泄物を流して処理してから、お腹に貼り付けている装具を丁寧に剥がします。ストーマ周辺の皮膚は排泄物による刺激を受けて肌荒れしやすいため、シャワーと石鹸を使用して丁寧に優しく洗い流してください。肌に石鹸の成分が残っていると、新しいストーマ装具をうまく装着できません。石鹸の成分が残らないようしっかりと洗い流し、清潔な布やペーパーで肌に残った水分を完全に拭き取りましょう。
新しいストーマ装具を貼り付ける際には装着部分にヨレが生じないよう、お腹のたるみやシワを伸ばしてしっかりと貼り付けます。伸ばしてから皮膚に密着させて貼り付けないと、排泄物の漏れにつながる可能性があるため注意が必要です。最後に使用済みのストーマ装具の中をきれいに洗浄した後、トイレ内のゴミ箱に捨てればストーマ装具の交換は完了です。
オストメイト対応トイレについて、公共の場のトイレを中心に詳しく紹介します。オストメイト対応トイレは、一般的なトイレに比べてさまざまな設備が整っています。公共の場のオストメイト対応トイレについて詳しく知っておくと、自宅にもどんな配慮や設備があればオストメイトの方が使いやすいトイレになるのかがわかります。ぜひ参考にしてください。
オストメイト対応トイレは、ストーマ装具の洗浄や交換がしやすいように設計されています。オストメイト対応トイレは多機能トイレとして設置されることが多いです。オストメイト対応の目印としてトイレの入り口にオストメイトマークが表示されています。オストメイト対応トイレの主な設備は以下の通りです。
オストメイト対応トイレには、ストーマ周辺の皮膚やストーマ装具の内部を洗浄するための専用流し台や、手荷物をかけておけるフックなど配慮された設備が整っています。最近では皮膚を洗うときに不快な思いや冷たい思いをしなくて済むよう、温水シャワーが設置されている多機能トイレも増えてきました。
排泄物を流す流し台の高さはおよそ1.2メートルに設計されており、立ったままストーマ周辺を洗浄できたりパウチの内容物を捨てられる仕様です。さらに、ストーマ装具を交換したり排泄物を捨てたりする過程で衣服が汚れてしまった場合にも着替えがしやすいよう、着替え台が設置されていることもあります。
オストメイト対応トイレは専用の流し台があるだけでなく、オストメイトが利用するのに便利な空間設計がなされているのが特徴です。
例えば多機能トイレに備えられた大きな鏡は、オストメイトがストーマ装具をしっかり装着できているかや、着替えの後の身だしなみを確認する際に役立ちます。また、ストーマ装具の交換時には替えの装具を置くなど十分なスペースを確保して作業しやすいようカウンターが広く設計されていたり、荷物を掛けられるフックや荷物置き場がいくつか設けられていたりするトイレも多いです。
専用流し台やシャワーの設置だけでなく、フックやカウンターなどの空間的な配慮によってオストメイトの方が外出先でストーマ装具を交換したり排泄物を流したりする際の負担が軽くなります。オストメイト対応トイレは、オストメイトの方が外出先でも負担や不安を感じずにストーマ装具のメンテナンスを行うための工夫が詰まった空間です。
自宅をオストメイト対応トイレへとリフォームする際の施工内容を紹介します。オストメイトが排泄物を流す流し台やシャワーなどを新設する大掛かりなリフォームと、今あるトイレをオストメイト対応にアレンジするリフォームの2種類に分かれています。それぞれの施工内容や注意点を紹介します。
自宅トイレに十分な広さがある場合や新しくトイレ用のスペースを自宅に確保できる場合、公共の多機能トイレのようなオストメイト専用の流し台を設置できます。具体的には、排泄物を流せる流し台や温水シャワー、カウンターや大きな鏡などをセットで新設します。
設置費用の相場は30万円から100万円以上です。自宅の新しい場所にオストメイト対応トイレを作る場合や、トイレを広くしてオストメイト用の流し台やカウンターを設置する場合、水道や大工工事などが必要となる場合もあり、より費用が高額になります。
オストメイト専用の流し台や大型の鏡を新しく設置したい場合は、必要な工事が何なのかやどれくらいの費用が掛かるのか、自宅の状況によって異なります。業者に見積もりを依頼し、詳細を把握してから依頼するといいでしょう。
オストメイト専用トイレの設置より手軽なリフォームとして、今あるトイレにパウチ・しびん洗浄水栓付背もたれを設置する方法があります。背もたれがつくことで座ったときのバランスをサポートするため、便座の後部に腰かけたままパウチの内容物をトイレに流しやすくなります。また、背もたれ部分に水栓が設置されているので、ストーマ装具を洗い流すのにも便利です。
パウチ・しびん洗浄水栓付背もたれの取り付けは、既存のトイレに取り付けるだけで済むため、費用も比較的抑えられます。費用の相場は商品代金と設置費用を含めて15万円~です。専用トイレを設置する場合に比べると広いスペースも必要なく、経済的に自宅トイレをオストメイト対応にリフォームできるメリットがあります。
住宅改修補助金とは、要介護または要支援の認定を受けた人が対象となる介護保険の補助金です。支給の上限額は18万円と定められています。ただし、以前に他の改修で住宅改修補助金を受け取った場合や、同じ家で別の要介護者または要支援者のためのリフォームで住宅改修補助金を利用したことがある場合は支給の対象外です。
補助金を受けるには、まず自治体から要介護あるいは要支援の認定を受ける必要があります。認定を受けた後、担当のケアマネジャーに相談をしたうえで申請書や見積書など必要な書類を自治体に提出します。その後に施工を行い、完成した段階でさらに領収書や撮影日が分かるようにリフォーム箇所を撮影した写真などを提出して正式な支給申請が必要です。
