トイレの床は便器や便座ほど汚れが目立たず気になりにくいので放置しがちですが、実際にはさまざまな汚れがたまっています。汚れを放置するとこびりついて落としにくくなったり、嫌な臭いが発生したりするので早めに対処しましょう。主な汚れの原因は以下の通りです。
それぞれの原因によって、床の汚れ方や汚れへの対処法は異なります。トイレの床の掃除方法について知る前に、汚れの原因について簡単に確認しておきましょう。
尿はねによる汚れは、用を足している時に周りに飛び散った尿が乾き、尿に含まれるカルシウムなどの成分が結晶化することによって付着します。特に男性が立って用を足していると、尿が飛び散りやすく、周囲の壁や床が汚れます。しかし、座っていても油断はできません。男女問わず、便座と便器の隙間か尿の細かい飛沫が飛び出すことがあるからです。
尿はねによる汚れを放置すると、黄ばみとして床にこびりつきます。臭いは尿に含まれるアンモニア臭に加えて、雑菌が繁殖することによる悪臭がします。尿はねによる汚れにはクエン酸水による掃除が有効です。クエン酸水が使えない場合は中性洗剤でも掃除できる場合があります。
トイレに裸足で入っている場合は、足裏の皮脂が床に付着します。皮脂の主な成分は脂質で、ほこりや尿はねと混ざって酸化し、黒ずみとなって床にこびりつきます。酸性の汚れなので、アルカリ性や弱アルカリ性の洗剤が効果的です。また、中性洗剤によって落ちる場合もあります。
トイレの床はホコリやトイレットペーパーの繊維、髪の毛によっても汚れてしまいます。衣類の着脱やトイレットペーパーの使用をするトイレはホコリが発生しやすい場所です。また、髪の毛も毎日抜けるものなので、トイレのような短時間しかいない場所でも抜け落ちてしまいます。
ホコリの蓄積は換気扇を回していても完全には防げません。また、ホコリが床に付着した水や尿はねなどによる汚れと合わさると、頑固な汚れとして床にこびりつきやすくなってしまいます。
トイレの床掃除では汚れの種類に合わせて道具や洗剤を変えると、簡単に汚れを落としやすくなります。汚れの種類や床の材質に合った方法で掃除をしていきましょう。床材によっては使えない掃除道具や洗剤もあるので注意してください。ここからはトイレの床の掃除方法を解説します。
トイレットペーパー片や髪の毛、ホコリなど目に見えているものは掃除の前に取り除いておきましょう。少量であればお掃除シートで取り除けますが、ゴミが多いとうまくきれいにすることができないので手で拾っておきましょう。
ゴミを掃除機で吸ってしまうことも可能ですが、室内と共用の掃除機の場合はトイレの汚れを室内に持ち込むことになり不衛生です。できる限り手で拾うようにするのが望ましいです。
軽い汚れはトイレ用お掃除シートで拭き上げるだけで落とせます。お掃除シートで拭き掃除をする時には、手前から奥に向かって拭いていきましょう。トイレは奥側の方が尿はねなどによって汚れているので、反対側から拭くと汚れを広げてしまうからです。
奥に向かって拭いた後は、汚れが溜まりやすい便座周りを拭きましょう。最後に便器と床のつなぎ目を拭いたらお掃除シートでの掃除は終わりです。
お掃除シートでも落ちない汚れや尿はねにはクエン酸水が有効です。クエン酸水をスプレーした上で拭き上げてみましょう。クエン酸水は酸性のためアルカリ性の汚れによく効き、尿の成分であるアンモニアを落とすのに高い効果を発揮します。また、消臭効果もあるため、尿はねによるニオイにも効果的です。
汚れを落としやすくなるクエン酸水ですが、やや効き目が強いためトイレの床の材質によっては使用できません。コーティングのあるフローリングや大理石には使わないようにしましょう。
上記の方法を試しても落ちない頑固な汚れにはメラミンスポンジを使うのもおすすめです。ただし、柔らかな素材の床に対してメラミンスポンジを使うとコーティングや表面を傷つけてしまいます。メラミンスポンジはタイルなど耐久性の高い床材に対してのみ使いましょう。
