水道の排水管がつまるケースは多々あります。排水管のつまりが起きると、排水をしにくくなり、衛生的にもよくありません。では、排水管のつまりはワイヤーブラシ(以下、ワイヤー)などを利用して解消できるのでしょうか。
結論からいえば、ワイヤーを用いて排水管のつまりを解消することは可能です。ただし、排水管の浅いところにつまりが発生しているケースに限る、との条件つきです。
まず、排水管のどこにつまりが生じているのか、表から見てもまずわかりません。よほど浅いところに少量の異物がつまっているのなら、ワイヤーで衝撃を与えて押し流せる可能性がありますが、はるか奥につまりが生じていることは十分にありえます。
「長いワイヤーを使えばよいのでは」との意見もあるでしょうが、これもあまりおすすめできません。そもそも、家屋に設置された排水管は一直線ではないため、素人がワイヤーを用いて簡単に清掃できるようなものではないのです。
しかも、かえって異物を押し込んでしまい、つまりの症状をさらに酷くしてしまうおそれもあります。その結果、今まで多少は排水できていたのに、異物が固まってしまいまったく流れなくなる、といったことも考えられます。
では、排水管のつまりをワイヤーで直すのは絶対に無理なのかというと、そうとは言いきれません。浴室の排水つまりをセルフで直すのは困難ですが、キッチンや洗面台であれば改善できる可能性があります。
キッチンや洗面台は、排水口から下に排水管が伸びており、途中にトラップと呼ばれるパーツがあります。トラップは、S字に曲がった管状のパーツで、水が溜まるように設計されています。水を溜めることで、臭いの逆流や害虫の侵入を防いでいるのです。
排水口からトラップまでの距離は短いため、その間がつまっているのなら、ワイヤーを用いて解消できる可能性があります。また、トラップ周辺は取り外しできることが多く、下側からの清掃も可能です。
トラップよりさらに下へ伸びる排水管の掃除は、すでにお伝えした通り難しいためおすすめできません。うまくいくケースもありますが、リスクがあることも理解しておきましょう。不安な方は、専門業者へ相談のうえ修理を依頼したほうが無難です。
排水管の掃除に使えるワイヤーは、ホームセンターや100均などで購入できます。一般家庭向けとして販売されているものと業務用がありますが、基本的には前者を選ぶとよいでしょう。
業務用は一般家庭向けに比べ長さや耐久性がありますが、20〜30万円ほどするものもあり高額です。仕事として毎日使用するのならともかく、たまに排水管の掃除をする程度の頻度であれば、コストパフォーマンスが悪いと言わざるを得ません。
上記を踏まえたうえで、ワイヤー購入前に気をつけるべきポイントを解説します。ワイヤー購入時にチェックするポイントは、長さと太さ、強度の3つです。基本的にはこの3つを軸に選ぶとよいでしょう。
まず長さですが、ある程度長いものを選びましょう。あまりにも短いワイヤーでは、浅いところしか掃除できません。長すぎても使い勝手が悪いため、実際に使うときのことも考えましょう。
製品によってワイヤーの太さも異なるため、注意が必要です。太いほうが丈夫に思えるかもしれませんが、先端のブラシの部分が排水管の中に入らない可能性があります。あらかじめ、どの程度の太さなら入るのか、確認しておくとよいでしょう。
また、しっかりとした強度のある製品を選ぶのも大切なポイントです。強度が低いと、排水管の中に入れて掃除するとき、先端が折れ曲がる可能性があります。途中で曲がってしまい、スムーズに掃除できなくなるかもしれないため、構造がしっかりしたものを選びましょう。
気になるワイヤーの値段ですが、メーカーや上記のスペックによって異なります。ただ、一般家庭向けの製品であれば、1,000円台から購入できるものも多々あります。もっとも多いのは、2,000〜3,000円の価格帯なので、この近辺で探してみるとよいでしょう。
専門業者に相談する暇がない、なるべくコストを抑えて直したいといった方は、ワイヤーを用いた掃除にチャレンジするのもよいでしょう。ただ、ワイヤーを用いたつまりの解消には、メリットとデメリットがあることを覚えておいてください。
ワイヤーを排水管のつまり解消に用いるメリットとして、手軽さが挙げられます。ワイヤーはホームセンターやネット通販などで簡単に購入できるため、手軽に試せるのです。
