まず前提として、エコキュートが故障した場合には、そのエコキュートを購入したメーカーや、給湯器の修理・交換を専門としている業者への依頼が必要です。
なぜなら、エコキュートの修理・交換は工事内容によって下記のような国家資格が必要になるためです。
「費用を抑えるために自分で修理する」などと、資格が必要な作業を無資格で行うと法律違反となり罰金・懲役などが課される可能性もあるため注意しましょう。
もちろんなかには自分で対応できるものもあるので後述しますが、内部の故障によりエラー・不具合が起こっている場合に自分で解決しようとすると火災などの事故に繋がる危険性があります。
そのため、エコキュートが故障した場合にはメーカーや専門業者に依頼することが大切です。
エコキュートが故障する主な原因には下記の3つのパターンがあります。
それぞれどのような故障なのかについて以下で詳しく紹介します。
「初期故障」とは、設置して間もない時期に起こる故障のことを指します。
主な原因としては、施工業者のミスや、エコキュート本体の初期不良により何かしらの不具合などが起こっていることが考えられるでしょう。
初期故障の場合、メーカーや施工業者に連絡することで、無償で対応してくれる可能性が高いです。
保証期間が過ぎてしまうと修理・交換に費用がかかってしまうため、故障や違和感があるならすぐにメーカーや施工業者に連絡しましょう。
「偶発故障」とは、設置段階で起きていた小さな不具合が、経年により大きな問題となり故障に繋がることを指します。
施工業者のミスなどによって起こることなどが原因として考えられますが、もし設置初期のミスだったとしてもそれを証明することが難しいため、保証期間を遡って適用させることも難しいという点があります。
そのため、エコキュートの使用中にわずかな不具合を感じた場合でも、保証期間内に点検してもらうように心がけることが大切です。
「摩耗故障」とは、長年使用回数を重ねることによって内部の部品などが摩耗し、それによって何かしらの故障が発生することを指します。
後述していますが、エコキュートの耐用年数は約10年〜15年とされているため、それ以上の期間エコキュートを使用しているのであれば買い替え(交換)を検討した方が良いかもしれません。
摩耗故障を起こすほど長年使用している場合は、一部を修理しても他の部分にも故障が発生する可能性があります。
エコキュートの故障といってもさまざまなものがあります。
一般的によくあるエコキュートの故障事例を紹介すると下記のとおりです。
それぞれの症状の原因や対処法について紹介します。
なお、修理にかかる金額はメーカーや業者、工事内容によっても異なるため、ここではメーカーのひとつであるダイキンの公式サイトで公表されている修理金額を目安として紹介します。
エラーコードとは、エコキュートの装置に何かしらのトラブルが発生した場合、リモコンなどに表示される英数字のことを指します。
各メーカーではエラーコードによって、どの部分で故障が発生しているかがわかるようになっていますが、エラーコードによっては自分で対応できるものがあります。
例えば、パナソニックのエコキュートにおけるエラーコードでは「U〇〇」といったUから始まるエラーは自分で対処できるとされています。
エラーコード | 原因 | 対処法 |
U22 | 凍結や断水 | 復旧をまってから対処 |
U51 | 浴そうの栓を忘れている | 浴そうの栓をする |
U53 | 浴そうのお湯が溢れている | お湯はりの設定量を下げる |
U54 | 浴そうの基準水位が設定されていない | 浴そうを空にしてから再度はる |
上記のような軽微なエラーであれば基本的に自分で解決できますが、貯湯タンクやヒートポンプ内部のエラーについては基本的にメーカーや専門業者による点検・修理・交換が必要になります。
タンクから水漏れがある場合、三方弁、混合弁、風呂循環ポンプなどの部品が壊れている可能性があるため、修理が必要になります。
なおダイキンの場合、修理にかかる目安の金額は25,000円〜45,000円程度とされています。
浴室リモコンや台所リモコンが操作できない場合も修理が必要になります。
リモコン内部で故障や不具合が起こっている場合、新しいものに付け替える必要があり、ダイキンでの修理金額の目安を例にすると48,000円〜70,000円程度とされています。
お風呂からお湯がでないという不具合の場合、湯はり混合弁、水量センサー、湯はり電磁弁、サーミスタといった部分に故障が発生している可能性があります。
具体的な内容は点検によって調べてもらわなければわからないため、メーカーや業者への依頼が必要となるでしょう。
ダイキンでの修理金額の目安は26,000円〜30,000円程度とされています。
