トイレがつまる主な原因には、次のようなことがあげられます。
まず、大量のトイレットペーパーや排泄物を一度に流した場合、排水管のキャパシティーを超えてつまる場合があります。また、トイレの排水管に尿石がこびりついて蓄積すると重度のつまりが発生する場合があります。
くわえて、水に溶けない異物をトイレに流してしまうこともトイレがつまる原因になります。生理用ナプキンやおむつ、水に溶けないティッシュペーパーなどは、うっかりトイレに流してしまうことがあるのではないでしょうか。
ポケットに鍵やスマートフォン、眼鏡やハンカチなどを入れている場合、トイレ使用時に便器に落としてしまい、そのまま流してしまうケースがあります。トイレ掃除に使っていたスポンジや歯ブラシなどが排水管の奥に入って取れなくなるケースもあるでしょう。
トイレットペーパーや排泄物のような本来流せるものによるつまりは、薬品で対処できることもありますが、異物がつまってしまった場合は薬品を使って解消することができません。
トイレつまりは原因に応じて、酸性やアルカリ性(塩素系)、次亜塩素酸ナトリウムなどの薬品を使って解消できます。ここではつまりの原因別に、向いている薬品とその特徴について説明します。
トイレつまりの原因がトイレットペーパーや排泄物で、「水の流れが悪い」など症状が軽い場合は、食器用洗剤などの中性洗剤と50度程度のお湯を使って解消することができます。汚れが付いてから間もない場合、汚れがアルカリ性でも酸性でも落とせる点が、中性洗剤のメリットです。また、中性洗剤なら他の薬品と混ぜても有毒ガスが発生するリスクがありません。
あるいは、重曹と酢(またはクエン酸)を併用する方法でも、軽いトイレつまりを解消できます。弱アルカリ性の重曹と酸性の酢を混ぜると中和作用によって発生する泡が、トイレつまりの原因となる汚れを浮かせるためです。
トイレを排水しても流れず水が逆流してくるなど重度のつまりの場合、つまりの原因がトイレットペーパーや排泄物などであっても、より強力な薬品を使って解消する必要があります。
強アルカリ性で、主成分として次亜塩素酸ナトリウムや水酸化ナトリウムが配合されている、トイレつまり専用薬品を使いましょう。これらの成分はたんぱく質も溶かせるため、トイレットペーパーや排泄物だけでなく、嘔吐物や髪の毛などによるつまりにも効果的です。また、カビや黒ずみも落とすことができます。
ちなみに、トイレ排水管のつまりに対応するパイプクリーナー薬品には、酸性のものとアルカリ性のものがあります。つまりの原因がトイレットペーパーや排泄物の場合はアルカリ性の薬品を選びましょう。
尿石はアルカリ性の汚れのため、反対の性質を持つ酸性の洗剤や薬品の使用が効果的です。酸性の薬品の具体例は、このあとの「トイレの排水管つまり解消に役立つ薬品の使い方」で紹介します。
水に溶けない異物が原因のつまりは、薬品を使っても解消できません。このケースの対処方法については、このあとの「薬剤では解消できないトイレの排水管つまりの場合」で説明します。
薬品を使ってトイレのつまりを解消する前に、準備すべきことや手順があります。安全かつスムーズに作業を行うために、必ず、以下の手順を守るようにしてください。
止水栓はトイレを洗浄する水を調整する元栓です。トイレのつまりを解消する作業中に水はねや水漏れが起きることを防止するため、作業を開始する前に止水栓を閉める必要があります。
止水栓の位置は一般的に、壁や床からトイレタンクやタンクレストイレの便器につながっている水管の根本付近です。止水栓にはネジが付いており、回すことで開閉できます。止水栓を閉めるときは、マイナスドライバーを使用して時計回りに、動かなくなるまで回してください。
自動洗浄トイレやシャワートイレ、温水洗浄便座などは電気を使用して稼働する製品のため、作業をするときは感電しないように注意しなければなりません。また、電源を入れたまま作業すると、故障につながるおそれもあります。安全のため、作業を始める前に、電源プラグをコンセントから抜いておきましょう。
トイレつまりを解消するために使う薬品の中には、臭いがきついものや人体に良くないものもあります。換気扇を回したり窓を開けたりして、換気の良い状態で作業するようにしてください。
