日本の水道が普及したのは、全国的にインフラが進んだ1960〜1970年代の高度経済成長期です。水道管の耐用年数は40年程度であるため、現在多くの水道管が更新期を迎えていますが、その更新率は高くはありません。
その背景には人口の減少や節水機の普及、飲料水の購入の増加など家庭の水道使用が減少したことによって水道事業による収入が十分に見込めなくなった結果、水道管を新しくする予算が捻出できないという窮状があります。公共工事で水道管の更新を進めることが適切ですが、依然として水道管の老朽化による事故が全国で多発しています。
例えば、老朽化した水道管が破裂する事故が発生すると、修繕工事のために水道管を遮断する必要があり、広範囲での断水が起きてしまいます。また、アスファルトに亀裂が入り、水が噴き出して冠水してしまうなど被害が拡大するケースもあります。
さらに、水道管が破裂することで住宅の水道水が濁ってしまう現象も生活への影響が大きいでしょう。このように水道管の破裂は1度発生すると甚大な問題につながってしまうため、水道管の老朽化は社会問題として注視されています。
水道事故を未然に防ぐために、水道管の耐用年数を把握しておきたいところです。耐用年数には2つの意味があり、1つは固定資産が使用できる期間の目安を法的に定めたもので、減価償却の計算期間を算出する基準としての耐用年数です。
2つめは、使用に耐えることができる実際の年数です。ここでは後者の意味合いで耐用年数という言葉を使用します。なお、水道管の耐用年数は使用されている素材によって異なるため、使用されている素材ごとに水道管の耐用年数を把握しておくことが大切です。
はじめに上下水道に主に使用される3種類について確認します。まず、上水のポリエチレン管や上水の硬質塩化ビニールの耐用年数は40~60年が目安です。
上水の鉄管の耐用年数の目安は40~70年です。次に下水に主に使用されるヒューム管の耐用年数の目安が約40年です。また、下水に使用されている硬質塩化ビニールの耐用年数の目安は40~60年です。
水道管の耐用年数は素材だけではなく、使用頻度によっても変わるため、耐用年数よりも短期間で問題が発生する場合もあります。少なくとも耐用年数を超えているなら、年に1回程度は点検を依頼してみてもよいでしょう。
水道の老朽化が進んでいることは事実ですが、水道管からの水漏れは非常に気付きにくく、また老朽化の度合いを測ることはできません。
特に持ち家では、水道メーターボックスを除く分水栓から蛇口までの給水装置は個人の所有物とみなされるため、所有者が水道管の老朽化に対応する必要があります。
ここでは老朽化対応の重要性を確認するため、老朽化を放置すると具体的にどのような問題が発生するのかについて考えていきます。
水道の老朽化を放置していると水道管にサビが貯まり、水の流れが滞ります。サビの蓄積は時間とともに進行するため、水道管の損傷はさらに進んでしまいます。目立った水漏れがなくても水の勢いが落ちているときは、水道管の老朽化を疑ってみることが大切です。
サビが発生した水道管を放置しておくと、その箇所が破裂する危険性があります。地表に露出している水道管が破裂すれば異変に気付くと考えられますが、地中に埋められている水道管が破裂した場合はすぐには気付かないこともあります。
水道管の老朽化が進み、どこかで水漏れが起こっていると水道料金が上がります。水道メーターをチェックすることで水道管の破損の状況を確認できるので、水道料金の上昇が気になったら水道を全部止めてからメーターを確認してみてください。
こちらの記事で詳しく解説していますので是非参考にしてみてください。
動いていれば、漏水している可能性が高いと言えます。なお、目に見える範囲で水道管の破損がないなら地中で水漏れが起こっている可能性があります。水道料金が上がること自体も避けたい問題ですから、できるだけ早く水漏れ箇所の調査依頼をしてください。
水道管が破裂した場合、分水栓から蛇口までの給水装置までは個人所有であるので、個人が工事費用を出す必要があります。
破損が進んでいる場合は工事費用も高額になるため、できる限り早い対応が求められます。そのため、耐用年数を迎える前後から定期的に調査をして水道管トラブルを未然に防ぎたいところです。
