カビは微生物の一種で何万もの種類があり、一般的な特徴から「黒赤青黄緑白」の6色に分類されます。キッチンに発生するヌメヌメや黒ずみの原因となるのは黒カビで、毒性はありません。しかし、アレルギーや気管支疾患の元になる厄介者です。家の中であれば、どこでも発生する可能性がある黒カビですが、特に増えやすい条件があります。それは次の通りです。
つまり、汚れが溜まりやすく、ぬるま湯などで食器を洗うキッチンシンクは家の中でも黒カビが増殖するのに最適な条件を特に満たしている場所のひとつです。そのため、定期的な除菌作業が求められます。
カビの弱点と対処方法は、カビが発生しやすい条件の反対を考えればわかります。具体的には次の通りです。
そのほかにも黒カビは弱点が多く、アルコールや酸性洗剤・アルカリ性洗剤、金属イオンや紫外線など、思いつく除菌製品全てが効果を発揮します。ただし、黒カビは単一の菌ではなく、複数の種類が混在しています。同じ除菌剤を繰り返していると、その除菌剤に強い菌が繁殖して効き目が弱くなります。そのため、除菌方法は複数用意して交互に使用するなど、工夫が必要です。
普段からこまめな掃除や洗浄を心がけている人の中には、キッチンシンクからカビが消えないと嘆いている人もいるでしょう。カビの除菌作業は他とは違うコツやポイントがあります。今までカビが綺麗に除去されなかったのは、コツを見落としていたせいかもしれません。ここからは実際に作業を始める前に押さえておきたいポイントについて解説します。
カビ対策を行う場合は徹底的に行うことが大事です。カビは繁殖力が旺盛で、生き残りが繁殖してすぐに広がってしまいます。短期間にカビの元となる胞子を飛ばして範囲を拡大していくため、毎日少しずつ行うのは効果がありません。カビ対策を行う場合は一気に、根絶させるつもりで徹底的に行いましょう。
カビの対策で覚えておきたいことは、拭き掃除をすると布やふきんにカビが付着してしまうことです。先述した通り、カビは少しでも付着するとそこから他へ広がっていきますから、雑巾や布などでの拭き掃除は家中にカビを広げてしまいます。カビ対策では拭くのではなく、その場で殺菌するようにしましょう。
キッチンシンクの黒カビ対策に最も効果を発揮するのが塩素系漂白剤です。ハイターやカビキラーといった塩素系漂白剤はカビを効率よく除菌して、しかも黒ずみを同時に落とすことができます。
そこで、ここからは塩素系漂白剤を使った具体的なカビ取り作業について解説します。ただし、塩素系漂白剤は身体に害を及ぼす危険があるため、下記で紹介する注意点を守りながらの使用を心がけてください。
カビ取り作業の基本は浸け置きです。重要なのは塩素系漂白剤がしっかりとカビと密着することにあるので、片栗粉を混ぜて漂白剤をペースト状にする方法もあります。こちらの方法では、ペースト状の漂白剤はカビにしっかり密着するので、より効果が強くなります。
なお、製品やカビの状態によって放置する時間が変わります。製品に記載されている時間を目安にして時間を調節してみてください。台所で漂白剤を使用する作業手順は次の通りです。
塩素系漂白剤はにおいがきついので、この作業を行う際は必ず換気をしましょう。また、塩素系漂白剤は他の洗剤と混ぜると有毒ガスが発生してしまう可能性があるので、同時に他の洗剤を使用するのは避けてください。なお、皮膚に触れると肌が溶けるので、ゴム手袋などを装着して肌を守るのも忘れないようにし、皮膚に付着した場合はすぐに水で洗い落とします。
ほかにも一部の金属や木材、プラスチックなどに塩素系漂白剤を使用すると腐食や溶解の原因になるので注意が必要です。使用前に注意事項をよく読んで、使用してもよい素材かどうかを確認するようにしましょう。
漂白剤は液体なので、台所の壁など垂直部分では時間が経つにつれて下側に流れてしまい浸け置きができません。そんな場所に漂白剤を留められるアイテムがキッチンペーパーです。漂白剤をキッチンペーパーに染み込ませて、カビの上から貼り付けましょう。
さらにキッチンペーパーをラップフィルムなど密閉できる素材で覆うと、カビに必要な酸素も締め出せるため効果的です。それ以外の手順は同じです。しばらく浸け置きしてから剥がして、水で洗い流しましょう。漂白剤の届かない場所や細かい部分には、使い古しの歯ブラシが便利です。漂白剤を付けた歯ブラシで擦れば漂白剤が浸透しない隙間まで除菌できます。
木材やプラスチックなど漂白剤が使えない場所では、アルコール除菌が有効です。アルコールもカビにとっては脅威ですから、漂白剤と同じように浸け置きするだけでカビ取り作業が完了します。ただし、アルコールは乾燥が早いので長時間の浸け置きには不向きです。