特に、塩素系の洗剤や薬品と酸性の洗剤・薬品を混ぜると、有害な毒ガスが発生して非常に危険です。「混ぜるな危険」とラベルに記載されている薬品を扱うときは十分注意し、万が一のミスに備えて換気しながら作業しましょう。
トイレ詰まり解消の薬品を準備する際は、上で述べたように、つまりの原因に対応するものを選ぶ必要があります。効果のある薬品を選ぶには、つまりの原因を確認することが大切です。
トイレットペーパーや排泄物がつまっている場合、軽いつまりなら中性洗剤、または、重曹と酢(クエン酸)を準備しましょう。重度のつまりにはアルカリ性の薬品が適切です。尿石によるつまりなら、酸性の薬品を用意してください。
ここでは、トイレつまりを解消すると考えられている薬品として以下の8つを取り上げ、それぞれの使い方や手順について説明します。中には、トイレつまりの根本的な解決に効果は期待できないけれども、つまり解消を促すものもあるため、うまく使いわけるといいでしょう。
弱アルカリ性の重曹と酸性の酢を混ぜると中和作用で発泡し、トイレつまりの原因となる汚れを落とします。ただし、量を間違えると便器からあふれることがあるため、注意してください。
用意するのは下記の四つになります。
6の段階で水が正常に流れれば、つまりは解消しています。
「ピーピースルーF(和協産業)」は粘着性の油汚れやタンパク質の汚れを落とす排水管つまり解消用の薬品「ピーピースルーK」(医薬用外劇物)の一般家庭用製品です。雑菌による悪臭防止や除菌も可能であり、キッチンや浴室の排水管つまりに対しては大きな効果を発揮する薬品です。
しかし、トイレつまりの原因となる主な汚れはトイレットペーパーや排泄物であり、油脂やタンパク質の汚れとは性質が異なります。そのため、「ピーピースルーF」を使っても、トイレつまりを解消する効果は望めないかもしれません。特に、尿石によるつまりには向かないでしょう。
パイプユニッシュ(ジョンソン)は強アルカリ性の薬品で、石鹸かすや髪の毛、食べ物のかすなど、タンパク質を分解して溶かす効果があります。パイプユニッシュの用途はキッチンや浴室などの排水管つまりの解消です。トイレつまりは汚れの種類が異なるため、パイプユニッシュを使っても、根本的な解決には至らないでしょう。
ただし、トイレットペーパーや排泄物がつまっている場合は、パイプユニッシュを使うと、つまりがほぐれやすくなる場合があります。つまりが軽度なら、トイレつまり専用薬品を準備する前の応急処置など補助的に使ってみてもいいかもしれません。
デオライト(和協産業)は酸性の尿石除去剤で、男性用小便器などの排水管が尿石でつまった場合に効果を発揮します。尿石はアルカリ性のため、酸性のデオライトで溶かすことが可能です。デオライトには数種類があり、「デオライトL」なら一般の人でもインターネットショップなどで購入できます。
用意するものは下記の六つになります。
ぞうきんやゴム手袋があると、汚れを掃除するときに作業しやすいでしょう。
サンポール(KINCHO)は酸性のトイレ用洗剤です。尿石などアルカリ性の汚れに強く、男性用小便器や便器フチ裏などの尿石、大便器の汚れによる軽いつまりの解消や黄ばみ落としに効果があります。
サンポール、トイレ掃除用ブラシがあれば、手順は簡単で手軽です。
小便器の排水部分や黄ばみ汚れがある部分にサンポールを適量かけ、トイレ掃除用ブラシでこすります。そのあと、水で流すだけです。
食器用洗剤には弱酸性・中性・弱アルカリ性の製品があります。中性の食器用洗剤には、付いたばかりの汚れなら酸性の汚れでもアルカリ性の汚れでも落とせるという特徴があります。そのため、水の流れが悪い程度の軽いトイレつまりなら、食器用洗剤で解消できる場合があります。
用意するものは下記の三つになります。
5の段階で正常に水が流れれば、つまりが解消されています。
トイレつまりに使える中性の食器用洗剤としては、「チャーミーVクイック(ライオン)」、「ママレモン(ライオン)」、「ヤシノミ洗剤(サラヤ)」などがあります。
主な家庭用パイプクリーナー薬品は、キッチンや浴室などの排水口や排水管のつまりを予防・解消する用途で作られています。油汚れや食べ物のかす、髪の毛や垢などタンパク質の汚れを分解する効果がありますが、ラベルや説明書きにトイレ用と記載されていないパイプクリーナーは、トイレットペーパーや排泄物の分解には不向きです。