水道管からの水漏れが近所まで影響が出るようであれば、近隣トラブルに発展することも考えられます。特にマンションなどで床下浸水を引き起こしてしまうと、隣人トラブルは避けられないでしょう。対応を誤ると損害賠償を請求されるなどの法的問題にまで発展してしまう可能性もあります。
もしマンション等でトラブルが起こった際の対処法を下記の記事で紹介していますのでこちらも是非参考にしてください。
水道管の老朽化で、水道管にサビが付着すると、飲料水に交じってしまいます。人体には当然よいものではないため、健康に影響を及ぼす可能性があります。サビが混じるようになったら水道管をすぐに交換することをおすすめします。
水道管の老朽化を確認する方法は、自分でできる方法とプロに依頼する方法とに分かれます。まず、自分で確認してみて、異常が確認されたら、プロに細密な調査を依頼すればよいでしょう。
ここでは水道管の老朽化によるトラブルを未然に防ぐためにできる水漏れチェックの方法について紹介します。
すべての蛇口を止めた状態で水道メーターの「パイロット」を目視で確認し、回転しているなら水漏れが疑われます。その場合、まずは蛇口を確認してください。
蛇口の緩みなどではない場合は、目に見える範囲で水漏れをしていないかを確認します。水漏れの原因をそれ以上調べることができなければ、プロに依頼するとよいでしょう。
こちらの記事でパイロットについて解説していますので参考までにご覧ください。
月々水道料金が急に上がっている場合は水漏れが疑われます。水道管の一部で水漏れが発生していると、水道料金が高くなってしまうのは想像に難くありません。
まずは水漏れの位置を特定する必要があるため、自宅にある蛇口や配管を確認してください。水道管の状況によって自分で修繕をするか業者に依頼するかを決めるとよいでしょう。
プロに依頼すると音聴棒を使い、水道メーターや止水栓から聞こえる音で水漏れを調査し、漏水探知機を使用して振動で水漏れをしている場所を突き止めてくれます。
プロに依頼できれば、破損した水道管の周囲の老朽化も把握してくれるため、どの程度の水道工事が必要であるかも調査することが可能です。
水道管は目視で確認できない部分もあるため、水道管トラブルが起きた場合はプロの業者に依頼することをおすすめします。まず、一般的な水道管の交換等は自治体が行います。そこから取水する分水栓から蛇口までの給水装置と水道管の交換等が個人の責任範囲です。
緩んでいる水道管のナットを締める程度であれば、素人でも調べて対応できるでしょう。しかし、壁や地中の水道管は作業に適切な手順を踏まなければならないので危険が伴います。
そのため、DIYのように気軽に対応するのは避けて、水道管のプロの業者に依頼するのが普通です。賃貸住宅であれば、業者に依頼する前に管理会社や大家に連絡をしてください。
水道管のプロは、耐用年数を超えた水道管に対しては「交換」または「クリーニング」で対応します。特に水漏れが起きているときや水の異臭や濁りがあるときは水道管の交換を検討するでしょう。
なお、水漏れがあってプロの業者による工事が終わるまでは、水道メーターの横の止水栓を締め、水道管の下にタオルや布を敷いておくと水道事故の影響が周囲に拡大するのを防げます。
このように水道管の交換等は、水道事故の被害を拡大させないことを前提に対応しなければならないため、軽い作業を除いてプロに依頼するのが一般的です。
水道管工事をプロの業者に依頼した場合の一般的な工事費用の目安について紹介しています。工事費用は水道管の破損具合によって異なり、破損の範囲が大きければ高くなります。
まず、水道管を一部分だけ交換するときの費用相場は約10,000円です。小規模な破損を早期に発見し、迅速に対応すると費用は安くなるので、定期的な点検の重要性がわかるでしょう。
一方で、敷地内の水道管を交換するときの費用相場は35万~50万円です。規模が大きくなるため、ある程度の費用がかかります。基本的には耐用年数を超えた場合に提案されるでしょう。
ちなみに、水道管を全体的に交換するときの費用相場は、10万~100万円です。責任範囲の水道管をすべて交換する場合は金額も大きくなるので、相見積もりを取って比較するとよいでしょう。
