トイレのつまりが真空ポンプで直せると聞いても、あまりピンと来ない方が多いのではないでしょうか。
トイレのつまりに真空ポンプが効果的である理由は、吸引力の強さにあります。強い吸引力でつまりの原因を引っ張り出すので、スッポンなどよりも少ない労力でつまりを解消することができます。
ただし、真空ポンプはあらゆるトイレのつまりを直せるわけではありません。つまりの原因によっては、真空ポンプを使うとかえって悪化させてしまう場合があるので、注意が必要です。
ここでは、トイレのつまりが真空ポンプで直せる理由や仕組み、使うメリットなどについて詳しく解説します。
トイレのつまりを解消する専用の真空ポンプは、正式名称を「真空式パイプクリーナー」と呼びます。
真空式パイプクリーナーは、真空ポンプの吸引力でつまりの原因を取り除く道具です。スッポン(ラバーカップ)よりも吸引力が強く、かつ扱いやすいのが特徴です。
真空式パイプクリーナーの先端には、スッポンと同じように、ゴム製のカップがついています。このカップをトイレの排水口に密着させながら、真空ポンプで水を吸い上げ、つまりの原因を吸引します。
真空式パイプクリーナーは、カップを交換することで、トイレ以外の場所のつまりも解消できます。洗面所やお風呂のつまりなど、さまざまな場面で活躍するので、一家に一台あるととても便利な道具です。
真空式パイプクリーナーは、大きく3つの部分からなる構造をしています。
ポイントは、スッポンの柄の部分が、真空式パイプクリーナーではシリンダーとなっていることです。
シリンダーの先端にカップがついており、この部分をトイレの排水口に密着させます。その状態でハンドルを強く引くと、水が勢いよく吸い上げられます。
水を思い切り吸い上げると、水流が起こります。この水流の力でつまりの原因を引っ張り出す、というのが、真空式パイプクリーナーの仕組みです。
真空式ポンプは強力な道具ですが、必ずしも万能ではありません。直せるつまりと直せないつまりがあります。
真空ポンプで直せるつまりは、水に流せるものが原因のつまりです。水に流せるものとは、例えば、以下のようなものです。
これらのものは、水の中でほぐれて、溶けやすくなっています。水流によって崩れやすいので、トイレにつまっても真空ポンプを使えば解消できます。
一方、水に流せないものが原因のつまりは、水流を与えても崩れないため、真空ポンプでは直せません。
水に流せないものとは、以下のようなものです。
これらのものは、水の中で崩れにくいか、まったく崩れないため、真空ポンプで解消するのは難しいでしょう。
食品や嘔吐物による軽度なつまりであれば、解消できる可能性はありますが、無理は禁物です。水に流せないものが原因のつまりは、業者に依頼して解消してもらうのがおすすめです。
トイレのつまり専用の真空ポンプは、大きく2つの種類に分けられます。
家庭用真空式パイプクリーナーは、一般家庭での使用を想定した製品です。サイズが比較的小さいため、緊急時にサッと取り出しつまりを解消できます
一方、業務用の真空式パイプクリーナーは、ローポンプと呼ばれています。こちらは業務用ですので、吸引力が非常に強く、サイズも大きくなっています。
一般の家庭で真空ポンプを購入するなら、家庭用の真空式パイプクリーナーで十分です。ローポンプは確かに吸引力は強いのですが、大きいため保管が難しく、一般家庭の備えには向きません。
なお、真空式パイプクリーナーは、カップの形状によって以下の種類に分けられます。
自宅のトイレにあった形状のカップを用意しないと、思うような効果が得られないので、購入の際は気をつけてください。
ちなみに、家庭用の真空式パイプクリーナーは、さまざまな用途に使えるよう、カップが取り外せる製品が多いです。そういった使い勝手も考えて購入するとよいでしょう。
トイレのつまりに真空ポンプを使うメリットは、以下の通りです。
すでにお伝えした通り、真空ポンプの特徴は、吸引力の強さです。他の手段では解消できなかった、頑固なつまりにも対処できるでしょう。
また、真空ポンプは、カップを密着させながらハンドルを引いて吸引するので、スッポンよりも水が飛び散りにくくなっています。衛生的に使えるのは、大きなメリットの1つでしょう。
加えて、ハンドルを操作するだけなので、スッポンのように力が要りません。女性でも扱いやすい作りとなっているのも、メリット1つといえます。
トイレのつまり専用の真空ポンプは、ホームセンターやネットショッピングで購入できます。
価格の相場は、1,000円~3,000程度です。ただし、業者用のローポンプになると、1万円前後の製品もあります。
購入する際は、必ずカップの形状を確認しましょう。用途に対応したカップでなければ、せっかく買ったのに全然使えない、という残念な事態に陥る可能性があります。
真空ポンプはスッポンに比べると若干値段が高いですが、その分効果的です。また、カップを付け替えれば、トイレ以外の場所でも活躍するので、一台備えておいて損はないでしょう。
真空ポンプはトイレのつまりを効果的に直してくれますが、どのように使えばよいのでしょうか?
