汲み取りトイレは「ぼっとん便所」とも呼ばれる、水による汚物処理機能を持たない非水洗トイレのことです。1960年代くらいまでは日本のトイレの主流でした。さらに、現在も築40年以上など年数の古い物件には見られます。
水洗トイレとは異なり便槽に汚物を貯める仕組みなため、臭気や衛生的な面で屋外に設置されることが一般的です。屋外にある場合は特に冬にトイレに行くときに寒いなどもデメリットがあります。
また、水洗トイレよりも排泄物の悪臭がしやすい、汚物が跳ね返ってくることがある、和式の場合は子供などが落下する可能性があるなどの住宅環境でのデメリットもあります。
使い勝手や衛生面から汲み取り式トイレから水洗トイレに変更するというケースは多く見られます。また、和式トイレが多いですが、簡易式の椅子のような洋式便座を置くことで簡単に洋式にすることもできます。
汲み取り式トイレを利用しているご家庭も多いかと思いますが、さまざまな面から水洗トイレへの変更がおすすめといえます。
汲み取り式トイレは、水洗トイレとは異なる仕組みのトイレです。水洗トイレは下水などに排泄物や汚水を流す仕組みですが、汲み取り式トイレでは、名前の通り排泄物を便槽に貯めて汲み取るという仕組みです。
この項目では、汲み取り式トイレの詳しい仕組みについて説明します。
汲み取り式トイレでは、排泄物はパイプを通じて一体成型型の便槽タンクに一時貯蔵されます。古い便槽の場合は災害時に汚物があふれ出るなどの懸念もあります。
また便槽タンクの管理も必要となり、定期的にタンク内に貯蔵した排泄物を汲み取りに来てもらわなければなりません。汲み取り式トイレでは、便槽の管理をする必要があるという点がデメリットであり、特徴であるともいえます。
汲み取り式トイレの臭気の排出は、臭気だめに接続されている臭突やファンによって行われます。台所などに置かれている換気扇のような役割を果たすものといえます。
汲み取り式トイレに臭突やファンがない場合や、故障の場合は臭気が強くなってしまうというデメリットがあります。
汲み取り式トイレの場合、臭いが気になるのでトイレが外にあるという家もあります。また夏場は特に臭いがひどくなりやすいです。便器の掃除をしづらい、便利機能のついた便座を設置できないという点も難点といえます。
汲み取り式トイレでは、便槽タンクに貯められた排泄物はバキュームカーによって処理します。定期的に業者に依頼する必要があり、場合によっては手作業でタンク清掃が必要です。
水洗式トイレでは上下水道代金のみがかかりますが、汲み取り式トイレでは、トイレの汲み取り費用が必要となります。
バキュームカーが来るときには基本的には立ち合う必要はありません。ただし、便槽内が満タンになる前に汲み取りに来てもらう必要があるため、長期にわたって家にいる人数が増える場合などは、汲み取りのタイミングに気を遣う必要があるでしょう。
水に排泄物を流すことができる水洗トイレのようにトイレが詰まるなどの可能性はありませんが、汲み取り式トイレを使用する際には別の管理が必要です。
汲み取り式トイレを水洗トイレへの変更は、金銭的負担がかかるというデメリットがある一方、メリットも多く存在します。臭いや衛生面、安全面などメリットはさまざまです。
この項目では、汲み取り式トイレを水洗トイレに変えるメリットをご紹介します。
汲み取り式トイレは、便槽に排泄物を貯める仕組みです。しかし、便槽による排泄物の貯蔵は、強い臭気や菌の繁殖、衛生面での懸念があります。
対して、水洗トイレは排水による汚物処理ができるため臭気面、衛生面への懸念が軽減できるというメリットがあります。トイレの臭いはもちろん、衛生面を強化したいという場合には、水洗トイレへのリフォームがおすすめです。
汲み取り式トイレでは、便槽からの臭気によってハエやゴキブリ、ウジなど害虫が発生することがあります。特に夏は条件的に虫が発生する可能性が高くなります。
水洗トイレは排水や封水による臭気対策ができるため害虫発生の懸念も減るというメリットがあります。
トイレ周りの害虫被害に悩んでいるという人は、水洗トイレへ変更することで被害が改善され、快適にトイレを使えるでしょう。
汲み取り式トイレでは、自然災害によって便槽に水が流入した場合、排泄物の流出の危険があります。対して、水洗トイレは便槽に排泄物を貯めこまないため、流出や感染症などの二次災害の危険性がないのがメリットです。