パイプクリーナーの中には物質を溶かす際に熱が発生するものもあり、便器や排水管を傷める原因になるものもあります。
ただし、「かんたん洗浄丸(小林製薬)」や「トイレの洗浄剤」(ウエ・ルコ)など、トイレの排水管汚れを防止してつまりにくくするパイプ洗浄剤もあります。トイレつまり解消や予防が目的でパイプクリーナーを探す場合は、説明書きをよく確認するようにしましょう。
トイレクリーナー(トイレ用洗剤)には薬品をしみこませたシートタイプと液体タイプがあります。いずれも便器の汚れ落としや汚れ予防を目的とするもので、液体タイプの中にはブラシでこすらず便器にかけておくだけでよい便利な製品も出ています。塩素系洗剤など「混ぜるな危険」と記載されている製品もあるため、取り扱いには注意してください。
一般的なトイレクリーナーは、つまりを解消する効果は明記されていません。とはいえ、日頃からこまめに掃除をすることによって、つまりの原因となる汚れがたまるのを、ある程度は予防できます。
シートタイプのトイレクリーナーはトイレがつまる原因の一つにも挙げられているため、トイレ掃除をするときは便器にトイレ用掃除シートを落とさないように注意しましょう。トイレに流せるタイプのトイレシートも、大量に流すとつまりの原因になります。
主なトイレクリーナー製品(液体)には、「スクラビングバブル 超強力トイレクリーナー(ジョンソン)」「除菌トイレクリーナー(ミツエイ)」「トイレクリーナー(サラヤ)」などがあります。
トイレ用バイオ洗浄クリーナーとは、尿石の付着やアンモニア臭を防止する天然由来のバクテリアを配合した中性洗剤です。一般的な中性洗剤よりも洗浄力が高く、一般的な酸性洗剤よりも人体や環境への負担が少ないことがメリットといえます。
また、一般的な洗剤よりも汚れを付着しにくくする効果があるため、掃除の手間を減らすことが可能です。尿石をすぐに溶かすことはできませんが、定期的に使用することで、尿石付着によるつまりを防止することができます。
使い方は、便器にバイオ洗浄クリーナーをかけてトイレ掃除用のブラシでこするだけです。
主なトイレ用バイオ洗浄クリーナーには、「バイオポリッシュS(有限会社バイオクリーン四国)」「ピュア・バイオ・テクノ(装栄)」などがあります。
トイレつまりを解消するために薬品を使う場合は、安全に作業できるように注意すべき点があります。ここでは、主な注意点3つについて説明します。
トイレつまりを解消する薬品の中には強力な成分を含むものもあり、定められた使用量や手順にしたがって使用しないと怪我をしたり、便器や排水管などを傷めてしまったりするおそれがあります。つまりや汚れが気になると、つい使用量を多くしすぎてしまいがちですが、作業を始める前に、正しい使用量や手順をよく確認しておきましょう。
また、次で述べるように、混ぜると有毒ガスが発生する薬品もあるため、事前に成分や取り扱い上の注意点を把握しておくことが大切です。
市販されている家庭用の薬品は安全性に配慮されているものの、正しい使い方をしないと危険が伴う場合があります。
薬品の成分によっては、混ぜると有毒ガスが発生したり、化学反応を起こして容器が破裂したりするおそれがあるため、取り扱いには注意が必要です。ラベルや説明書きに「混ぜるな危険」と記載されているアルカリ性(塩素系)や酸性薬品は、異なる性質の薬品と混ぜると有毒ガスが発生し、換気の悪い場所では命に係わる場合もあります。
アルミ缶に移し替えた強アルカリ性の洗剤が破裂し、洗剤を浴びた人がやけどをした事件も、実際に起こりました。
トイレつまりに薬品を使うと、つまりが解消される場合もありますが、必ずしも解消できるとは限りません。つまりがひどい場合や、つまりの原因と使用する薬品が合っていない場合は、どんなに強力な薬品を使っても、つまりが解消できない可能性があります。
薬品を使ってトイレつまりを解消しようとするときは、効果がない場合もあることを、あらかじめ想定しておきましょう。薬品だけに頼りすぎず、解消できない場合は別の対処方法も検討する必要があります。
ここでは、薬剤を使う方法では解消できないトイレつまりの原因や、無理に対処しようとする場合に起こりうるリスクについて説明します。
水に溶けない性質の異物を便器に落とし、排水管につまってしまった場合は、薬剤を使ってもトイレつまりを解消することは不可能です。