長時間の浸け置きをしたい場合は定期的にアルコールを追加する必要があります。その一方で、浸け置きが終わった後はキッチンペーパーなどで乾拭きすれば問題ありません。なお、アルコールには漂白剤のような色落ち効果がないので、カビを除菌できたとしても黒ずみは残ったままである点には注意が必要です。
カビの発生で一番目につくのはキッチンシンクや排水口でしょう。しかし、カビが発生しやすい場所は常に見える場所だけとは限りません。見落としがちなカビの発生源があり、そこを放置していたことで気がついたら真っ黒なんてこともありえます。ここからはカビの発生しやすい場所と、それぞれの対処法について解説していきます。
シンク本体は常に水で濡れていることが多く、カビが発生しやすい場所ですから定期的にカビ対策を行う必要があります。こちらは目立つ場所ですから黒カビの発見は容易でしょう。
カビへの対処法はシンクの素材によって変わります。まず、ステンレス製のシンクは前述の方法でカビ取りを行います。一方で、人工大理石のシンクは注意が必要です。天然の大理石とは違い、人工の大理石は樹脂系の素材でできています。そのため、酸性やアルカリ性の洗剤に弱く、漂白剤やアルコールなどを使用すると変色や破損を招くリスクもあります。
また、人工大理石は柔らかい素材です。研磨剤やヤスリなどで削ると傷が残ってしまい、かえってカビが繁殖しやすくなってしまいます。人工大理石のシンクのカビ対策は、中性洗剤で洗うしか方法がありません。もし落ちないのであれば業者へ相談しましょう。
台所にある三角コーナーは、シンクとの間に湿気が溜まりやすく、カビのエサになる生ゴミがあるなど、カビの繁殖に適した環境が整っている場所です。頻繁に洗わない家庭では、三角コーナーの裏側に黒カビが繁殖しているケースも多く、掃除の頻度によっては見逃されてしまう場所です。カビが生えてしまったら漂白剤で対処しましょう。
三角コーナーのカビ対策は、毎日空にして綺麗に洗うことです。同時に三角コーナーを置いている場所の掃除も忘れないようにしてください。毎晩食器を洗い終わったら三角コーナーの洗浄をするなど習慣にするとよいでしょう。
面倒だと感じる人は三角コーナーの買い替えをおすすめします。最近は簡単に片付けられるポリ袋ホルダーや、自立型ポリ袋が販売されています。使い捨てにできるので、洗う手間はありません。また、そもそも生ゴミ用のポリ袋を台所に置かない選択もあります。自分の台所の使い方を見直してみるのもよいでしょう。
台所やトイレの排水口にはトラップと呼ばれる必ず水が溜まる配管部分があります。これは排水管が繋がっている下水からの悪臭や硫化水素などを防ぐための封水で、法律で設置を義務付けられているものです。排水口はこの封水があるために常に湿気があり、カビが発生しやすい条件が整っています。しかも、内部は暗く、黒カビの発見が遅れてしまうことも珍しくありません。
排水口はゴムパッキンや受け皿、網カゴなど、複数の部品で構成されています。カビの除菌を行う場合は個別に洗浄しましょう。特に有機溶剤に弱い素材は使用されないので、漂白剤で問題ありません。
取り外し可能なパーツの下については、配管用洗浄剤の使用が最適です。使用手順は、薬剤の投入からしばらく放置して水で流すだけです。配管用洗浄剤は配管の壁面に付着するように入れていきましょう。また、排水口にアルミホイルを入れておくと、カビの予防に効果があります。
普段収納に使われているシンク下ですが、こちらもカビが繁殖しやすい場所です。洗った物を収納する際に濡れていたり、シンクで使ったお湯の温度差で結露したり、気づかないうちに湿気が高くなっていることがあります。目視で確認することが少ないので、扉を開けてにおいがしたら注意しましょう。
カビ取りは、一度全部の物を出してからアルコール消毒と拭き掃除で行います。ついでに排水管をチェックして、水漏れなどがないかも確認してください。シンク下のカビ予防では、あまり物を起きすぎないようにし、整理整頓を心がけ、定期的に扉を開けっ放しにして換気することが大切です。
なお、シンク下のカビはゴキブリなど害虫のエサになるため、ゴキブリの発生源になってしまうケースもあります。カビを防いで清潔な状態を保ちましょう。
蛇口や水栓金具は、掃除のときに見落とされやすい場所です。しかし、料理などの汚れが付きやすく、常に濡れているので、カビの繁殖に適しているのは間違いありません。吐水口はじっくり見ることが少ない部分ですが、実は黒カビで真っ黒になっている可能性もあります。
ほかにも取り付け部分やハンドル周りなど、手で触りやすいところは要注意です。蛇口や水栓金具は複雑な形状をしているので、前述したキッチンペーパーや歯ブラシなどを活用して除菌しましょう。