しかし、タイルのような耐久性の高い床材であっても、メラミンスポンジでこすりすぎるとやはり傷がついてしまいます。汚れを落とす力が強い分、素材を傷つけやすい掃除アイテムなので様子を見ながら使ってください。また、初めてメラミンスポンジを使う際には、目立たない所を軽くこすって問題ないか確かめてから使い始めましょう。
トイレの床は床材ごとに合った方法で掃除することが大切です。床材に合わない方法で掃除してしまうと、表面のコーティングなどを傷つけてしまいます。床材の性質について簡単に知ったうえで、最適な掃除方法を選択しましょう。ここからはトイレの床材別におすすめの掃除方法を解説します。
クッションフロアはそれなりに耐久性があり、耐水性が高いのが特徴です。そのため、掃除はしやすいですが、メラミンスポンジや効き目の強い洗剤は表面のコーティングを傷つけてしまうので避けましょう。クッションフロアでおすすめの掃除方法は中性洗剤を使った方法です。用意するものは以下の通りです。
まずはバケツの中で中性洗剤を水で薄めましょう。それから雑巾を浸し軽く絞ってから床を拭いてください。その後、水拭き、乾拭きをして洗剤や水分を床に残さないようにしましょう。洗剤や水分が残っていると汚れの元になってしまいます。
また、クッションフロアは水分が残っていると滑りやすい材質のため、安全のためにも掃除の後にはきちんと水分を拭き取りましょう。
フローリングは木材なので湿気に弱い特徴があります。そのため、拭き掃除は手早く、フローリングを傷めないように行わなければなりません。また、表面がコーティングされているものは、コーティングを落とさないようクエン酸水やメラミンスポンジ・歯ブラシなどを避けましょう。
フローリングでも中性洗剤を使った掃除方法がおすすめです。用意するものは以下の通りです。
バケツの中で中性洗剤を水で薄めたら、雑巾を浸して固く絞りましょう。そして、フローリングにあまり水分でダメージを与えないよう手早く拭いていってください。その後、水で濡らして固く絞った雑巾で二度拭きして、しっかりと洗剤を除去していきます。最後に乾拭きをして水分を取り去ったら完了です。
タイルは耐久性も耐水性も高いため、効き目の強い洗剤による掃除やこすり洗いもできます。ただし、メラミンスポンジを使いすぎるとタイルの表面を傷つけるので、メラミンスポンジはひどい汚れがある時にだけ使いましょう。普段の掃除でおすすめなのは、中性洗剤を使った方法です。用意するものは以下の通りです。
水で薄めた中性洗剤に雑巾を浸して、軽く絞った後タイルを拭いていきましょう。その後、水拭き、乾拭きをして、洗剤や水分を残さないようにしてください。
タイルの目地は頑固な汚れがたまりやすい場所なので、塩素系漂白剤を使った掃除もおすすめです。塩素系漂白剤を水で薄めたものに雑巾を浸して絞った後、目地を雑巾で叩くようにして汚れを落としていきましょう。
汚れが頑固で落ちない場合は、塩素系漂白剤を浸み込ませたキッチンペーパーで目地の部分を5分~10分ほどパックした後、雑巾などで叩くようにすると汚れが落ちやすくなります。塩素系漂白剤は肌に触れると危険なので、使用する際には必ずゴム手袋を装着し、目や皮膚に触れないように注意しましょう。
大理石は水にも洗剤にも弱く、掃除だけでなく普段利用する際にも特別な注意が必要です。大理石を掃除する時には、大理石専用洗剤を使うようにしましょう。大理石にはアルカリ性の洗剤も酸性の洗剤も使えません。クエン酸水やセスキソーダ、重曹、塩素系漂白剤は使わないようにしてください。
中性洗剤も使えない場合があるので注意が必要です。大理石を掃除する時には、大理石専用洗剤と雑巾2、3枚を用意しましょう。
まずは大理石専用洗剤を使い雑巾で優しく床を拭いていってください。拭いた後は水分が残らないよう乾いた雑巾で二度拭きすることが大切です。普段使う際も、水や尿が大理石の床に跳ねたらすぐにトイレットペーパーなどで拭き取りましょう。水や尿を放置すると、大理石に跡が残ってしまいます。
トイレの床掃除をする時には以下のアイテムを使うと便利に掃除ができます。
汚れの種類や床の素材に合ったアイテムを使うと汚れを簡単に落とせます。それぞれ使い方や使う際の注意点があるので確認しておきましょう。ここからはそれぞれのアイテムについて詳しく解説します。