また、低コストで直せる可能性があるのもメリットといえるでしょう。排水管の浅いところがわずかにつまっている状態なら、ワイヤーさえあれば改善が可能です。一般家庭向けの製品なら、2,000〜3,000円で入手できるため、専門業者へ依頼するよりも費用を抑えられます。
自分や家族の都合に合わせて、排水管の掃除を行えるのも魅力です。専門業者へ依頼するとなれば、誰か家にいなくてはなりません。訪問時間に合わせて自宅にいなくてはならず、休日であれば貴重な時間を浪費してしまいます。ワイヤーを用いたセルフでの作業であれば、このような心配がありません。
また、一般家庭向けのワイヤーは収納性に優れたものが多く、片付けも楽です。使わないときはコンパクトにまとめて片付けられるため、邪魔になりません。普段は物置などに収納し、必要なときだけ取り出して使用できます。なお、業務用の製品は重量があるうえに大きいものが多いため、収納性には優れません。
運がよければ、短時間でつまりを解消できるのもメリットです。排水管つまりにもさまざまなケースがあり、中にはわざわざ専門業者を呼ぶほどのものではない場合もあります。軽微なつまりであれば、ワイヤーを用いて簡単に解消できる可能性があり、短時間で問題が解決します。
ワイヤーを用いた排水管の掃除は、どちらかというとデメリットのほうが目立ちます。メリットばかりに目を向けず、デメリットもしっかり理解しておきましょう。
まず挙げられるデメリットは、そもそもつまりを解消できない可能性が大きいことです。たとえば、排水管の相当深いところに異物がつまっている場合、家庭向けのワイヤーでは届かないかもしれません。このケースでは、つまりへのアプローチさえできず、ワイヤー購入に費やしたお金も無駄になってしまいます。
家屋に配管された排水管は一直線に下水へ向かうわけではありません。右へ左へ折れ曲がりつつ、壁の中や床下を通り下水へ向かっています。一直線ではないため、排水口からワイヤーを入れても、途中で引っかかってしまい先へ進めなくなる可能性もあります。
排水管にダメージを与えてしまうリスクがあるのも、デメリットのひとつといえるでしょう。住宅に使用されている排水管は、それほど高強度なものではありません。一般的には塩ビ管を用いるケースが多いため、ワイヤーの先端で削られてしまうおそれがあります。
同じ箇所を幾度となく削っていると、排水管に穴があいてしまうかもしれません。排水管の肉厚はそれほど厚くないため、しつこいアプローチでダメージが蓄積し、最終的に穴があくおそれがあるのです。穴があくと、そこから排水が壁内や床下に漏れてしまい、悪臭の発生や衛生環境の悪化を招きます。
また、一時的につまりを解消できても、再発するおそれがあることも覚えておきましょう。専門業者であっても、排水管の中をきれいに掃除するのはかなり困難な作業です。素人であればなおさら難しく、適切に除去できないことが多いため、短期間でつまりが再発してしまうかもしれません。
大変な苦労をして作業をしたにもかかわらず、つまりが再発したとなると精神的にもショックを受けてしまうでしょう。無駄に時間を費やしたことになり、結局専門業者へ依頼することになればさらにコストがかかります。
もっとも大きなデメリットは、つまりが余計に悪化してしまう可能性があることです。もともとつまりが発生しているところへ、挿入したワイヤーが除去したい異物を押し込んでしまい、完全に内部をふさいでしまうおそれがあります。
ふさがれてしまった道を通そうと、力ずくでワイヤーを押し込もうとすると、さらに異物の固まりを固めてしまうかもしれません。その結果、一般家庭向けワイヤーではどうにもならなくなる可能性があります。こうなると、もう素人にできることはないため、専門業者へ依頼しなくてはなりません。
ワイヤーをうまく利用すれば、低コストかつ短時間でつまりを解消できる可能性があります。ただ、ワイヤーで改善できない排水管つまりもあり、状況をさらに悪化させるリスクもあるため注意が必要です。
たとえば、水に溶けないものが排水管の中につまっていると、ワイヤーで解決するのは困難です。水に溶けるものなら、ワイヤーで削りつつ水を流してつまりを改善できますが、溶けないものはその場所につっかえたままです。
