水道の蛇口を閉めても水が止まらない場合に、最初にするべき応急処置は、止水栓か水抜栓を閉めることです。でも、止水栓や水抜栓がどこにあるのか、どのようにして閉めればいいのかなどについて、ご存じない方もいるのではないでしょうか。以下で、注意点も含めて詳しく説明します。
止水栓の場所は水周りの種類によって次のように異なります。
にあることが多いです。
止水栓の形状には、
の2種類があります。
ハンドル付きの止水栓はハンドルをひねって閉めることが可能です。マイナスネジの止水栓は、マイナスドライバーを使います。どちらのタイプも、基本的には一部の地域を除いて閉めるときは時計回り、開くときは反時計回りに回すと覚えておきましょう。
止水栓の場所がわからない場合や止水栓を閉められない場合は、水抜栓を閉めれば水道の水を止められます。水抜栓は「ドレンバルブ」とも呼ばれ、建物や住居のタイプによって位置や個数、形状はさまざまです。
集合住宅の場合は一般的に室外にあります。ドア左右の外壁にある扉を開けると、水道メーターや電気メーターなどと一緒に、水抜栓も収納されています。
戸建ての場合、水抜栓の場所は室内か室外、または両方です。床に「水抜栓」「ドレンバルブ」などと書かれた蓋が付いていたり、壁や床下点検口の中に水抜栓のハンドルが設置されていたりします。
いずれの場合も、水を止めたいときは時計回りに回してください。
水道の寿命は約10年といわれています。水道の水が止まらなくなったり、蛇口を閉めてもポタポタと水が漏れ続けたりする主な原因は経年劣化で、具体的には次の2つの症状が考えられます。
まず、長く使っているうちに蛇口周りのネジやナットが緩んでしまうことがあります。そうすると、蛇口の根本から水が漏れたり、蛇口を閉めても水がポタポタと垂れ続けたりといった症状が出てきます。
この場合は、ドライバーやプライヤーなどを使ってネジやナットを締め直せば、水漏れの解消が可能です。強く締めすぎると水道管に負担がかかるので注意してください。
ネジやナットを締めても水が止まらない場合は、コマパッキンという部品に汚れや劣化などのトラブルが生じているケースがほとんどです。コマパッキンはコマケレップとも呼ばれ、水道ハンドル内部の最も下部にあります。
コマパッキンに蓄積した汚れが水漏れなどの原因であれば、掃除をすれば症状は改善されます。コマパッキンを掃除しても水漏れが続く場合は、コマパッキンの交換が必要です。
水が止まらない原因は水周りの場所によってさまざまです。ここでは、「キッチン・洗面所」「お風呂」「トイレ」の場所別に、水が止まらない主な原因を紹介します。
キッチンや洗面所の蛇口には、シングルレバータイプの混合水栓とハンドルタイプの混合水栓があります。それぞれの内部構造や部品の違いにより、水が止まらない原因も異なります。
シングルレバータイプの混合水栓
レバー1つで水量や水温を調整できるタイプの蛇口です。水漏れをしているときは、バルブカートリッジやパッキンの劣化が原因と考えられます。バルブカートリッジとは、水とお湯の切り替えや水量を調整する部品で、カートリッジと他の部品の間には水漏れ防止のパッキンが付いています。
ハンドルタイプの混合水栓
水とお湯のハンドルが1つずつ、吐水口が1つ付いた蛇口で、それぞれのハンドルを回して水量と水温を調整します。水が止まらない場合に考えられる原因は、ハンドル内部にあるスピンドルやコマパッキンの劣化です。
お風呂の水道には主に、サーモスタット混合水栓が使われています。サーモスタット混合水栓とは、設定温度に合った混合水が出るように水とお湯の量を自動的に調整する機能が組み込まれた蛇口のことで、水が止まらない主な原因として考えられるのは次の3つです。
カランとシャワーを切り替えるバルブカートリッジが故障すると水量の調整ができなくなるため、水が止まらなくなる場合があります。また、蛇口のゴムパッキンの劣化も水漏れの原因です。
水栓本体や給水管の故障も、蛇口と壁の接合部からの水漏れにつながります。この場合は、壁の中から水が流れるような音が聞こえることもあるので、症状の判断に迷ったときは専門の業者に相談してみるとよいでしょう。
トイレの手洗い管から出る水が止まらない場合、主に3つの原因が考えられます。
まずは、トイレの構造を把握しましょう。トイレの手洗い管は、次のようなタンク内の構造によって水が出る仕組みになっています。