災害時などただでさえ大変なときに排泄物の処理などもしなければならない可能性を減らすことができます。
直下型の汲み取り式トイレの場合、便槽に小さな子供が落下する事故も発生しています。水洗トイレの場合は構造上、落下による事故は発生しづらいです。普段使い慣れている人は危険性が少なくても、来客などがある場合は要注意です。
特に孫など小さな子供がトイレを利用する場合は、水洗トイレへのリフォームがおすすめです。
トイレへ不安があり、来客が来られないという可能性もありますので、子供がトイレを利用する可能性があるという場合はリフォームをおすすめします。
水洗トイレへのリフォームは、大工事をして一般的な水洗トイレに変更するだけではありません。簡易水洗へのリフォームなど簡単な方法もあります。この項目では以下の3つのパターンをご紹介します。
それぞれについて詳しく見ていきましょう。
簡易水洗トイレは、1回の洗浄水量が500cc以下など、少量の水によって汚物を便槽に流すトイレのことです。便槽による汚物貯蔵は行いますが、洗浄には水が用いられるため臭気が上がりにくいというメリットがあります。
水による洗浄は可能ですが、便槽に排泄物を貯めるという仕組みは変わらないため、便槽へのバキューム清掃は必要となります。また、普通の汲み取り式トイレと違い水を流すためバキュームカーの汲み取り量は増えます。
水洗トイレにしたいが大規模な工事はできない場合、できるだけお金をかけずに水洗に近いトイレにしたい場合、下水道が整備されていない地域に住んでいる人におすすめのリフォームです。
下水道に接続して汚水を流すトイレへのリフォームが下水道直結型です。下水道が整備されている地域の場合に可能となっています。浄化槽を新たに設ける必要や、便槽を持たないため汚物処理も必要ないのがメリットです。
衛生面で優れ、浄化槽設置型よりも手間がかかりませんが、下水道が未整備の地域では不可能なのがデメリットといえます。長期的に見ると、手間もかからず衛生的でおすすめの水洗トイレへのリフォームです。
下水道が整備されていない場合は、敷地内の地下に浄化槽を設置する必要があり、浄化槽設置型の水洗トイレにする必要があります。
現在はろ過機能がある合併処理浄化槽が一般的となっています。合併処理浄化槽の場合は、自治体から補助金が出るケースもあり、金銭的な負担を減らすことが可能です。
浄化槽を準備、管理する必要があるため手間と金銭的な負担がかかる方法ですが、下水道のない地域で完全な水洗トイレにする際にはおすすめの方法となっています。
水洗トイレへのリフォームについては、方式ごとに費用相場や工事の流れが大きく異なります。この項目では、簡易水洗、下水道直結型、浄化槽設置型のそれぞれの工事の費用相場や工事の流れについてご紹介します。
簡易水洗トイレへのリフォームは、最も工事費用な手間がかからない方法です。ただし、引き続き便槽の管理が必要となるため、汲み取り式トイレとあまり変わりません。簡易水洗トイレへのリフォームの相場と工事の流れをご紹介します。
簡易水洗トイレへのリフォームは、給水工事や洗浄ガンの配置、電気工事など含めて30万円~60万円が相場です。洗浄ガンとは、簡易水洗便器を洗浄する専用のノズルのことです。
簡易水洗トイレでは、洗浄水量は一カ月で一人当たり約100リットル必要です。これまでよりも便槽に貯める汚物の量が増えることとなり、便槽の大きさは利用者の家族の人数から算出して選ぶことになります。
簡易水洗トイレへのリフォームは、費用は比較的安価なのがメリットです。「簡易」とついているようにほかの工事のように大規模なものが必要ない点が魅力です。
ただし、便槽の管理が必要なためコストパフォーマンスはあまりよくありません。長く使う場合は、他の本格的な水洗トイレへのリフォームを検討することもおすすめします。
簡易水洗トイレへのリフォームの手順は以下の通りです。
工事が一週間程度で済む点も簡易水洗トイレへのリフォームのメリットです。工事期間が短いリフォームを希望するという場合も簡易水洗トイレへのリフォームが第一候補となるでしょう。
下水道直結型の水洗トイレの設置は、手間と費用はかかりますが便槽の管理が不要です。これからも長く家やトイレを使う可能性が高く、衛生面を重視したリフォームを希望する場合におすすめの方法といえます。
