流したものがどこかでつまると、水位が上がってしまいます。すると、便器内の水に便やトイレットペーパーが混じる症状が発生することも。
何とかしようと焦って水をさらに流せば、そのまま水位が上がり続け、汚水が便器から溢れてしまうこともあるでしょう。
トイレつまりによる水位の上昇は「封水」の量が多くなっている状態です。トイレにおける「封水」とは、便器に常時溜まっている水を指します。
封水はトイレに不可欠な存在。なぜなら「臭い消し」の役割を果たしているからです。排水管からの異臭が便器へ上がってこないよう、封水で蓋をしています。
普段意識している人はあまりいないかもしれませんが、封水の水位は一定です。トイレは封水が一定量溜まるよう設計されています。しかし何らかのつまりやトラブルが発生し、封水の水位が上昇してしまうのです。
なぜトイレつまりで水位が上がるのでしょうか?仕組みはいたって単純で、どこかで異物が栓をしているからです。道が塞がったところに水や便を流せば、手前にはどんどん溜まっていきます。
例えるならダムと一緒です。雨が降り続いているのに、ゲートを閉じたままだと水が溜まり続けます。
ダムだと放水すれば良い話ですが、トイレはつまりの原因を取り除かないといけません。もしくはそれ以上水位が上がるのを防ぐため、何も流さないようにするしかないでしょう。
トイレの水位が上がってしまった原因は色々あります。すぐに対処したくなる気持ちは分かりますが、焦りは禁物。原因によってアプローチする方法が異なります。
間違った対処を実施すると、水位のさらなる上昇や漏水といった、事態の悪化を引き起こしかねません。よってまずは原因の特定をしましょう。以下の5つが主な原因です。
水位が上がって困っている人は、どれに該当するか参考にしてみてください。
水位が上がっている原因の中で、最もスタンダードなケースです。たいていは便やトイレットペーパーがつまっていますが、一時的なものなので時間経過によって直ることが多いでしょう。
ただ問題は、非水溶性の物がつまっているパターン。便などのようにボロボロになったり柔らかくなったりしません。除去しない限り、留まり続けて排水管を塞いでしまいます。完全につまれば汚水が溢れるので、早急な対応が必要です。
水の流れが弱いと勢いが足らずに、便器や排水管の途中で便などが止まってしまいます。それが結果的につまりとなり、水位が上がる症状を引き起こすことに。
ただ水の流れが原因なら一度で流しきれないため、すぐに気づくはずです。トイレの流す機能やトイレタンクなどにトラブルが発生しているかもしれません。故障してないか確認してみましょう。
便器から排水管までの構造は、少し複雑になっているのをご存知でしょうか。目に見える場所でないこともあり、気にしたことがないかもしれません。
便器の排水口を過ぎると、パイプ(排水路)が湾曲しています。曲がっているおかげで、封水が溜まるようになっています。また、排水路の径を太くすることもできますが、流す際に大量の水が必要になるため細めに作られています。総合的に考慮した結果、現在のトイレ構造が最適なのです。
ただし「湾曲している」「細い」という2つの特徴から、つまりやすいのも事実です。曲がっていることで水流の勢いが阻害され、排水管が細いことで大量の便やトイレットペーパーを流せばつまってしまいます。その結果、水位の上昇に繋がるということです。
最近だと「節水型トイレ」を導入する家庭が増えています。少量の水で流せることから、環境への配慮と水道代の節約が両立可能です。一方で、節水は水量を少なくし、水の勢いを弱くしてしまう行為です。
節水トイレは、基本的には少ない水量で便やトイレットペーパーを流せる設計になっています。しかし、便やトイレットペーパーが多い場合には、水量や水圧が足らず流しきることができず、つまりとなり水位の上昇に繋がります。
トイレの種類や水量の設定によっては、普通の便でさえ複数回流さないといけないこともあるので注意が必要です。