トイレのレバーを押すと、タンク内でレバーと接続しているチェーンが、タンク底部の穴をふさいでいるゴムフロートを引き上げ、便器に水が流れます。タンク内の水位が下がるにつれて浮き球が下がり、浮き球と接続されたボールタップが開いて、手洗い管と給水管から水が出ます。
タンク内で以下のような現象が起きていることが、手洗い管からの水漏れが止まらない主な原因です。
便器への排水が止まらないなど、トイレの水が止まらない他の原因や対処法については、こちらの記事をご覧ください。
蛇口周りで水漏れが発生したときは劣化した部品の交換で対処できますが、具体的な手順は水栓のタイプによって異なります。レバータイプ水栓とハンドルタイプ水栓について、それぞれの水漏れ対処法をみていきましょう。
レバータイプの水栓で水漏れが発生した場合は、一般的にはバルブカートリッジを交換すれば解消できます。
用意するもの
バルブカートリッジ以外に、パッキンの劣化が原因で水漏れしているケースもあります。その場合はパッキンを交換しましょう。
ハンドルタイプの水栓で水漏れしている場合、スピンドルやコマパッキンを交換すれば解消できるケースが多いです。
用意するもの
また、パッキンの劣化が原因の水漏れの場合は、パッキンを交換すれば解消できるでしょう。くわしくはこちらの記事を参考にしてください。
作業を始める前に、止水栓を閉め、排水口にも栓をしておきましょう。ハンドルの緩みを強く締めすぎると水圧がかかって水道管を傷めやすいため、締めすぎないように注意してください。
パッキンやコマパッキン、スピンドルやバルブカートリッジなどの部品を交換するときは、蛇口によって適合する規格のものを事前に確認し、用意しておくことも大切です。ホームセンターで部品を購入する場合は、取り外した部品を持参するほうがよいかもしれません。適合する規格の部品がわからない場合は、蛇口のメーカーに問い合わせてみましょう。
分解できるタイプの蛇口を分解して手入れをしたり、部品を交換したりする程度なら、一般的には問題ないといわれています。コマパッキンの規格も複数あるため、蛇口と同じ規格のものを入手しましょう。
ただし、素人が無理をして自分で作業しようとすると、蛇口や水道管を傷めかねません。水漏れが悪化して結局は業者に修理を依頼することになれば、かかる費用はかえって高くつくでしょう。
なお、水道や水栓など「給水装置」の設置・移設・増設・撤去については、「水道局指定給水装置工事事業者」が施工するように法律で定められています。DIYで違法に給水装置の工事をすると、水道を止められたり、過料を科せられたりするおそれがあるため、蛇口以外はいじらないようにしましょう。
自分でうまく作業できるかどうか不安な人は、水道専門の業者に依頼するという方法も検討してみてください。
この記事では、蛇口内部の部品劣化が原因の水漏れや対処法について説明してきました。
しかし、水漏れの原因は蛇口だけでなく、水道管などに問題が生じているケースもあります。水漏れの原因特定が難しい場合や、原因によっては素人が対処できない場合も少なくありません。
水道専門の業者にみてもらえば、水漏れの原因特定から修理・交換作業までを正確かつ迅速に対処してもらえるので安心です。特に、自治体の認定を受けた「水道局指定給水装置工事事業者」に依頼すれば、先ほど「水道の修理・交換は自分で行っても大丈夫?」で説明したリスクについても確実に回避できます。
水道の水が止まらなくなったり水漏れが起きたりしたら、まずは、自分でできる応急処置をしましょう。そのうえで、自分では難しい作業や法で規制されている作業については、水道専門の業者に依頼するのがおすすめです。
業者を探すときは、全国で統一された基準のもと、自治体に認可された「水道局指定給水装置工事事業者」の中から選びましょう。認定を受けている業者であれば、どのような原因の水漏れにも的確に対処できます。
水漏れが悪化すると、水道代がかさんだり修繕の手間が増えたりするだけでなく、近所にまで迷惑がかかるおそれがあります。様々なトラブル回避のためにも、早めの対処が望ましいです。応急処置だけで終わりにせず、しっかりと原因を特定して適切に対処するようにしましょう。
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