お湯がぬるい、熱すぎるといった不具合の場合、混合弁、貯湯ユニット基板、給湯サーミスタなどに不具合が起こっている可能性があります。
場合によっては配管凍結などによって起こっている可能性もありますが、機器の不具合の場合はメーカーや専門業者により修理が必要となるでしょう。
ダイキンでの修理金額の目安は25,000円〜49,000円程度です。
お湯の量を設定したのに調整されない場合は、水位センサー、貯湯ユニット基板などに不具合が起こっている可能性があります。
このタイプの故障も内部の不具合のため、修理・点検をメーカーや業者に依頼する必要があるでしょう。
ダイキンでの修理金額の目安は24,000円〜51,000円程度とされています。
断水や凍結によって水が出ない際には、エラーコードが表示される場合があります。
しかし、断水や凍結は厳密にいうと「故障」ではなく、断水の復旧や凍結が解消すると普段通り使えるようになることがほとんどです。
自力でどうにかしようとすると故障する恐れがあるため、断水や凍結の場合は自然に復旧・解消するのを待ちましょう。
エコキュートの修理や交換は、故障の内容や状況、工事内容にもよりますが、おおむね半日以内に終了することが一般的なようです。
ただし、下記のようなケースでは1日以上かかる可能性もあるため注意しましょう。
もし当日中に工事が完了せず、お風呂に入れないときの対処法としては「簡易追い焚き機を使う」、「銭湯やネットカフェなどを使う」、「知人の家のお風呂を使わせてもらう」、「水不要のシャンプーなどを使う」といった方法があります。
いずれにしろ、どの程度の工事が必要になるかは事前の現地調査時に聞いておくと良いでしょう。
エコキュートが故障すると「このメーカーのエコキュートは故障しやすいのでは?」と疑いたくなるかもしれません。
しかし、エコキュートの故障率におけるメーカーによる違いは基本的にありません。
確かに製造方法などが多少異なるため、小さな違いはあるかもしれませんが「明らかに壊れやすいメーカー」などがあるとは考えにくいでしょう。
もし「買ったばかりなのに故障した」という場合には、本体の問題というよりも取付業者の施工不良などが原因となっている可能性があります。
悪質な業者では、国家資格が必要なエコキュートの修理・交換に無資格で応じている場合などがあるようです。
そのため、エコキュートを修理・交換する際には業者選びに注意しましょう。業者選びのポイントについては後述しているため、修理・交換を検討している方は参考にしてください。
エコキュートの故障にあたり、メーカー保証が適用できる可能性があります。
メーカー保証は標準として適用されている保証期間と、別途料金を支払うことで延長できる保証期間があり、有名メーカーの保証期間を一例として紹介すると下記のとおりです。
メーカー | 標準保証期間(無料) | 延長保証(有料) |
パナソニック | 1年間 | 5年間/8年間/10年間 |
三菱電機 | 2年間 | 5年間/8年間/10年間 |
ダイキン | 1年間 | 10年間 |
コロナ | 2年間 | 5年間/8年間/10年間 |
日立 | 1年間 | 7年間/10年間 |
なお、延長保証については購入後一定期間以内にしかつけることができません。
購入後一定期間が経過してから「調子が悪いから延長する」といったことができないので注意しましょう。
また、エコキュートの修理・交換には火災保険が適用される可能性があることも覚えておきましょう。
火災保険の「風災補償」が付帯している場合、屋外設備や建物が風、雨、雪、雹(ひょう)、砂塵(さじん)、などで被害を受けると補償の対象となります。
例えば、強風などによって飛ばされてきたものが屋外設備であるエコキュートにぶつかることで故障すると、風災補償の対象となることもあるでしょう。
火災保険の契約内容によっては風災補償が入っていない場合などもあるため、火災保険が適用になるかどうかはご自身が加入している火災保険について詳しく調べてみると良いでしょう。
エコキュートに不具合が起こった場合、それは故障なのか、それともエコキュートの寿命がきているのかを判断することが大切です。
買い替えの判断基準としては下記のような点に注目すると良いでしょう。
それぞれについて以下で詳しく紹介します。
エコキュート本体の寿命(耐用年数)は約10年〜15年といわれています。
もし現在使用しているエコキュートが耐用年数以上使用しているものであれば、買い替えのタイミングかもしれません。
耐用年数を過ぎて使用している場合、故障が多発して維持費が高くなる可能性があるほか、古い型になると部品の製造が終了し、修理自体も難しくなる可能性があるため注意しましょう。
耐用年数以下だとしても頻繁にエラーが出るのであれば買い替えの時期かもしれません。