たとえば、家や車の鍵、コイン、ペットボトルのフタ、ライターなどが挙げられます。これら水に溶けないものは、水で軟らかくすることもできず、しっかりと引っかかってしまっているのなら、ワイヤーでのアプローチはあまり効果が期待できません。
また、ペットのトイレ用砂や生理用ナプキンなど、水を吸収する性質をもつものがつまっている場合も、ワイヤーでは解消できない可能性があります。吸水して膨らみ、その場に留まり続けるためです。
トイレで、ティッシュペーパーや尿漏れパッドなどを流してはいけない、というのは多くの方がご存じでしょう。トイレットペーパーは水に溶けますが、ティッシュペーパーや尿漏れパッドなどは溶けないため、つまりの原因になってしまいます。
油の固まりが排水管内部にこびりついているようなケースでも、ワイヤーは威力を発揮できません。油は低温になると固形化するためです。キッチンの排水管つまりの多くは油が原因といわれるほど、固まった油は厄介です。
大量の油を流していなくても、長年少しずつ蓄積されたものが、つまりを引き起こすケースは珍しくありません。同じ部位に少しずつ油が付着し固まると、やがてつまりを招きます。ワイヤーを用いて無理に除去しようとすると、かえって排水管の奥へと押しやってしまい、さらなる事態の悪化を招きかねません。
上記のようなケースでは、専門的な技術による異物の除去作業が必要です。排水管内の高圧洗浄や、異物を取り出す作業で対処する必要があり、素人では対応が困難です。
このように、ワイヤーでの作業を試みても排水管つまりを解消できないケースがあります。厄介なのは、つまりの原因を素人がきちんと特定するのは困難であることです。そのため、淡い希望を抱いてワイヤーを用いたつまり解消にチャレンジしたものの解決できず、結局専門業者へ依頼する、といったことが起こります。
時間をかけず確実に問題を解決したいのなら、専門業者への依頼がおすすめです。水周り工事のプロであるイースマイルなら、どこがつまっているのか短時間で特定し、適切な処置で問題を解決します。
イースマイルの公式ホームページに作業料金・時間の目安が記載されていますので業者選びの際の参考にしてください。
ワイヤーを用いてつまりを改善するには、ワイヤーの使い方や進める手順を把握しておきましょう。まずは、周りに排水が飛び散っても問題ないよう、養生からスタートです。
挿入したワイヤーを引き抜いたとき、反動で付着した排水や異物が飛び散ってしまうかもしれません。そのため、新聞紙や養生シートなどを使って、周りが汚れないよう準備をしておきましょう。
ワイヤーを挿入する前に、邪魔なものを片付けておくのも大切なポイントです。スムーズに作業を進めるため、片付けてからスタートしましょう。準備ができたら、いよいよワイヤーを排水管の中に挿入します。
挿入したら勢いよく押し込んでいくのではなく、慎重に進めましょう。排水管の壁に沿わせるような感じで挿入していき、つまりの有無を探ってください。引っかかったような手ごたえがあったら、そこにつまりが生じている可能性があります。
手ごたえを感じたら、少しずつ押し込みつつワイヤーを回転させてみましょう。回転させることで異物へ刺激を与え、スムーズに除去できる確率が高まります。回転させながら力を加える動作を何度か繰り返したら、一度ワイヤーを引き抜きましょう。
引き抜いたワイヤーの先端に、異物が付着していれば雑巾などで拭きとってください。再度ワイヤーを挿入し、先ほどと同じ部位にアプローチします。このとき、先ほどよりも手ごたえが少なくなっていれば、付着した汚れや異物を削り取れた可能性があります。
まだ異物感があるのなら、何度か先ほどの手順を繰り返してから、ワイヤーを引き抜きます。つまりを解消できたかどうか、水を流して確認してみましょう。スムーズに水が流れていけば、つまりは解消しています。
基本的には、このような手順、方法で進めます。ただ、一般家庭向けのワイヤーはそれほど丈夫ではなく、つまりにアプローチできても除去できないケースが多々あることを理解しておきましょう。また、ワイヤーの先端でわずかな水の通り道を作れたとしても、その程度の成果ではすぐに再発してしまうリスクがあることも覚えておいてください。
