トイレのつまりは、なんの前触れもなく突然発生しそうに見えますが、実は徐々に状況が悪化しており、多くの場合で、その予兆とも言える症状や現象が見られます。症状が悪化する前に、いち早く予兆に気が付き、早めに対策をしましょう。
トイレがつまるプロセスでは、大きく分けて二通りのケースがあります。ひとつは少しずつ症状が進んでいくケースと、もうひとつは固形物が流れなくなるといった急につまるケースです。
症状が少しずつ進み、段階を経て進んでいくケースでは、多くの場合、その間に予兆的な現象が起こります。「このところ調子が悪いなあ」と思っているうちに、取り返しがつかないほど症状が悪化してしまったという話もよく耳にしますので、気が付いた時点で早めの対応を心がけましょう。
一方、急に詰まった場合は、その直前に何かの原因があったと考えられます。いずれにしても、次のような状態になったら、つまりの予兆と考えてよいでしょう。
予兆で多いのが、便器から奥にかけての水の流れが、悪くなっている状態です。これは排水管の中で、問題が生じていると考えられます。
そうは言ってもピタリと止まっているわけでもなく、実生活で困るほどのものではないと、そのまま特に何もせずにやり過ごす方も多いでしょう。しかしそのまま放っておくと、新しくそこに他の固形物を巻き込み、徐々に状態が悪化していきます。
まだこの段階であれば自分で対応できることも多いので、早めに解決を図りましょう。
前項の時点で早めに対処しないと、多くの場合で、便器の中の水位が下がらなくなります。本来、水位は元の位置以上には上昇せず、水を流しきった後は速やかに元の位置に戻ります。
しかし排水管の流れに問題が生じると、元に戻るのに時間がかかるようになります。これでは、水の流れるすき間があっても、いつふさがるか分かりません。水位の復帰に時間がかかるほど重症であり、非常に危険な状態と言えます。
最終的には、次に水を流したタイミングで、便器から水があふれてしまいます。
タンクから一気呵成に出て来る水流の強さがなくては、便器の中のものを流し出せません。水流が弱い原因は溜めてあった水の量が少ない、少な過ぎるか、あるいは便器に続く水道管に何らかの不具合があるといったことが考えられます。
他には、フロート弁が正常に機能していないなど、何かの部品が故障している場合も考えられます。その原因を突き止め、解決しなくてはなりません。
水を流したときに「ボコボコ」や「ポコポコ」などといった、不審な音が聞こえるのも予兆のひとつです。こうした音は、聞こえてくる場所によってさまざまなことを教えてくれます。
たとえば、タンクの方から音が聞こえるなら、便器に至る経路の中で異変が起きている可能性があり、便器から音が聞こえるなら、すぐ近くでつまりが生じ、水流を遮って音を出している可能性があります。
さらに、便器のもっと下の方から聞こえてくるなら、排水管の中が怪しいのではないかと推測できます。もし原因が排水管にあるとなると、深さによっては家全体の問題にもなってきます。
普段は感じたことのないイヤな臭いがする。これもトラブルの予兆のひとつで、早期発見に役立ちます。便器や排水管のどこかに排泄物などが引っかかり、それが腐敗して臭いを出している。あるいは、それ自体は腐らない素材でも、水や空気を遮ることで周囲の環境が悪化し、臭いの元になっていると考えられます。
便器内の水の流れと勢い、水位、異音、臭いなど、普段と違うと感じたら、つまりの予兆かもしれません。酷くなる前に対処するためにも、こうした予兆には敏感になっておくとよいでしょう。
そもそも、つまりには何らかの理由となるような物事があります。それらを3つの要素に分類して説明します。大きく分けると「引っかかってしまう形」「水の流れが弱い」「何かがつまる」です。
トイレの構造上、つまりが発生しやすいのは、排水路から下水に流れる直前の箇所です。ここには狭くなっている部分があり、水に溶けにくもの、または溶けなかったものがつまりやすいです。
つまりが発生しやすい箇所と言えばもう一つあります。それは「せき」という便器の奥のほうにある排水路への通路にあたる箇所です。この「せき」は形状が急なカーブなので、水の流れに対して重たいもの、あるいは大きなものはカーブを流れきれずつまりの原因となることがあります。
つまりが起きる原因を知るには、便器と一体になっている排水管の形を知ることが重要です。具体的には、つまりが起こりやすい2つの場所を知ることです。
まずひとつは、目につきやすい排水口の部分です。この部分を急な角度に曲げることで、便器には水が溜まるようになっています。このおかげで、下水道管を通って虫や臭いが上がってくるのをおさえています。非常に狭くて急な曲がり方をしているので、ものを押し流すのに大きな力が必要となり、バランスが悪いと流しきれなくなります。
もうひとつは、さらに下水道の方に潜ったところにあります。ここにはくぼみがあり、先ほどと同様、水が溜まっています。形が急に変化するため、流したものがここで引っかかってしまうことが多々あります。