3社以上の相見積もりを取ると適切な価格で依頼できる確率が高くなります。なお、水道管の工事を住宅メーカーに依頼すると中間マージンを取られてしまうため、修理業者に直接依頼したほうが安くなる傾向にあります。
後悔しないように優良な水道管工事業者に依頼したいと誰もが考えるでしょう。そこで、最後に水道管工事業者を選ぶときのポイントについて紹介していきます。
水道管工事は、業者ごとに料金設定が大きく変わる分野です。また、おおよその費用はどの業者も算出できますが、水道管の破損状況や破損範囲などによって正確な費用が変わります。
そのため、明確な見積もりを示して料金説明をしっかりしてくれる水道管工事業者は信頼できると言えます。複数の業者に相見積もりを取って、料金や対応を比較してみるのもよいでしょう。
少なくとも、破損箇所や工事の内容を聞く前に料金を提示する業者の利用は控えるようにしてください。ほかにも説明が不足している業者の中には追加工事料金を請求してくる業者も存在します。追加料金がかかるかどうかについても確認しておきましょう。
信頼できる水道管工事業者は、一般的に創業から長期にわたって活動していて数多くの施工実績があります。ホームページに施工実績が記載されているので確認しておきましょう。
逆に施工事例数を非公表にしている業者は避けたほうが無難です。また、実績が多いのに掲載されている施工事例の数が著しく少ない業者は、受注件数を偽っている可能性があるので注意してください。
上下水道管の工事は、水道局から指定を受けていない業者が行うと水道法に抵触してしまいます。逆説的に、水道局指定業者は公的機関から技術や対応について信頼されていると判断できるので、信頼度合いがぐっと上がります。
また、給水装置工事主任技術者という国家資格を有している技術者の人数も信頼できるかどうかの指標になります。公的機関や資格などといった客観的指標も大切にしていきましょう。
水道管工事をして、すぐに同様のトラブルが発生するときは、水道管工事業者の施工の不備による可能性もあります。
そうした不備に対して、工事後の点検やサポートなどのアフターフォローがしっかりしている水道管工事業者は技術的に自信があるため信頼できます。水道管工事の費用だけを注目するのでなく、アフターフォローの充実度合いも選択の指標にするとよいでしょう。
ホームページを見て、会社概要や電話番号などがしっかり表示されている水道管工事業者は信頼できます。また、施工や料金に自信がある水道管業者は、ホームページに顧客に安心を与える情報を記載しています。
特に施工事例やお客様の声を、第三者のホームページに記載されている口コミと照らし合わせてみるとよいでしょう。このようにホームページを見て信頼できる業者であるかを見極めることもある程度は可能です。
料金設定が極端に安い水道管工事業者は、別の目的があり、工事費用を安くしていることも考えられます。それ以外にも安い料金で受注し、追加料金を請求するケースもあります。ほかにも必要のない工事を追加されたり、虚偽の状況説明をされたりする事例もあります。
業界の一般水準より料金が安すぎる場合は疑いの目を持ち、安い理由を問い合わせましょう。あまりにも安すぎる業者は、質が悪かったりアフターフォローがなかったりと、のちのちのトラブルに発展する恐れがあります。一般的な相場を把握し、安すぎる水道管工事業者は候補から外すことをおすすめします。
水道管が老朽化していることは、点検してみないことにはなかなか気づきにくく、自分で行うのも難しいことが多いです。定期的にプロに点検を依頼することで、大きな被害を未然に防げます。
高度成長期に整備された水道管は、近年老朽化が進んでいます。水道管の老朽化が進むと小さな水漏れから始まり、甚大な被害をもたらす可能性があります。
修理費用は被害が大きいほど高くなるため、早期発見・早期修繕が基本です。少しでも早く水道管の破損に対応するには、日頃から水道メーター等をチェックしたり、定期的に業者に点検してもらったりする早期発見の活動が求められます。
また、水道管の破損が確認された場合は、自分で修理せず、プロに依頼することを検討してください。水道管破損の被害を最小化するためにも、信頼できるプロの業者への迅速な依頼を心がけましょう。
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