「カビ落としをやってみたものの、綺麗にならない」とお困りの方もいらっしゃるでしょう。それは汚れがカビ由来ではないのかもしれません。シンクの汚れにはカビ以外が原因のものもあります。ここでは特に目立つ2つの汚れについて解説していきます。
汚れが赤黒く、触るとザラザラした場合、その正体はカビではなくサビだと考えられます。ステンレスは表面の酸化皮膜によって保護されているので錆びにくい金属です。
しかし、使用方法によってはサビがつくことがあり、特に多いのが他の金属と長時間接触することによる「もらいサビ」です。ステンレスシンクでは、包丁やフライパンを長時間置いた状態にすることで、もらいサビになる場合があります。
シンクのサビを落とす方法は、サビの進行度によって複数の種類があります。軽度のサビであれば、メラミンスポンジや重曹を使用します。どちらも100円ショップで売っているもので、簡単に手に入ります。
メラミンスポンジは濡らして擦るだけで汚れを落とせます。それで落ちない場合は、重曹をかけて馴染ませてからスポンジで擦りましょう。
重度のサビを取り除きたい場合は、還元系漂白剤を使用してください。サビは金属の酸化なので、還元を行う漂白剤で軽減できるはずです。還元系漂白剤で落ちないサビは、業者への相談が必要です。
ステンレスシンクで拭いても落ちない白い汚れがある場合、それはカビではなく水垢の可能性が高いでしょう。シンクを汚す水垢の正体は、水道水に含まれる炭酸カルシウムやマグネシウムなどのミネラル成分です。シンクを濡らす水はしばらくすると蒸発しますが、水分中のミネラルはそのまま残ってしまうのです。
水垢になるミネラルはアルカリ性なので、酸性であるクエン酸で溶かす方法が最適です。手順としてはクエン酸水をキッチンペーパーなどに吹き付け、水垢の上に覆ってしばらく待ちましょう。
30分以上かけて溶かし、その後キッチンペーパーを剥がして洗い流します。白い汚れは水垢が何層にも積み重なって起こるので、普段からシンクが乾くまで拭く習慣さえあれば、予防は可能です。
ここまでキッチンシンクのカビ落としについて紹介してきました。しかし、シンクは料理を作る場所ですから、できればカビが発生する前に予防しておきたいものです。最後にシンクのカビの予防方法について詳しく解説していきます。
シンクにカビが発生しやすい原因は汚れと湿気ですから、しっかり掃除して水分を拭き取り乾燥させることがカビ予防につながります。具体的には、毎日台所を使い終わったら三角コーナーなどの小物も含めて洗剤で掃除して、掃除が終わったら水気を取り乾燥させる習慣をつければ完璧です。
しかし、これは大変な作業ですので、毎日続けるのはなかなか難しいでしょう。
毎日の掃除が難しい人は、除菌スプレーや消毒用アルコールが便利です。定期的に散布することで、防カビ対策になります。また、台所の換気もカビ予防に効果的です。料理中の水蒸気を逃がすだけでなく、台所全体の乾燥にもつながります。休日や夜間に換気扇を回しておくのもよいでしょう。
台所で使用するふきんやスポンジは、カビと雑菌の温床です。製品の中には除菌と称するものもありますが、その効果は永続的ではありません。
特にふきんは徹底的に消毒しないと、カビだけでなく食中毒の原因にもなりかねません。ふきんは「漂白」「煮沸」「天日干し」など、完全に殺菌できる消毒方法を使います。これらの消毒方法を毎日行えない場合は、洗濯物と一緒に洗い干す方法が効果的です。また、ふきんは同じものを長く使うのではなく、できれば毎日取り替えましょう。
食器を洗うスポンジも湿気があり汚れが付着しているので、カビの繁殖に適しています。洗剤を使っていてもカビが死滅することはありません。
しかし、スポンジはふきんで行う「漂白」「煮沸」「天日干し」の全てに弱く、ダメになってしまいます。そこで、沸騰しない90℃未満のお湯で消毒し、よく乾燥させましょう。スポンジはしっかり除菌しづらいので、古くなったら早めに取り替えるようにすると安心です。
シンク周りのカビは、どうしても発生してしまいます。対策としては毎日徹底した消毒活動を行うのが一番ですが、それは流石に面倒です。そのため、早期発見とカビ予防が大切です。
まずはカビを塩素系漂白剤などで根絶してから、日々の掃除や使用する道具の見直しなどで、カビの生えにくいシンクを目指してみてください。また、自分では対応できないキッチンシンクのトラブルが起きたときは、迷わず業者に相談しましょう。
他にもこちらの記事では換気扇の清掃方法について紹介していますので参考にしてみてください。
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