トイレのつまりを真空ポンプで直すには、いくつか押さえておくべきポイントがあります。正しく使うことで、より確実につまりを解消できるでしょう。
ここでは、トイレのつまりを真空ポンプで直す方法について、手順に沿って解説していきます。
作業に取りかかる前に、まずは事前準備をしましょう。
事前準備としてやっておきたいのは、以下の3つです。
まず、止水栓は閉めておきましょう。止水栓とは、トイレタンクへの給水を調節する栓のことで、給水管の途中に備えられています。ドライバーやハンドルを右に回して閉めましょう。
止水栓の位置や閉め方はこちらの動画で詳しく説明しています。
次に、真空ポンプは作業中に水が飛び散りにくい作りですが、100%飛び散らないとはいえません。念のため、床や壁を新聞紙などで養生しておくとよいでしょう。
最後に、排水口にカップをしっかり密着させるため、便器内の汚水を適度にくみ取っておきます。目安は、真空ポンプのカップが浸る程度です。また、排水口の周りに汚れがあるときは、軽く掃除しておくと、より密着します。
事前準備が済んだら、実際に真空ポンプを使っていきます。
まずは、排水口にカップを押し付け、しっかりと密着させてください。カップがへこむくらいまで押しつけるのがポイントです。
押し付ける際は、ハンドルを下に落とした状態にしておきましょう。この後すぐ上に引っ張るからです。
しっかりと密着させれば、カップ内が真空状態になって、吸引力が高まります。
カップをしっかりと密着させたら、ハンドルを強く引っ張りましょう。
コツは、素早く、勢いよく引っ張ることです。強く引くことで、吸引力によって水流が起こり、つまりの原因が崩れます。
つまりの原因を引っ張り上げるようなイメージで、ハンドルを引くとよいでしょう。
1度ハンドルを引っ張るだけでつまりが解消されるのはまれです。つまりが解消されるまで、ハンドルの押し引きを繰り返しましょう。
ポイントは、次の2点です。
よくある勘違いとして、真空ポンプを使う際、つまりの原因を奥へ押し込もうと、ハンドルを押すときに力を入れることがあります。
しかし、真空ポンプは吸引力でつまりの原因を取り除く道具です。押す時は、シリンダー内の空気を押し出すよう、ゆっくりと押し込んでください。
ハンドルを引くときは、上述したとおり、素早く、勢いよく引っ張るよう意識しましょう。
つまりが解消されると、トイレ内の水位が下がったり、ゴボゴボという音が鳴ったりします。
つまりが解消されたと思ったら、水を流して、本当に解消されたか確認しましょう。
ただし、いきなりトイレのハンドルを回して水を流してはいけません。つまりが解消されていなかったら、汚水があふれる恐れがあります。
確認の際は、バケツなどからゆっくり水を注ぐとよいでしょう。
水を流しても溜まらなければ、つまりが解消されたサインです。ハンドルを回して、普段通り使えるか、あらためて確認しましょう。
ここまで、真空ポンプの使い方を紹介してきましたが、実際に使う際にはいくつかの注意点があります。
すでにお伝えした内容もありますが、ここでまとめて再確認しておきましょう。
ここでは、トイレのつまりに真空ポンプを使う際の注意点をまとめます。
真空ポンプを使う際は、必ずつまりの原因を確認してからにしましょう。
真空ポンプで直せるのは、水に流せるものが原因のつまりだけです。水に流せないものが原因のつまりは、業者に依頼して取り除いてもらいましょう。
つまりの原因がわからないまま真空ポンプを使うと、被害が拡大する恐れがあります。
特に、スマホやおもちゃなどの固形物がつまっている時に、真空ポンプを使うのは絶対にやめましょう。トイレの奥の方に押し込まれてしまい、取り除くのが困難になる危険性があります。