トイレ用掃除シートは、取り出してすぐに床や便器などを拭き掃除できる便利なアイテムです。使い終わった後はトイレに流せる製品もあるので衛生的です。しつこい汚れはトイレ用掃除シートだけでは落としにくいですが、普段の掃除で軽い汚れを落とす程度なら活躍してくれます。
トイレ用掃除シートには花王の「トイレクイックル」、レックの「激落ち 流せる除菌トイレクリーナー」、大王製紙の「エリエール ミチガエル トイレクリーナー」などの商品があります。
使い方はシートを一枚取り出して、拭くだけです。ホコリが溜まった状態でシートを使うとすぐにシートが汚れてしまいます。ホコリが多い場合は、まずホコリを取り除いてからお掃除シートを使いましょう。
拭き掃除を続けていると、洗剤分が足りなくなってきたり、シートが乾いてきたりするかもしれませんが、水や洗剤は追加しないようにしてください。トイレ用掃除シートは水にほぐれやすい製品なので水などが加わると破けやすくなってしまいます。
また、トイレに流せる製品が多いですが、トイレつまりを防ぐために流す時には1枚ずつ広げてから流しましょう。お掃除シートを大量に処分したい時はトイレには流さず、可燃ごみとして処理してください。
フロアワイパーはホコリ取りや拭き掃除にも使えるアイテムです。かがまずに立って掃除ができ、便器の裏など手が届きにくい場所も掃除しやすいので便利です。お掃除シートの着脱も簡単にできる製品が多いため、手もほとんど汚れません。
トイレ用のワイパーは狭い空間でも小回りがきくよう小さめに設計されており、便器などの障害物があっても掃除しやすい形状をしています。衛生のためにもトイレ専用のフロアワイパーを購入するのがおすすめです。
フロアワイパーには、花王の「クイックルミニワイパー」、レックの「激落ち クリンぱトイレ床用ワイパー」、DCMの「トイレ床用ワイパー」などの商品があります。
使い方はワイパーの先にトイレ用お掃除シートを付けて拭き掃除するだけです。流せるトイレ用お掃除シートを使っていれば、使用後にトイレに流せます。
普通の掃除では奥側から手前に向かって拭き掃除をしますが、トイレの場合は汚れを広げないように手前から奥側に向かって拭くようにしましょう。
メラミンスポンジはしつこい汚れに有効な掃除アイテムです。研磨力があるので、頑固な汚れを擦り落とせます。反面、柔らかい材質の床にメラミンスポンジを使うと、表面などを傷つけてしまうので、耐久性の高い床にしか使えません。
メラミンスポンジにはレックの「激落ちくん」、東和産業の「ミクロスポンジ レギュラー」、オーエの「メラミンスポンジ NEW一撃くん」などの商品があります。
使い方はメラミンスポンジを水で濡らして汚れが気になる箇所を擦るだけです。表面にコーティングのあるクッションフロアやフローリングに使うとコーティングを剥がしてしまうので使えません。また、柔らかい大理石に使うのもやめましょう。
初めてメラミンスポンジを使う際には、必ず目立たない所を軽く擦ってキズが発生しないか様子を見てから使ってください。タイルなどの硬い床材であっても使い過ぎると表面などを傷めてしまいます。
クエン酸水は水100mLに対し、クエン酸パウダーを小さじ1/2溶かして作ります。クエン酸パウダーはスーパーやドラッグストア、ECサイトなどで購入できます。クエン酸水は雑菌が繁殖しないよう作ってから2週間程度で使い切る必要があるので、作りすぎないようにしましょう。
スプレーボトルに詰めて噴霧できるようにすると便利に使えます。クエン酸水は酸性のやや効き目の強い洗剤なので、フローリングや大理石の床に対しては使えません。
しかし、酸性である分、アルカリ性の汚れにはよく効き、尿はねによってできた床の黄ばみを落としやすい特徴があります。また、消臭効果もあるので、尿や雑菌による嫌な臭いを緩和できます。
中性洗剤は、酸性やアルカリ性の洗剤に比べ床材を傷めにくいので、使いやすい洗剤です。中性洗剤には東邦の「ウタマロクリーナー」や、花王の「クイックルホームリセット」などの商品があります。また、台所用の中性洗剤も使用可能です。