トイレはタンクから水を流し、便器の中にあるものを排水管へ流し込みます。このとき一気に水流がやって来ないと、中のものを押し出しきれず、先ほど挙げた2つの場所などで引っかかります。
一般的なトイレではレバーやボタンで流れの強弱を選べます。流す量に応じて本来「大」を使うべきところ「小」の方を選ぶと、流れの勢いが確保できずにつまりを生んでしまいます。また節水対策として、ペットボトルなどをタンクに入れておくのも、水の勢いにはマイナスの効果です。
ペットボトル分の水量が減り、水の勢いが弱くなってしまうので、あまりおすすめはできません。また、それらがタンク内部の部品などに引っかかり、故障の引き金にもなる恐れもあります。
本来、トイレは正しく使用していれば、そうそう何かがつまることはありません。しかし、あまりにたくさんの量を流したり、物理的に流せない大きさの固形物を落としたりすると、高い確率でつまりが発生します。
つまりの元になるものはさまざまありますが、比率として多いのは何と言っても紙や生理用品です。他には赤ちゃんや介護用のオムツなどもあります。
また意外に知られていないのが、赤ちゃんのおしりふきです。おしりふきには、トイレに流せるものと流せないものがあるため、パッケージなどをよく読んできちんと確認しておきましょう。
その他にも、子供用のおもちゃや掃除道具、ティッシュペーパー、ハンカチ、スマートフォン、ペットのトイレの砂、食べ残しの残飯、トイレに置いてある置物なども、誤って落とすことでつまりの原因になってしまいます。
より具体的な内容はこちらの記事をご覧ください。
トイレつまりを解決するには、自分で直すという選択肢と専門の水道業者に依頼するという選択肢があります。2つの内、どちらを選んだほうがよいのか、その判断ポイントと自分で直す場合の代表的な方法・手順をご紹介します。
自分で直せるかどうかを判断するには、まずはトイレつまりの症状・原因をしっかりと見極めることがとても大切です。つまりの原因として考えられるものとして、
がありますが、この中でもトイレットペーパーの流しすぎ、またはそれに類似するような「水溶性の紙類」をつまらせてしまった場合は、自分で対処する方法を試してもいいかもしれません。
また、症状としては、通常の流れよりもかなり時間はかかるが、水は少しづつ引いていくという場合は、水の通り道が保たれている状態ですので、自分で直せる可能性があります。
本来トイレに流せるもの以外をつまらせてしまった場合は、つまりの原因を取り除く必要がありますので、無理をせず水道修理業者へ依頼しましょう。
まずはバケツ、なければペットボトルを用意しましょう。これらの容器に水を入れて、やや高めの位置から便器内に流し込みます。
このように水圧を与えることにより、トイレつまりが解消される可能性があります。うまくいかない場合は、数回にわたり同様の作業を繰り返してみましょう。
水位をチェックし、元の状態に戻っていれば成功です。
トイレットペーパーのような水で溶けるものは、お湯でより溶けやすくなります。このような水溶性の物質がつまりの原因となっている場合は、水ではなく、お湯を流すことにより解消できる場合があります。
ただし、陶器でできている便器は、熱湯により破損する恐れがありますので、お湯の温度は40℃~60℃程度に留めておくことをおすすめします。
バケツで数回流し、溶けるまでしばらく時間を置き、それから水を流してみましょう。
水位をチェックし、元の状態に戻っていれば成功です。
「スッポン」「カポカポ」などとも呼ばれることも多いラバーカップ。ラバー製のカップが柄の先に取り付けられている、あのアイテムです。
このラバーカップの先端を排水口に押し込み、密着したところで引っ張りこむ動作を繰り返すことにより、つまりを解消することができます。トイレ用のラバーカップを持っている人は、ぜひ試してみましょう。
ただ、ここで注意しなくてはいけないのが、水位に関してです。ラバーカップは水位が低いと効果を発揮できませんので、その場合はバケツやペットボトルで水量を増やしてから作業するようにしましょう。
また、ラバーカップを押し込むと溢れてしまうほどの状態なら、水を汲み出す必要があります。バケツでも構いませんが、灯油ポンプを使えば、よりスムーズに汲み出すことができます。
ラバーカップ(すっぽん)よりも吸引力が強いことが特徴の真空式パイプクリーナーを使用するのも一つの手です。あまり聞きなれない道具ですが、原理としてはラバーカップと同じで、使い方も比較的簡単です。ネット通販やホームセンターなどで簡単に手に入ります。パイプクリーナーを使用する場合に、便器内に多くの水が溜まっている時には、あらかじめバケツ等で水を抜いてから使用してください。
パイプクリーナーは吸引力・圧力が強いので、固形物のつまり解消にも使えることがあります。
ワイヤー式トイレクリーナーは、「ワイヤーブラシ」「ワイヤードレンブラシ」等と呼ばれることもありますが、水道業者も使う比較的プロユースの道具になります。ラバーカップや真空式パイプクリーナーよりも使い方が少し難しいため、自分でつまりを直すときの最終手段として考えるといいでしょう。