基本的には上記の手順を踏んで申請を行わないと補助金は受けられないので注意してください。ただし、やむを得ない事情がある場合は、事前の申請がなくても事後提出すれば補助金が降りる場合があります。もしすでに工事を終えてしまった場合でも、一度自治体に相談してみるといいでしょう。
また、自治体が独自で行っている補助金制度がある場合もあるので、介護保険の住宅改修補助金が利用できない場合でも、自分の住む地域で利用できそうな補助金がないか確認してみることをおすすめします。
自宅のトイレをオストメイト対応にするには、健常者もオストメイトも共通で使える前広便座へのリフォームがあります。便座を交換するだけで済むので、手軽にリフォームできる点がメリットです。この見出しでは、オストメイトのために開発された前広便座について詳しく解説します。
オストメイト向けに開発された便座として、前広形状の便座があります。前広形状とは便座の前側の開口部が広くなっているタイプの便座のことです。前側が広く開いていることで、オストメイトがストーマ装具の中に貯まった排泄物を便座に座ったまま処理しやすいよう設計されています。
通常の便座の形状だとトイレに座ったままパウチ中の排泄物を処理するのは難しく、衣服や便座を汚してしまうことも。確実に排泄物を流すには、便器の正面から中腰や床に膝をついた姿勢をとらなければならず、足腰に負担が掛かる点が課題でした。
それに比べて前広形状の便座は、トイレに座ったままストーマ装具の排泄物を処理しやすい点が大きな特徴です。開口部が狭くなった便座の後部にくぼんだ形状にすることで、座り心地や座ったときの安定感を向上させています。
前広形状の便座にリフォームしても、健常者がトイレの使い方を変える必要は特にありません。またオストメイトの方だけでなく、排泄に介助が必要な方や妊娠中の方も前広形状の便座の方が使用しやすいメリットがあります。前広形状の便座はさまざまな方が利用しやすいバリアフリーのトイレとして適しているでしょう。
前広形状の便座の導入は、現在使用している便座を交換するだけなので大規模なリフォームは必要ありません。費用も10万円程度と抑えられるメリットがあります。
すでに紹介している通り、前広形状の便座は健常者がトイレを利用する際にも特に違和感がなく使えるため、家庭でも導入しやすいオストメイト対応の設備です。
外出先でオストメイト対応トイレをどう探せばいいのかを紹介します。オストメイトに対応している公共のトイレは増えてはいますが、それでも設備が整っていないところも多いです。外出時にもオストメイトやその家族が安心して過ごせるよう、ぜひ紹介する内容を参考にしてオストメイト対応トイレを探してください。
オストメイト対応トイレは、オストメイトJPというWebサイトで探せます。出かける先のオストメイト対応トイレを事前にリサーチして把握しておけば、計画的にトイレに行けるだけでなく、緊急のトラブル時にも対応しやすいでしょう。
オストメイトJPでは都道府県からオストメイト対応トイレを探したり、住所、郵便番号、駅名、施設名などスポットから調べたりもできます。温水の有無や商業ビルの中でも何階にあるのかなど詳細も掲載されているので、温水シャワー付きの施設を選んだり迷わずトイレまで辿り着けたりと便利です。
また、オストメイトJPにユーザー登録をすれば、見つけたオストメイト対応トイレの情報を投稿できる点も特徴です。全国のオストメイトと情報共有ができ、自分の投稿が別のオストメイトの役に立つところも嬉しいポイントです。
オストメイトJPにはアプリ版もあります。スマートフォンにアプリをダウンロードしておけば、外出先でも手軽にオストメイト対応トイレを探せます。トイレの位置が地図に表示され、現在地から最寄りのトイレを簡単に確認できるため、緊急時にも役立つでしょう。
もちろんWebサイト版のオストメイトJPと同じく、温水シャワーの有無や利用可能時間や詳しい場所など詳細情報も掲載されています。オストメイト本人や、オストメイトの家族はアプリをダウンロードしておいて損はないでしょう。
オストメイト対応トイレについて、設置方法や関連する情報を紹介しました。ストーマ装置を使って生活するオストメイトにとっては通常のトイレは使いづらい面があります。負担を感じずに使えるトイレがあれば、オストメイトの生活の質は大きく向上します。
身近な人や自分がオストメイトになった場合、自宅トイレをオストメイト対応にリフォームすれば、日常生活がより快適になるでしょう。流し台や鏡などの一式を新たに設置する場合は100万円以上のリフォーム費用が掛かるケースもありますが、オストメイトにも対応した前広便座への交換や、パウチ・しびん洗浄水栓付背もたれの取り付けであれば、10万円代でリフォームできることも多いです。
オストメイト対応トイレへのリフォームを検討している場合は、専門業者に相談するとそれぞれの家庭や予算感に合ったリフォーム方法を提案してもらえるでしょう。オストメイトと健常者の両方が快適に使えるトイレを目指して、ぜひ自宅トイレのオストメイト対応リフォームを検討してください。
イースマイルでは設備交換だけでなくトイレ空間のリフォームまで幅広く請け負っています。要望や予算からどのような商品がおすすめなのかを提案し、納得のいくリフォームプランをご提案いたしますので、まずはお気軽にご相談ください。電話は24時間365日受け付けております。
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