つまりが再発したときなど、再度ワイヤーを使用するときのために、きちんと保管しておきましょう。誤った方法で保管してしまうと、コンディションが悪くなり、使えなくなってしまうおそれがあります。大切なのは、使用したあとに清掃し、きれいな状態で保管することです。
排水管に挿入したワイヤーには、水分が付着しています。そのままの状態で放置してしまうと、サビを発生させてしまい、耐久性の低下を招きます。スムーズな動きを阻害するおそれもあるため、サビないように水分をしっかりと除去しましょう。
ワイヤーに付着した汚れが気になるのなら、湿らせた雑巾や不要なタオルを使用して水拭きします。水拭きしたあとに放置してしまうと、これもサビの原因になるため風通しのよい場所で乾燥させましょう。
乾燥させたあとに、防錆潤滑剤を塗布しておくと、コンディションを良好に保てます。液状タイプやジェルタイプなどさまざまな製品がありますが、おすすめはスプレータイプです。使い方が簡単で、ワンタッチで塗布できます。あまり塗布しすぎると、かえって汚れの付着を招くうえに、触りにくくなるため注意してください。
保管場所にも配慮しましょう。防錆潤滑剤を塗布していても、湿度の高すぎる場所で保管するのはおすすめできません。できるだけ、湿気の少ない場所で保管しましょう。新聞紙や吸水性に優れた紙で包む、ビニール袋に入れて外気と遮断するといった保管方法もおすすめです。
配水管がつまってから対処するとなると、時間と手間がかかるうえにコストも発生します。理想的なのは、日ごろからつまりを起こさないよう予防することです。日々の生活で注意していれば、排水管のつまりを未然に回避できます。
まずキッチンですが、つまりの主な原因は油です。そのため、いかに油を排水管に流さないかが、つまりを防止するうえで重要です。調理で使用した油をそのまま流す、油まみれの残飯を三角コーナーへ入れる、といった行為はつまりを招く要因となるため注意しましょう。
油がたくさん付着した皿や鍋、フライパンなどを洗うときは、あらかじめキッチンペーパーで汚れを拭きとると、排水管へ流れるのを回避できます。天ぷらや揚げものの調理で使用した大量の油を廃棄するときは、凝固剤で固めると処分が容易です。
凝固剤を使うと、大量の油を固形化でき、そのままゴミとして捨てられます。また、キッチンペーパーを詰め込んだ牛乳パックに、冷えた油を流し込んで処分する方法もあります。ただ、大量の油を流し込むと、外気の影響で自然発火するおそれがあるため、水を少し入れておきましょう。
浴室や洗面所の排水管つまりは、毛髪や石鹸かす、垢、ヘアゴムなどの異物が原因として挙げられます。排水管に入った毛髪に、石鹸かすや垢などが付着すると、悪臭やつまりが発生する原因になってしまいます。
浴室の排水管に毛髪を流さないためには、ヘアキャッチャーの利用が有効です。標準装備として備わっているケースもありますが、もし備わっていないのなら、後付けで利用できるものを利用してみましょう。シートタイプで手軽に利用できる商品もあります。
異物が排水管へ入り込まないよう、注意を怠らないことも大切です。ヘアゴムやリング、ピアスなどが流されないよう、入浴前や洗顔前に取り外す、排水口の近くに置かないなど配慮しましょう。
このように、日ごろから少し気をつけるだけで、排水管のつまりを回避できます。つまりが生じてから自分で対処するとなると、時間も労力もかかり費用も発生します。普段から少しでも意識しておけば、つまりの発生を防げるでしょう。
ただ、どれほど予防をしても、つまりが発生することはあります。本記事でお伝えした通り、セルフでの対応も可能ではありますが、困難であるうえに確実性もないため、基本的には専門業者への相談、依頼をおすすめします。
排水管のつまりは、ワイヤーブラシを用いて改善できる可能性があります。ワイヤーブラシは入手しやすく、一般家庭向けのものなら価格も安いため、手軽に試せるのがメリットです。
一方、確実に直せるわけではない、状態の悪化を招くおそれがある、といったデメリットもあるため注意しなくてはなりません。自分で対処するのは難しいと感じたのなら、最初から専門業者へ依頼することをおすすめします。
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