ワイヤー式トイレクリーナー自体は、ホームセンターや通販で手に入ります。予算的には1,000円~5,000円程度を考えていれば大丈夫かと思います。
使用方法はワイヤー部分を便器の排水口へ挿入していき、ワイヤー進まなくなったら蝶ボルト(固定ねじ)を締め、グリップ部分を回してワイヤーを回転させながらさらに挿入して(数回繰り返し)、その後ワイヤーを引き抜いていくことでつまりを解消します。
自分でつまりを直せるのは、便座に近い方の排水口のみと考えた方がよいでしょう。より深い部分の場合、便器を外したり、特殊な器具が必要だったりと一般の方が行うには、手に負えないことがほとんどです。
また、自分でつまりを直す時は、以下の準備を忘れずに行うようにしてください。まず、ウォシュレットなどが付いている場合は、感電防止のためにそれらの電源を抜いておきましょう。
修理中も手に触れたり、水で濡れたりしないよう注意します。あらかじめゴム手袋を付けておくと、感電や汚れを防止できるので安心です。
次いで、タンクにつながっている給水管の止水栓を閉めます。ここを開けたままで作業すると、何かの拍子にレバーに触れて水が流れ、便器からあふれることがあります。
最後に、作業中に汚水などが便器の外に出ることに備え、床全体をビニールシートで覆ってください。ビニールシートがなければ新聞紙でも問題ありません。
いずれにしても作業後は丸めて捨てることになりますので、大きなゴミ袋も用意しましょう。
自分でトイレのつまりを直すのに不安がある場合や、試してみたが効果が出ないという場合、専門業者に依頼するのがおすすめです。自分でなんとかしようして、便器などを壊してしまったら大変です。
深い位置のつまりは、プロの道具や技術が不可欠です。つまりは自然に直ることもありますが、一日様子を見て解決しないようであれば、何らかの対策が必要です。
まずはお湯やラバーカップを使った方法を試してみましょう。それで解決できない場合は、業者に診断してもらった方がよいでしょう。
特に水位が上がったまま、まったく下がってこない場合は、つまりが深刻になっているのですぐに連絡しましょう。実際に作業を依頼する場合は、事前に見積もりや作業の内容を案内してくれる業者が安心です。
技術的な面については、自治体が認定している「水道局指定工事店」や、「給水装置工事事業者」などに該当しているかなどで判断できます。一方、業者の中には、極端に安い料金を提示しておきながら、後から高額な追加請求をしたり、不要な工事や部品の取り替えを強引にすすめたりする業者もいます。こうしたところは避けた方が無難と言えます。
見積もりは、概ね、出張費、基本料金、作業料金などがあり、部品等の修理が必要な場合は、その部品代もかかります。電話だけでは正確な料金は分かりませんので、実際に家まで来てもらう必要があります。
作業時間は、軽い症状であれば30分もかかりませんが、深い場所のつまりなどでは、数時間かかることもあります。見積もりのときには金額だけでなく、所要時間も確認しておくとよいでしょう。
トイレつまりは、便器に物を落とさない、過度な節水は避ける、「大」「小」を正しく使用するなど、基本的なことを守っていれば、未然に防ぐことも可能です。それでもつまってしまったら、まずはぬるま湯やラバーカップなどを試してみましょう。
もし、自分では直せないと感じたら、早めにプロの手を借りるのをおすすめします。
トイレがつまると生活に大きな支障が出てしまうので、できるだけ早く対応をしなくてはなりません。ここでは予防策なども含めて、自分でできることをいくつかご紹介します。
つまりが生じても、必ずしも大きなトラブルにつながっていくとは限りません。軽度ならば自然に直ることも珍しくはありません。
たとえば、トイレットペーパーであれば、水に溶ける性質をもっているため、しばらくそのままにしておくと、水で溶けてつまりが取れることもあります。しかしペーパーの量が多過ぎるとなかなか溶けず、そこに新しくトイレットペーパーや排泄物などが流れていき、つまりが蓄積されます。
また、紙おむつなど、よく水を吸う素材の場合、さらに水を吸って膨らんだまま元に戻らなくなり、排水管をふさいでつまることもあります。
こうしたトラブルは、できることなら未然に防ぎたいものです。そのためには次のようなことに心に留めておきましょう。
まず、トイレットペーパーは一気にまとめて流さず、ある程度使った時点で、こまめに流します。掃除用のシートなど、「トイレに流せる」と表示されている商品でも、あくまで毎回、使うごとに流していくようにします。
まとめて使ったときは、トイレには流さず、一般のゴミとして捨てるようにしましょう。もちろん、プラスチック製品など水に流すべきではないものを、便器に落とさないことも大切です。
もし、落としたら水を流さないのが鉄則です。そして必要以上に節水はせず、状況に応じてきちんと「大」を使用するようにしましょう。
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