つまりを悪化させてしまうと、最悪の場合、トイレを取り外さなくては修理できなくなるかもしれません。修理費用も高くなるので、つまりの原因がはっきりしない場合は、必ず業者に依頼するようにしてください。
トイレのつまりに真空ポンプを使用する際は、トイレの排水口に密着できるカップを使いましょう。
真空ポンプのカップには、和式トイレ用や洋式トイレ用、キッチン用などさまざまな種類があります。
特に、和式トイレ用と洋式トイレ用は、どちらも同じトイレ用なので、誤って購入してしまいがちです。しっかりと確認してから購入しましょう。
また、メーカーによってはSサイズ、Mサイズ、Lサイズというように、サイズでカップを分類している場合もあります。その場合は、トイレの排水口の直径を事前に測っておくとよいでしょう。
使用後の真空ポンプは、雑菌で汚れています。きちんと洗って手入れすることが大切です。
手入れの基本は、カップ部分を水洗いし、天日で乾かすことです。
バケツに水を溜めて、そこにカップを入れて洗いましょう。抵抗感がなければ、こすり洗いで汚れを落とすとよりきれいになります。
注意点として、洗剤や漂白剤は使用しないでください。カップのゴムを痛め、寿命が短くなるからです。
洗った後は、天日干ししましょう。濡れたまま保管すると、カビや雑菌が繁殖します。天日干し前にアルコールスプレーやカビ取り剤を吹きかけるのもおすすめです。
真空ポンプの保管は、カップを取り外せる場合は、カップだけ分けて保管するのがよいでしょう。トイレ用のカップはビニール袋などに入れて保管すれば、使用する度に袋を交換できるので、衛生的です。
カップが取り外せない場合は、カップ部分をビニール袋でくるんで、保管しておきましょう。
適切に手入れすることで、真空ポンプを長持ちさせられます。
真空ポンプを使ってもトイレのつまりが直らない場合は、無理せず専門業者に依頼するようにしましょう。
おおよその目安として、以下のような場合には、すぐに専門業者に連絡するのがおすすめです。
水に流せないものが原因のつまりは、自力ではまず直せません。特に、おもちゃなどの固形物がつまっている場合は、すぐに業者に依頼しましょう。
つまりの原因がわからない場合も同様です。何がつまっているかわからないのに、無理矢理直そうとすると、かえってつまりを悪化させる恐れがあります。
また、自分で直したら壊してしまわないか不安なときも、遠慮せずに業者に依頼するのがおすすめです。専門業者であれば、つまりの原因を的確に把握し、確実に直してくれるでしょう。
なお、トイレのつまり解消を業者に依頼する際の費用相場は、基本料金が2,000円~4,000円、つまり解消の作業料金が4,000円~8,000円となっています。加えて、出張費や深夜・早朝割増料金がかかる場合もあります。
料金が高すぎる、あるいは安すぎる業者は、悪徳業者の可能性がありますので、十分注意してください。
イースマイルの公式ホームページで作業料金・時間の目安が記載されていますので業者選びの際の参考にしてみてください。
トイレのつまり専用の真空ポンプは、吸引力でつまりの原因を取り除く道具です。
スッポンよりも吸引力が強く、ハンドルを引くだけなので扱いやすいのが特徴です。水に流せるものが原因のつまりであれば、効果的に解消できるでしょう。
ただし、水に流せないものが原因のつまりには使用できません。また、カップの形状も適切なものを使わなくては、効果が得られない場合があります。
真空ポンプはトイレのつまりを直す道具としては、比較的効果の高いものです。トイレ以外の用途にも使える汎用性もあります。
値段もそれほど高くはないので、もしものときに備えて、一台購入してはいかがでしょうか。
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