マンションやアパートは高層階になればなるほど、水圧が低くなり水の流れが弱くなります。新築や築浅の物件だと、前述した「節水型トイレ」を導入しているところもあるでしょう。それらの条件が合わさって便がつまり、水位上昇のトラブルを招きます。
またマンションやアパートの排水管には、専有部分と共有部分があります。専有部分は自分の便が流れるだけですが、共有部分は他の部屋から流れてきたものも集まります。
したがって、共有部分がつまると、自分のトイレにも影響が出てくる可能性があるのです。
トイレの水位が上がった原因を特定することはできたでしょうか?水位が上がった状態は非常に危険です。そのままではトイレができず、無理やり流すと周囲が汚水まみれになってしまいます。
原因が分かったのなら、早急に解決する必要があるでしょう。ここでは以下に挙げた4つの対処法を紹介します。
ただし原因によっては、相性の悪い対処法があるので、注意点も合わせて解説していきます。どこの家庭でも簡単にできるものばかりです。水位が上がって困った際はぜひ試してみてください。
誤ってレバーやスイッチを押してこれ以上便器内に水が流れてしまわぬよう、止水栓は閉めておきましょう。
お湯を手動で流し、つまりを溶かす方法です。
やかんやバケツのような容器に、40〜60℃のお湯を準備しましょう。そしてある程度の高さから、便器内に流してください。すると水圧でつまりが押し出されます。
つまりの原因が便やトイレットペーパーなどの水溶物であれば、お湯を使うと溶けやすくなって効果的です。逆にスマホやおもちゃなどの不溶物がつまっている場合、お湯を流したところで意味はありません。
水位が高い状態ですので、あらかじめ便器内の水は汲み出して水位を低くしておきましょう。汚水の飛散で床や壁紙を汚さないためにも、周囲の養生は忘れないようにしてください。
ラバーカップはトイレのつまりを除去するグッズで、「スッポン」の呼び方の方が馴染みがある方も多いでしょう。
使い方は簡単で、誰にでもできます。以下にラバーカップの使用手順を記載します。
ラバーカップには「和式用」「洋式用」「節水型用」と、いくつかバリエーションがあります。ご家庭のトイレタイプに合わせて使用してください。
注意点としては2つ。1つ目は水量の調整です。水が少なすぎると真空状態を作れず、上手くつまりを除去できません。水量の目安はラバーカップが浸るくらいです。水が少ないときは、バケツややかんで足しましょう。
2つ目の注意点は、使用してはいけないケースがあることです。スマホやおもちゃなどの固形物がつまっている際にラバーカップを使用すると、排水管にがっちりとはまってしまい除去できなくなる可能性があります。
そうなるとどんな道具や方法を持ってしても、自力ではどうにもできません。ラバーカップの使用は、便やトイレットペーパーなどのトイレに流すべきものがつまっているときだけにしましょう。
「排水管に汚れが蓄積している」「トイレが故障して水の流れが悪い」といったことが疑われる場合は、業者によるつまり除去や修理が必要になるため、業者へ相談しましょう。
定期的に清掃をしても、長年蓄積した汚れや床下の排水管に蓄積した汚れは、完全に取り除くことはできません。また故障や劣化による不具合が起こると、つまりだけでなく漏水やトイレの使用ができない事態にも繋がり、自力での対処は困難です。
費用がもったいないからといって、便器を分解したり改造したりすることは避けましょう。つまりの悪化や漏水に繋がり、最悪の場合、トイレが長期間にわたって使用できなくなる可能性もあります。
保証期間内であれば、無償での修理や部品の交換などで対応できる可能性もあります。保証期間については、設置時に渡された保証書や取扱説明書で確認してください。
トイレのつまりを除去してくれる業者は多種多様で、どれを選べば良いか迷ってしまうのではないでしょうか。なるべく費用を抑えたいけど、信頼できる業者にお願いしたいですよね。またすべての業者が相場通りとは言えず、予想以上の金額を請求されることもあります。