たとえば、ポケットに入れていたスマートフォンや鍵、ペンやメガネなどが便器内に落ち、気付かずに水を流してしまうことがあります。または、掃除に使っていたスポンジや歯ブラシなどが排水管に入って取れなくなることもあるでしょう。金属やプラスチック、ガラスなどは、一般的なトイレつまり解消用の薬剤で溶かすことができないため、別の解消方法を検討する必要があります。
ゴム手袋をはめてトイレの排水管に手を突っ込み、つまっているものを取り出すことができないか、試してみましょう。このとき、無理に取り出そうとしてかえって奥に押し込んでしまわないよう、慎重に行ってください。
薬剤を使ったり、異物を取り出そうとしたりとトイレつまりの解消を試みても、なかなかうまくいかない場合があります。排水管が完全につまっている場合やトイレが壊れている場合などは、素人が無理に対処しようとすると、状況がさらに悪化するかもしれません。
また、強い薬剤を素人が使うことには危険が伴います。特に、薬剤が目に入ったり、皮膚に付いたりすると危険です。強い薬剤の使い方を誤ると便器が傷むおそれもあります。
トイレのつまりを自分で解消することが難しい場合は、無理をせず、専門の業者に相談することも大切です。トイレがつまった状態で放置すると、つまりがさらに悪化する場合もあるため、1日経っても解消できない場合は業者に依頼するほうがよいでしょう。
トイレのつまりで困らないためには、予防も欠かせません。そこで、日頃からできる対策として、トイレつまりの前兆の見分け方や気付くためのポイント、薬品を使ったメンテナンス方法などについて説明します。
トイレつまりが発生する前に前兆が出るケースと、前兆がなく突然つまるケースがあります。まずは、どのような前兆があるかを知って、つまりそうな状態を早めに察知できるようにしましょう。
トイレつまりの前兆では、まず、水を流したときの水位が高くなります。この場合、排水管や便器に何かがつまっていると考えてよいでしょう。水位が少しずつ減っていくなら、排水管や便器の間に隙間がある状態です。水位がまったく下がらない場合は、完全につまっているかもしれません。
次に、タンクから出る水の量は正常でも、便器での流れが悪い状態です。この場合も排水管や便器のどこかにつまりが発生していると考えられます。
トイレの水を流したときに「ボコボコ」「コポコポ」といった音がする場合も、つまりが発生している症状です。異音がどこから聞こえるかを突き止めると、つまっている場所を特定できます。便器内、便器の下、トイレタンク、シャワートイレなどの音をチェックしてみてください。
タンクから出る水量が少ないケースもあります。この場合、問題はつまりではなく、タンクの状態にトラブルが発生している可能性が高いでしょう。
トイレに流してはいけない異物によるつまりは別として、トイレットペーパーや排泄物、尿石などによるつまりは、日頃の掃除にも薬品を使うことで未然に防ぐことが可能です。トイレがつまっていない場合でも、重曹とお酢や中性洗剤を使用してつけ置きするトイレ掃除を、時々するとよいでしょう。
くわえて、定期的に強アルカリ性の洗剤や薬品を使用することも効果的です。また、尿石の付着を防ぐことも、小便器などのつまりやトイレの臭いを予防する対策になります。便器の掃除に、普段からサンポールなどの尿石除去剤を使用することがおすすめです。
トイレの修理やつまり解消の専門業者は、劇物や危険物を含む強力な薬品を使用してトラブルに対処できます。トイレつまりに関する知識や経験が豊富にあるため、市販品よりも効果が期待できる業務用の薬品を安全に使用できることで、スピーディーかつ的確な対処が可能です。トイレつまり解消や修理に必要な薬品や道具、部品なども、すぐに準備してもらえます。
年中無休で24時間対応、出張料金や見積もり料金がかからない業者もあるので、業者選びのチェックポイントとして覚えておきましょう。また、深夜早朝割増料金やキャンセル料がかからない業者は良心的といえます。水道局指定吸水装置工事事業者に登録されている業者なら信頼性が高く、安心して相談できます。
トイレつまりをどうしても解決できないときは、良い専門業者を選んで、気軽に相談してみましょう。
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