中性洗剤は大理石に使える場合と使えない場合があります。製品によって異なるので、注意書きなどをよく読んでから使いましょう。使い方は、中性洗剤を水で薄めたものに雑巾を浸して拭き掃除をするのが一般的ですが、汚れに直接スプレーしてから拭き取るものもあります。
中性洗剤ならクエン酸水が使いにくいフローリングにも使えます。床の黄ばみや黒ずみなどを落としやすい洗剤でもあるので、しつこそうな汚れにはまず中性洗剤を使ってみましょう。
トイレの床を掃除する方法だけでなく、そもそも床を汚れにくくする方法を知っておくと、掃除の手間を省けて、トイレを清潔に使いやすくなります。トイレの床の汚れを予防する方法は以下の通りです。
ここからはそれぞれの方法について詳しく解説します。
これまで男性がトイレを立って使用してきたなら、座って使用するようにすると、汚れを予防しやすくなります。立っているのと座っているのとでは、用を足す時に発生する尿はねの量が大違いだからです。
立って用を足していると、開けた空間に高い場所から尿が落ちるため、尿が周囲に飛び散りやすくなります。しかし、座っていれば、尿飛沫が飛び散るような隙間もあまりなく、低い場所から尿が落ちるのであまり尿はねが発生しません。
尿はねは床の黄ばみや悪臭の原因になる厄介な汚れの原因です。トイレの使い方を変えられるのであれば、座って使用すると掃除の手間が減ります。
トイレ掃除のついでに、トイレマットやスリッパもきれいにすると、汚れを予防できます。放置してあるトイレマットやスリッパは皮脂汚れや尿はねによって、汚れや雑菌の温床となっているからです。
トイレマットを清潔に使用するためには、理想的には週2~3回洗濯をするのがおすすめです。しかし、現実的にはなかなか難しいため、月1回以上洗濯することを目標にしましょう。立って用を足す男性がいる場合は尿はねによって汚れやすいのでさらに高頻度での洗濯が必要です。
トイレマットをきれいにするには掃除機をかけるなどの方法もありますが、掃除機では尿はねなどの汚れを取りきれないため、なるべく丸ごと洗濯するようにしましょう。汚れを拭き取りやすいビニールタイプのマットを導入するのもおすすめです。
床にサニタリーボックスや掃除道具などの小物を置かないようにするのも、汚れを予防する方法の一つです。床に小物があると、小物の下に汚れがたまりやすく、掃除もしにくいデメリットがあります。
例えば、サニタリーボックスや掃除道具を壁掛け収納や吊り下げ収納にすると、床に置かなくてもよくなります。また、トイレットペーパーのストックを床に置いている方もいるかもしれませんが、直近で使うものだけ棚などの上に置くとよいでしょう。
こまめな掃除を心がけるのも汚れを予防する上で大切です。簡単な掃除であってもこまめにやっておくことで、まとまった掃除が楽になります。汚れを放置していると床にこびりついて落としにくくなるため、汚れを見つけたらなるべく早く対処するのが掃除を楽にするコツです。
また、普段からある程度きれいな状態を保っておくと、まとまった掃除も億劫に感じにくく、掃除に踏み出しやすくなります。思い立った時に掃除しやすいよう、トイレ用お掃除シートなど簡単な掃除道具はすぐに手に取れる場所に置いておくのがおすすめです。
今回はトイレの床掃除について解説してきました。トイレの床はむやみに掃除するのではなく、汚れに合った方法で掃除すると簡単に汚れを落としやすくなります。なかなか落ちない汚れがあれば、トイレの床材を傷つけない範囲で新しい掃除方法や掃除アイテムを試してみましょう。
また、トイレは汚れやすい場所ではありますが、なるべくこまめに掃除をしてきれいな状態を維持しましょう。普段からこまめに掃除をしていると、汚れがたまりにくいのでまとまった掃除も楽になります。トイレの床を汚れにくくする工夫は複数あるので、自宅に取り入れられるものから取り入れてみてください。
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