エコキュートは主に貯湯タンクとヒートポンプの2つの設備がありますが、それぞれは別々の設備ではなく1つの設備として機能しています。
そのため、一部に不具合が出ると他の部分にも影響し、エラーが多発するといったこともあるでしょう。
エラーの度に点検や修理をしていると、維持費が高額になる可能性があるため買い替えも視野に入れることをおすすめします。
エコキュートの交換費用は、工事内容や依頼する業者にもよりますが約40万円〜50万円ほどが一般的とされています。
もし修理の見積もりを出した段階でこの金額以上の修理費用になるのであれば買い換えた方がお得な可能性があります。
特に「型が古くて部品の取り寄せにお金がかかる」といった場合には比較的新しい機種に買い換えた方が良いかもしれません。
前述のとおり、エコキュートの交換でかかる費用は一般的に約40万円〜50万円ほどが平均とされています。
しかし、工事内容や交換を依頼する業者によって金額は上下するため注意しましょう。
また「一部だけ修理したい」という場合もあるかもしれませんが、その場合にかかる費用もメーカーや業者によって異なります。
例えば紹介したダイキンの不具合に対する修理費を一覧でまとめると下記のとおりです。
故障内容 | 修理箇所 | 修理費用の目安 |
タンクから水が漏れている | 三方弁、混合弁、風呂循環ポンプなど | 25,000円〜45,000円程度 |
お風呂からお湯がでない | 湯はり混合弁、水量センサー、湯はり電磁弁、サーミスタなど | 26,000円〜30,000円程度 |
お湯の温度調整ができない | 混合弁、貯湯ユニット基板、給湯サーミスタなど | 25,000円〜49,000円程度 |
お湯の量が設定より多い・少ない | 水位センサー、貯湯ユニット基板など | 24,000円〜51,000円程度 |
いずれにしろ、まずは修理・交換業者に見積もりをとることが大切です。
見積もりを一社だけではなく複数社からとり、比較することでかかる費用の相場を感覚的に掴むことができるはずです。
エコキュートの故障時に、修理・交換を依頼する業者は大きく分けると「メーカー」と「給湯器専門業者」です。
どちらに依頼すれば良いのかの判断基準について以降で詳しく紹介します。
メーカー保証期間内であれば無償で修理・交換に応じてくれる可能性があるメーカーに問い合わせましょう。
メーカー保証には購入後無料で付帯している保証期間と、有料にて任意で延長できる保証期間があり、有名メーカーを一例にして再度紹介すると下記のとおりです。
メーカー | 標準保証期間(無料) | 延長保証(有料) |
パナソニック | 1年間 | 5年間/8年間/10年間 |
三菱電機 | 2年間 | 5年間/8年間/10年間 |
ダイキン | 1年間 | 10年間 |
コロナ | 2年間 | 5年間/8年間/10年間 |
日立 | 1年間 | 7年間/10年間 |
メーカーの問い合わせ先は公式サイトで確認できますが、メーカー別の問い合わせ先を一覧にして紹介すると下記のとおりです。
メーカー | 電話番号 | 受付日時 |
パナソニック | ・0120-878-695 ・06-6780-2550(フリーダイヤルが利用できない場合) |
月~土曜:9時~18時 |
三菱電機 | ・0120-139-365 ・0570-077-365(携帯・PHS) |
平日:9時〜19時 土日祝日:9時〜17時 |
ダイキン | 0120-881-081 | 24時間365日 |
コロナ | ・0120-919-302 ・0570-550-992(携帯・PHS) |
24時間365日 |
日立 | ・0120-3121-68 ・0570-0031-68(携帯・PHS) |
月〜土:9時〜18時 日・祝日:9時〜17時 |
セキスイハイム | 0120-917-567 | 24時間365日 |
サンデン | 0120-330-515 | 平日:9時〜17時30分 |
もし保証期間外なのであれば、給湯器専門業者がおすすめです。
もちろんメーカーに修理・交換を依頼しても問題ありませんが、保証期間外だと修理・交換に伴う工事費などが満額かかるうえ、メーカーでは割引キャンペーンなどがほとんどないため高額になりがちです。
一方で給湯器専門業者では割引キャンペーンが適用できる場合があることと、24時間365日対応など柔軟な対応を期待できる点にメリットがあります。
ただし、給湯器専門業者のなかには見積もり段階とはまったく違う高額な工事費用を請求するなど、悪質な業者もあるため注意が必要です。
修理・交換を依頼する専門業者の選び方については後述しているので、そちらを参考にしてください。
エコキュートの修理・交換を依頼する業者選びのポイントとして、下記のようなものが挙げられます。