妥当な金額でつまりを直してもらうためにも、業者選びは慎重に検討しなければいけません。いきなり依頼するのでなく、相場や見積もりの確認などを行いましょう。
トイレつまりの業者選びを詳しく解説した記事は、以下からご覧いただけます。
水位が上がらないようにするには、つまりを未然に防ぐことが大切です。水位が上がると漏水からの浸水・異臭被害など、様々な二次被害が予想されます。面倒なことにしないためにも、次の4つを意識するとよいでしょう。
いずれも普段から少し意識するだけですので、頭の片隅に入れておきましょう。
こまめに流すことでつまりが発生しにくくなります。「何回も流すと水がもったいない」と思うかもしれません。しかし一度に便やトイレットペーパーを大量に流すと、つまりの原因となります。
分けて流せば、排水管を通る排泄物の量が少なくなり、トイレがつまるのを防ぐことができます。
また便の量は仕方ないとしても「トイレットペーパーの使用を減らす」、もしくは「細切れにして流す」といった工夫はできるでしょう。
最近はウォシュレット機能を備えたトイレが主流となっています。ウォシュレットを併用することで、トイレットペーパーの使用量を抑えることができるでしょう。
過度な節水は、トイレをつまらせる原因になります。
例えば「大」を使うべきなのに「小」で便を流す、といったことは避けましょう。もしつまりが自力で除去できず業者を呼ぶ事態になれば、節水で浮いたお金以上に出費が嵩んでしまうことでしょう。
流れにくいと感じたら、水量の設定を見直したり、「大」「小」のレバーで洗浄水量を正しく使い分けたりするようにしましょう。
水に溶けない紙製品や固形物は、トイレに流してはいけません。流したものによっては、トイレがつまって水位が上がる原因になります。
例えば、紙おむつは尿を吸水する吸水性ポリマーの特性上、水を吸うとかなりの体積まで膨張します。排水路や排水管の途中で引っ掛かり、水の流れを完全に塞いでしまいます。そうなれば、除去作業が非常に困難な状態になるので、決して流してはいけません。
他にもスマホやおもちゃなどをトイレに持ち込み、誤って便器内に落としてしまうと、つまりや水位が上がる原因になるだけでなく、排水路の奥まで入ると自力では取り除くことができません。
業者に依頼して便器を脱着して取り除いてもらう必要があり、無駄な費用が発生します。トラブルを避けるためにも、不要なものはトイレに持ち込まないように注意してください。
トイレの排水管は、定期的に清掃することをおすすめします。「排水管の汚れなんて微々たるもの」と思う方もいるかもしれませんが、他の原因が合わさってつまりとなり、水位が上がる可能性は十分にあり得ます。
また蓄積した汚れは、頑固でなかなか落ちません。特に排水管内は汚れが目に見えない場所なので汚れている実感がなく、清掃を疎かにしがちです。
パイプクリーナーなどの洗剤を使用して、定期的に排水管内の汚れを洗浄することで、汚れの蓄積を防ぎましょう。
トイレのつまりで水位が上がるのは、便器内で何らかのトラブルが発生しているサインです。トイレに流せるものが原因の軽度なつまりであれば、そのまま放置して直ることもあります。
しかし水位に改善が見られなければ「漏水による床や壁紙の汚染」「トイレが使えない」といった、生活環境への被害が出てしまうでしょう。
マンションやアパートになると、下の階に影響を及ぼすことも考えられます。そうなると費用の負担は膨らんでいくばかり。
まずは冷静に、なぜ水位が上がっているのかを確認することが先決です。原因が分かったら、それに応じた対処法を実践しましょう。
もし自力で直せない場合は、潔く諦めることも大事。無理に直そうとして、つまりを悪化させたり便器や排水管を破損させたりすると、余計な費用がかかってしまいます。
症状が軽いうちに業者へ依頼することで、迅速かつ最低限の被害で済むでしょう。少しでもおかしいなと感じたら、すぐに対応するよう心掛けてください。
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