下水道直結型の水洗トイレをリフォームする際の相場と工事の流れをご紹介します。
下水道直結型の水洗トイレは下水道工事、トイレ撤去や設置工事、トイレ本体価格などさまざまなものが必要です。工事の総額としては、総額60万~100万円程度かかります。
この費用にプラスして、便器自体の価格やオプション、下水道への距離などによって費用は変動するので注意が必要です。費用面が不安な場合は、あらかじめ自分の家の場合はどの程度かかるのかを確認してみてください。
下水道直結型の水洗トイレへのリフォームは、簡易水洗トイレより高額だが、便槽の管理が必要ないためコストパフォーマンスはよいといえるでしょう。また、完全な水洗トイレですので、臭いなども気にならなくなります。
長期的に見るとおすすめのリフォームといえます。
下水道直結型の水洗トイレの工事は、解体、下水道へのつなぎこみ、内装工事、便器の撤去・設置、便槽の処分などを行います。
下水道へのつなぎこみには申請が必要な場合もあるため、工期は1~2カ月かかることもあります。
長期にわたる工事であるため、タイミングなども考えて工事をすることをおすすめします。時間がかかる工事は難しいという人にはおすすめできないリフォームであるともいえます。
浄化槽設置型の水洗トイレは、最も費用がかかる方法ですが、下水道がない地域の場合であっても水洗トイレにリフォームできます。浄化槽設置型の水洗トイレのリフォームの相場と工事の流れをご紹介します。
浄化槽設置型の水洗トイレは、浄化槽設置の必要があるため工事が大規模なものとなります。金額としては、総額100万円~200万円弱必要の費用がかかります。
また、工事時の浄化槽の設置費用だけでなく、管理費用もかかることになります。ただし、自治体によっては浄化槽設置に対する補助金が出る場合もあるので、負担を軽くできる場合もあります。
浄化槽設置型の水洗トイレへのリフォームをする場合は、補助金の情報についても確認してみてください。下水道が普及していない地域で完全な水洗トイレにするには浄化槽設置型の検討をおすすめします。
浄化槽設置型の水洗トイレは、浄化槽の埋没工事やトイレ本体の交換、既存の便器や便槽の撤去、内装工事などを行います。
浄化槽工事の期間は3~7日程度が一般的です。内装工事なども行う場合は、合計で数か月程度かかる可能性も考えておいたほうがよいかもしれません。
水洗トイレのリフォームは、数十万円から数百万円と費用も高額になるため、業者選びが非常に重要です。選ぶ際のポイントとしては、以下のような点を確認することをおすすめします。
下水道直結型の場合は自治体の下水につなぐ必要があります。また、浄化槽設置型の場合は自治体から補助金をもらえる可能性があるため、自治体の水道局指定工事業者を選ぶのがおすすめです。
また、トイレはその後も長く使う家の設備ですからアフターフォローがしっかりとした業者を選ぶことをおすすめします。
さらに、追加料金の有無については、トラブルとなりやすい点ですので、工事を開始してもらう前にしっかりと確認しておくとよいでしょう。
敷地内に長く出入りして工事を行ってもらう業者でもありますので、総合的に信頼できる業者を選ぶことをおすすめします。
この記事では、汲み取り式トイレを水洗トイレに変更することによるメリットやおすすめの方法をご紹介しました。
汲み取り式トイレは、臭気や汲み取り・便槽の管理の手間、汲み取り費用がかかる、子供がトイレに落ちてしまう可能性があるなどのデメリットがあります。
しかし、水洗トイレに変更するとこれらのデメリットがおおむね改善されるためおすすめです。
水洗トイレには、簡易水洗トイレと下水道直結型水洗トイレ、浄化槽設置型水洗トイレの3つのパターンがあります。お金や手間をかけたくないなら簡易水洗がおすすめです。
下水道が普及している地域でしっかりとリフォームしたいなら下水道直結型水洗トイレ、下水道が普及していない地域では浄化槽設置型水洗トイレがおすすめとなっています。
また、汲み取り式トイレを水洗トイレへと変更する場合は、水まわりのトラブルのプロフェッショナルであるイースマイルまでご相談ください。イースマイルでは水トラブルの修理駆けつけだけでなくトイレリフォームの経験も豊富です。まずはお電話からお気軽に連絡してください。
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