エコキュートが故障するとお風呂など日常生活に支障が出る場合もあるため、24時間年中無休で対応してくれ、連絡からすぐに駆けつけてくれる業者がおすすめです。
また、エコキュートの修理・交換には国家資格が必要なため、有資格者がいる専門業者を選びましょう。
一番の不安は「悪質な業者だったらどうしよう」ということだと思いますが、各自治体が認める水道法施行令に定められた基準に合う水道工事ができる業者は「指定給水装置工事事業者」として公表されています。
さらに、実績豊富かつテレビCMを放送しているなどして知名度が高い業者であれば比較的安心して依頼できるはずです。
なお、修理・交換を依頼する際には必ず見積もりをとることが大切ですが、業者によっては見積もりの段階で料金が発生することがあります。
コストをできるだけ抑えたいのであれば、見積もりやキャンセル料などがかからない業者がおすすめです。
エコキュートを新しくするのであれば、下記のポイントに注目して選ぶことをおすすめします。
予算はもちろんですが、家族構成や設置場所の広さによってエコキュートの大きさを選ぶことも大切です。
また凍結するような寒い地域であれば寒冷地仕様のものを、海に近いのであれば耐塩害仕様といったように、お住まいの地域の環境に合わせた仕様のエコキュートを選ぶことも故障させずに使うために大切なポイントといえるでしょう。
なお、どのような地域でも、メーカーでは定期的に自分でできるお手入れとして下記のようなメンテナンス方法を推奨しています。
頻度 | お手入れ・点検 |
日常的 | ふろ循環アダプター掃除 |
リモコンの掃除 | |
月に1回程度 | 時刻の確認 |
漏電遮断機の確認 | |
年に2〜3回程度 | 逃し弁の点検 |
貯湯ユニットの掃除 | |
配管の点検 | |
半年に1回程度 | ふろ追いだき配管の清掃 |
上記のようなメンテナンスを行うことで、故障の確率を下げられる可能性があるため、意識的に取り入れましょう。
ここまでエコキュートが故障した際に必要な情報を紹介してきました。
最後に、エコキュートが故障したらまずなにをやるべきか、について簡潔に紹介します。
「とりあえず、今何をすればいいの?」と困っている方は、以下で紹介する内容を参考にして行動してください。
エコキュートのメーカー保証期間内であれば、とりあえずまずはメーカーに問い合わせましょう。
メーカー保証期間内であれば無償で修理・交換できる可能性があります。
メーカーの保証期間は通常で1〜2年ほど、有料の延長サービスを利用している場合は3〜10年です。
メーカーの保証期間内だとしても、マンションや賃貸にお住まいの方はまず管理会社へ連絡しましょう。
賃貸マンションやアパートの場合、法律上では給湯器などの設備に関する修理・交換は、特別な契約などない限り管理会社側の責任となっています。
そのため、業者の手配や修理・交換に伴う費用も管理者側の負担となることが一般的です。
一方で、分譲マンションの場合、給湯器の管理責任は区分所有者にあることが一般的なので、自分で業者への依頼が必要になるほか、費用も自己負担になります。
しかし、給湯器が廊下などの共用部分に設置されている場合や、マンション共有のインフラ設備を給湯器で使用している場合には工事に伴う許可を管理者からもらう必要があるといったケースもあるので注意しましょう。
そのため、賃貸・分譲に限らずマンションにお住まいの方は、エコキュート修理にあたって一度管理者に連絡・相談することをおすすめします。
メーカー保証期間外かつ業者への修理依頼が必要になった場合には、まず複数の給湯器専門業者から見積もりをとりましょう。
複数の業者を比較し、もっとも信頼できる業者に修理・交換の依頼をすることをおすすめします。
なお、見積もり段階で「見積もり料金」が発生する業者もあるため、無料見積もりかどうかもチェックしてから依頼しましょう。
エコキュートの故障は大きく分けて「初期故障」、「偶発故障」、「摩耗故障」がありますが、内部の故障であれば国家資格が必要になるため、基本的に修理・交換はメーカーや給湯器専門業者へ依頼することになります。
メーカー保証期間内であれば無償で修理・交換できる可能性があるため、メーカーに問い合わせましょう。メーカー保証期間外であれば業者に依頼して修理・交換してもらうことになると思いますが、費用は依頼する業者や工事内容によって異なります。
そのため、まずは複数社から見積もりを出してもらい、比較することが大切です。この記事で紹介した業者選びのポイントを抑えつつ、自分にとって都合の良い修理・交換業者を見つけてください。
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